Forget-me-not

2004年7月8日 漫画
漫画家、鶴田謙二の新作

寡作で知られる鶴田謙二の数少ない連載をまとめたもの。初掲載が97年で、ようやく第一巻の発刊に至る

運河が縦横に走るヴェネチアの旧市街が舞台。20年前に盗まれた絵画「Forget Me Not」を取り返せ、という祖父の遺言を継ぎ探偵となった、日伊ハーフのヒロイン伊万里マリエル。対するのは怪盗ベッキオ。頭脳鋭敏、変装の腕も一流なマリエルだが、どこかピントが外れていたり、巨乳で露出症気味の気があったりと、生き生きとした鶴田謙二ヒロインの系譜は外さない。探偵VS怪盗という構図らしいが、一向に対決する様子もないし、本編でも事件らしい事件が起こるわけではない。また、いつもの鶴田作品にある古きよき冒険科学小説的雰囲気、センスオブワンダーの色合いは薄い

この作家の描くほのぼのとしつつもSFチックで・・・まぁ、これを言ったらお仕舞いかもしれないが、宮崎駿の作風に色気とマニアックなSFテイスト、それゆえの分かりにくさを加味したような世界観は結構好きだ。ストーリーの深みや面白さ、キャラクターの魅力などはあくまで余得であって、結局この作家の描く世界観を楽しめるかどうかが鍵となるし、絵柄がまずありきでそこから世界観を構築しているように見受けられるので、絵柄が好きならおそらく楽しめるだろう

現代のリアリティのある重さはなく、独特のやわらかな読後感があるので、普通の漫画が疲れると感じた方はどうぞ

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