Peace Of Mind

2004年9月21日 音楽
B’zのヴォーカル、稲葉浩志のソロアルバム

2004年ソロ活動第1弾作品となったシングル 「Wonderland」 を含む14曲を収録した、稲葉浩志3rdアルバム。2004年7月に行われた 「THE ROCK ODYSSEY 2004」 のライブ映像から1曲収録したDVD付きの初回限定盤

この作品は3枚目のソロアルバムということになる。もちろんその間B’zとしての活動も活発に行い、音源もコンスタントに出している。しかし、この作品を聴く限り、現在のB’z名義の作品よりもこちらのほうがある程度長いスパンでB’zを聴いてきた方に納得してもらえるクオリティではないかと思う

現在のB’zは個人的に今一つと思っていることは以前レビューした時に書いたが、その理由の一つに楽曲の手抜き感があった。メロディへの言葉の当て方や独特のリズムの取り方、歌いまわしがあまりにも形骸化というか、“B’zとしての歌唱法”として出来上がった型をなぞっているだけのように思えたからだ。音作りにせよそれは言える事だった。しかし、この作品ではそういった細部が非常に丁寧に作りこまれており、以前の“B’z”の良い時期の楽曲のような求心力が戻ってきている。具体的に言うと、「Loose」の「消えない虹」や「夢見が丘」のような、ロック色を抑え楽曲の良さを引き出すアレンジとメロディの良さ、抑制の効いた歌詞の表現などだ。抑制の聴いた歌詞というのはソロアルバムでは一貫しているように思えるが、前作「志庵」では以前からのイメージをかなり逸脱した“稲葉でなくても書けるような”歌詞だった。そして何より、曲がイメージを逸脱する時代遅れなものだった。時代遅れというのはB’zにも言えることなのかもしれないが、彼らなりの“色”という点でそこは認知されていて、それすら逸脱すると売りといえるものが無くなってしまう。それを踏まえての今作では彼の持ち味も存分に発揮され、楽曲も音が的確に配置され、何より稲葉自身が作ったメロディと細かい音のニュアンスに気を遣った丁寧な歌唱により、結果として皮肉にも以前の“B’z”の良さを再構成したような作品となっている。作品の最後を締める「あの命この命」はアコースティックギターとピアノをバックに歌い上げる稲葉の歌唱力が発揮された佳曲だ

ソロ1stである「マグマ」は鬱屈した世界観を持ちつつもB’zでは出来ないような楽曲にトライした良盤だったが、この作品ではそういったこだわりも特に無く、肩の力が抜けた、そして「志庵」では逸脱していた“アーティストイメージ”を背負った歌唱と楽曲が展開された良盤になっている。以前のB’zが好きな方にはお勧めです

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