漫画家、黒田硫黄の長編

天狗!自在に飛行をなしあやかしの術もて人をさらい古来より畏怖と敬愛を享けた天狗!今かれらはどこにいるのかどこから来てどこへ行くのか?何を食っているのか寒い日はどうするのか。天狗にさらわれちゃった子はそれからどうなっちゃったのか?天狗の未来を憂う待望の第1巻!

この作品は黒田硫黄の初めての長編ということになるらしい。「天狗」というテーマを据え、古来から棲む妖怪=マイノリティが世間に認知され発言力を持ち勢力を増し・・・という大きな展開と、主人公である天狗シノブの自分探しという個人レベルの展開が並行して進んでいく。後に「茄子」の主人公になる高間教授も重要な役どころで登場する

絵を筆で描き、しかも現在と違いタッチが荒い為、慣れるまでは読みづらさを感じる。しかし読み進めて行くと、それが独特の飄々とした味わいとしてこの作品を構成する上で欠かせない要素だということに気づく。天狗とはなんぞやという内省的な問いかけやらシノブの迷いやらを淡々と描くが、少々気の抜けたテンションの為、人間(天狗)の心の機微を描写している割に押し付けがましくない。説明的な台詞もほとんど排除しており、映画的な印象も受ける

エンタメの要素は現在より薄いが、人によっては最高傑作に挙げる作品。個人的には今一つといった印象だが、世間的には評価が高いらしい。何故だ。良くも悪くも強烈な独自の世界観を持つ作品なので、現実逃避には最適かと

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