キル・ビル Vol.2

2004年10月17日 映画
クエンティン・タランティーノ監督作品

パート1の強引でハチャメチャなノリを期待した人には、やや不満。逆に前作がパロディのみで物語が浅いと感じた人には、この続編には満足するだろう。残り3人となった復讐相手を探し、テキサスからメキシコへ向かうザ・ブライド。その間に、彼女の血塗られた結婚式や、中国での修行時代などが章立てで挿入されていく。今回は、各キャラの屈折した思いに深く迫る会話劇をじっくり展開。そこにドラマの醍醐味を感じさせる作りは、タランティーノの初期作品を思い出させる。全体に静かな展開のなか、宿敵3人とのバトルにはテンションが凝縮され、なかでもトレイラーハウスでのエル・ドライバーとの女同士の闘いがド迫力。クライマックスでの宿敵ビルとの一騎打ちも、底辺に流れるのは「愛」だ。連作にもかかわらず、パート1からのムードの転調に、タランティーノの野心を感じてしまう

この作品はもともと一つの映画だったものを尺の長さゆえ2つに分割して公開したようだ。そして、vol.1と今作は物語から受ける感触が異なったものになっている。強いて言うなら前作はアクションシーン、近作は各々の登場人物の人物造形と心理描写にポイントが置かれているように思える。個人的には前作のバイオレンシーなカタルシスを期待してこの作品を観たが、微妙に間をとった演技や演出がなんだか間延びしているようで乗り切れなかった

気になった点をいくつか。序盤で描かれるカンフーは伏線として後々効いて来るが、あれだけの伏線なら修行のシーンはもっと掘り下げて描いておくべきではないだろうか。前作で畏怖の対象として抜群の描写をしていたビルの人格を掘り下げ、全編にわたって登場させることによって物語のテンションが落ちているように感じられた。ただ、それゆえにブライドのビルに対する愛憎半ばという感情は良く分かるんだが

前作から続けて観ると、一つの映画としてはかなり面白い。ただ、単体で評価すると個人的には今一つ

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