ミュージシャン、大槻ケンヂの長編3部作第二弾

大橋賢三は黒所高校二年生。周囲のものたちを見返すために、友人のカワボン、タクオ、山之上らとノイズ・バンドを結成する。一方、胸も大きく黒所高校一の美人と評判の山口美甘子もまた、学校では「くだらない人たち」に合わせてふるまっているが、心の中では、自分には人とは違う何かがあるはずだと思っていた。賢三は名画座での偶然の出会いから秘かに想いをよせていたが、美甘子は映画監督の大林森にスカウトされ女優になることを決意し、学校を去ってしまう…。―賢三、カワボン、タクオ、山之上、そして美甘子。いまそれぞれが立つ、夢と希望と愛と青春の交差点!大槻ケンヂが熱く挑む、自伝的大河小説、感涙の第2弾

この作品ではバンド活動に向けて動き始めた主人公を含む4人の掛け合いの合間に女優としてキャリアを積み始めたヒロインの物語が挟まれるという体裁を取っている。女優になったことにより注目を集めアイドルと付き合うというようになったヒロインによって映画マニアの主人公は銀幕の向こう側へ行った同級生に対して今まで同じ学生生活をしていた人間という事での焼け付くような焦燥感と羨望、嫉妬が混ざり、恋愛感情もあるゆえにのた打ち回ることになる。その中でバンド活動に希望を見出すも貢献できる部分が無いという現実で、主人公は壊れていくことになる

緊張感と密度の濃い世界でヒロインが女優として開花していく様を生き生きと描いた後に、その表現を受け取る側としていつもと変わらない生活している主人公たちを描くことで表題であるじゃんけんのゲーム「グミ・チョコレート・パイン」でヒロインが出している手は常に「チョコレート」であり、「グミ」という歩みの少ない手を出さざるを得なく、遠回りしながらも表現のほうへ歩を進める主人公たちが悲しくも滑稽でそれゆえに共感できる

音楽関係のネタは今回もたくさん詰め込まれている。目標とするバンドのライヴを主人公たちが初体験するところなどはライヴを体験した際の興奮を上手く描き出しており、また受けるバンドと受けないバンドの違いについての描写などもあり、なかなか興味深かった

ただ、終わり方があっけなく完結編を待て!というノリなのは少し引いた。あとがきを見る限り、意図的なものではあったようだが・・・

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