ミステリ作家、法月綸太郎の長編
作者と同名の探偵が活躍するシリーズモノ最新作。この作家の特徴であるロジカルな描写もさることながら、構成も非常に練り上げられている。単行本として編む際かなりの加筆修正を行ったらしい
主人公・法月綸太郎は写真家の個展へ行った際、魅力的な女性・江知佳と偶然知り合う。彼女の父親である彫刻家が亡くなり、遺作であり彼女の娘である江知佳をモデルにした彫刻から頭部が切り離され紛失する。その謎を解く為に綸太郎は奔走するが、彫刻の代わりにモデルとなった江知佳自身の生首が発見される
この作品は、推理を何度もはずしつつ犯人を追う人間味溢れる探偵という描写やら大きな謎を解く楽しみを提示する部分やら・・・ようするに、まっとうで正攻法かつ王道の作品に仕上がっている。ある種古典と言っても良いかも知れない
物語は中盤を過ぎても殺人が起こらない。ようは背景と人物描写を丁寧にやっており、伏線をきちんと張り巡らせているわけだが、そのおかげで人物に対する感情移入も十二分にすることができ、それが後半の展開で非常に効いてくる。後半にはどんでん返しをいくつか用意してあり、急激に物語に引き込まれていく気分になり、終盤の謎解きでは読んできた労力に見合ったカタルシスを与えてくれる。しかし読後感はあまり良くない。“ミステリ”としても“小説”としても出来が良いが、そういったスキルの部分ではなく感情的な部分でダークになってしまう。まぁタイトルで作品内容をある程度予告しているわけだからそれもしょうがないが・・・
尻上がりに面白くなっていく作品なので、序盤で挫折しなければそれなりの面白さを保障してくれる。少々古臭いと感じるかもしれないが、ミステリの“型”ということで片付けられる範囲内なので問題ないはず。ただ、個人的に好き嫌いで言えばあまり好きではない作品
彫刻から消えた首とそこから派生し起こる殺人。作者と同名の主人公でありミステリ作家の法月綸太郎が挑む謎。寡作の作者が数年ぶりに発表したこの作品は、「このミステリーが凄い!」2005年度版で一位を獲得。重厚なミステリの構築手腕が光る
作者と同名の探偵が活躍するシリーズモノ最新作。この作家の特徴であるロジカルな描写もさることながら、構成も非常に練り上げられている。単行本として編む際かなりの加筆修正を行ったらしい
主人公・法月綸太郎は写真家の個展へ行った際、魅力的な女性・江知佳と偶然知り合う。彼女の父親である彫刻家が亡くなり、遺作であり彼女の娘である江知佳をモデルにした彫刻から頭部が切り離され紛失する。その謎を解く為に綸太郎は奔走するが、彫刻の代わりにモデルとなった江知佳自身の生首が発見される
この作品は、推理を何度もはずしつつ犯人を追う人間味溢れる探偵という描写やら大きな謎を解く楽しみを提示する部分やら・・・ようするに、まっとうで正攻法かつ王道の作品に仕上がっている。ある種古典と言っても良いかも知れない
物語は中盤を過ぎても殺人が起こらない。ようは背景と人物描写を丁寧にやっており、伏線をきちんと張り巡らせているわけだが、そのおかげで人物に対する感情移入も十二分にすることができ、それが後半の展開で非常に効いてくる。後半にはどんでん返しをいくつか用意してあり、急激に物語に引き込まれていく気分になり、終盤の謎解きでは読んできた労力に見合ったカタルシスを与えてくれる。しかし読後感はあまり良くない。“ミステリ”としても“小説”としても出来が良いが、そういったスキルの部分ではなく感情的な部分でダークになってしまう。まぁタイトルで作品内容をある程度予告しているわけだからそれもしょうがないが・・・
尻上がりに面白くなっていく作品なので、序盤で挫折しなければそれなりの面白さを保障してくれる。少々古臭いと感じるかもしれないが、ミステリの“型”ということで片付けられる範囲内なので問題ないはず。ただ、個人的に好き嫌いで言えばあまり好きではない作品
コメント