Sting -Broken music-

2005年2月8日 読書
ミュージシャン、スティングの自伝

ロック史上最高のトライアングル「ポリス」を経て、世界中のファンを魅了するスティングが、初めて綴った激動と感動の自叙伝。ロック史上最高のトライアングル「ポリス」を経て、世界中のファンを魅了しつづけるスティングが、初めて綴る激動の自伝。音楽ファンのみならず、すべての人を深い感動で包むワールド・ベストセラー、ついに待望の邦訳。本書で、スティングは、幼き日の経済的な苦労からの家業の手伝い、母親の不倫を黙認する父親への葛藤、寂しさから避難する拠り所となった音楽、ビートルズと初恋、教育実習、教員生活、バンに乗っての過酷なツアー、そして結婚して初めて父親になった喜びと苦労、父親、母親との別離などを真摯に綴る。もちろん、ポリスメンバーとの出会いから結成、解散の秘話、そしていかに彼が現在の成功を手に入れたかも語られる。人間スティングの苦難と成功の過程が明らかにされる、自伝を超えた珠玉の一冊である

世界的成功を収めたバンド、ポリスから現在まで順調にキャリアを重ね50歳を迎えたロック・ミュージシャンのスティングが自らを振り返る本作品。このジャンルは、ミュージシャンが語りそれをライターが文字に起こしていくタイプの作品が非常に多いが、この作品はスティング自らが長い期間をかけて書き上げたらしい。実際読んでみると、ライターが介在した場合ありがちなバンドや作品の裏話や離婚にまつわる吐露などゴシップ的なものはきれいに選り分けられ、芸名であるスティングではなくゴードン・マシュー・サムナーという1人の人間の半生記になっている

現在のスティングが妻と共にリオの教会を訪れ、そこで宗教的セレモニーの一環として幻覚作用をもたらす薬物を摂取するという出だしで始まるこの作品は、その薬物の幻覚作用によって幼少時代を思い出すという流れになり時系列に物語が進み、ポリスとして成功をつかむ部分をクライマックスに据え、エピローグとしてそこから現在までのプライベートの流れを軽く紹介して終わる

スティングという人間が形成されるに当たって重要だったのは、人との出会い、音楽的な知識と技術の習得、がむしゃらに夢を追いかける努力という極めてまっとうな話になっている。語り口がインテリジェントで淡々としたもので、洒脱な表現が多用されているので、ロックスターのサクセスストーリーといった先入観を持って読むと肩透かしを食うかもしれない。実際、バンド期のことはほとんど割愛され、ソロ期は全く触れられていない。楽曲について言及したのはポリス時代の「ロクサーヌ」1曲のみだ

ジェリーというジャズ・ミュージシャンについてかなり多くの文章が割かれている。彼はスティングと下積み時代を共にし、スティングの音楽的技術を向上させることに貢献し、公私にわたって長い間(現在まで)様々な形で関わった。(因みに彼はソロの「マーキュリー・フォーリング」に参加している)そういった、キャリアにおいて欠かすことの出来ない(大勢の)人物をそれぞれまとまった量描いていて、彼らの友情や愛情・信頼を追い風に1人の人間が社会的に事を成すという普遍的な物語になっている

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