LIFE

2004年8月30日 音楽
小沢健二の代表作

このアーティストは“消費”されてしまった感が強い。まずフリッパーズギターというユニットを組み、音楽的にスノッブな層からの支持を受け、“渋谷系”という流行の波に乗り、その小洒落たルックスからアイドル的な捉え方もされた。そのユニットを解散しソロになってからメディアに親和的なスタンスを取った。簡単に言うと、芸能人としての色を濃くしたということだろうか。初期は自分のいた音楽的な村社会のノリを持ち込みつつ、上手くやっているように見えたのだが、あっという間にバランスを崩し、NYへ移住してしまった。そして、この「LIFE」という作品は、音楽的な試みの新しさと同時代性、求心力の素晴らしさを伝えるための一手段として芸能人であるということを選択し、そして実際絶妙のバランスでそれが成立していた幸福な時代の作品だ

あくまで当時初めて聴いた印象だと断っておくが、この作品は歌詞に描かれている世界観の目新しさ、当時の流行をあえて外した楽曲のポップさ、「今夜はブギーバック」の革新性と温度が音楽的な知識に裏付けされつつも理屈でなく感覚的に分かるようになっていた。最近聴きなおしたが、価値観こそ風化しているものの、ポップスとしてのクオリティはなかなかのもので、逆に今聴いたほうが付加価値なしで聴けるので正当な評価を出せるかもしれない。ただ、個人的には歌詞の価値観を同時代性と思ったのだが、ある種のアートフォームなのかもしれず、現在新規で聴く方にとっては価値観の提示ということで新鮮に映る可能性もあり

この路線をまたやれとまではいわないが、新譜はかなり厳しかったので、せめてポップスをやって欲しいんだが・・・

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