エレファントカシマシが認知度を上げたアルバム

ポニーキャニオン移籍後,いきなり人気バンドとなったエレカシの新作。「ポップにひよった」という声もあるが,「明日に向かって走れ」のメロディの意外な展開などに,宮本浩次の反骨精神は息づいていると思う。バンドの充実ぶりが伝わる会心作。ビート感がカッコいい

この作品は世間とこのアーティストの需要と供給が奇跡的に一致したアルバムと言える。ドラマのタイアップになった「今宵の月のように」を含むシングルが5曲も入り、独特の寂寥感が漂う味わい深い楽曲が多い。このアーティストのもう一つの側面である攻撃的な部分は影を潜め、かなり意図的に一般受けを狙った作品になっている

このアーティストは、一度ブレイクしたら人気というものはある程度続くという常識を打ち破った点が良くも悪くも彼ら自身の本質を表していると言える。彼らはただの一発屋ではなく、マニアックながらも着実にファンを獲得してきた結果ブレイクしたわけで。まぁ、移籍後のメディア戦略も無きにしも非ずだったが。この時期にヴォーカルの宮本浩次はドラマに出演し、バンドとしても歌番組に頻繁に出て、その稀有なキャラクターで人気を博した。ただ、その人気は彼の人付き合いの苦手さやナイーブさを視聴者が感じ取ったからで、愛すべきキャラクターとして認知された矢先に「死刑宣告!!」などとやられたら誰でも引いてしまうだろう。しかし、このバンドは選択肢がほとんど無かったとはいえ、試行錯誤しながら結局は“ロックバンド”であることを選択し、現在も精力的に活動している。そして、狂気を含んだ世界観を持つ楽曲も相変わらず作り続けている。個人的にはこのアーティストのバラードの求心力はかなりのものだと思うので、また一般受けするアルバムなりシングルなりを作って欲しいところだ

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