電車男

2005年5月12日 漫画
漫画家、原秀則が描く電車男

電車内で絡む酔っ払い爺から女性を助けた、ひとりのアキバ系ヲタ青年。彼女いない歴=年齢(22)の彼は、助けたお礼を送ってくれた彼女をデートに誘うべく、モテない独身男達が集うネットの掲示板に助けを求める。「電車男」と呼ばれるようになった彼は、掲示板の住人たちの励ましや助言に後押しされて、ようやく彼女をデートに誘う。悩み、戸惑う電車男のピュアな気持ちは、仲間達を熱い共感と興奮の渦に巻きこんでいく……。「電車男」は果たして彼女に告白できるのか?ネット上で話題騒然、各紙誌絶賛。百万人を感動させた今世紀最強のラブストーリー、遂に刊行!!

漫画化、舞台化、映画化、ドラマ化と恐ろしいほどメディアを席巻している巨大掲示板群「2ちゃんねる」発の純愛物語。漫画は数誌で異なった漫画家が描いており競作のような形をとっているが、その中でも比較的ネームバリューのある漫画家、原秀則が描いた作品が今作になる

原秀則という漫画家は、スポーツ→恋愛→スポーツ→恋愛というように作品ごとに描くテーマがループしており、恋愛モノなら「冬物語」「部屋においでよ」など、スポーツモノは代表作と言える野球漫画「やったろうじゃん」がある。絵柄やストーリーテリングに手癖のようなものがあるので現在はどうしても一世代前の漫画家という印象を受けてしまうが、作風を知っていれば「電車男」をこの漫画家が描くのは適役のように思える

実際読んでみると、なかなか再現性が高い。電車男の書き込みに対応する2ちゃんねらーを見える形で描いていることで、ネットの匿名性や様々な社会的立場を持った人間が集まっているという部分を分かりやすく伝えているし、リアルタイム進行のスリルなどもきちんと描いている。顔文字や名無しのレスは原作通りに引用されているが、それ以外の部分、つまりこの漫画家特有の感情表現や台詞回しが古臭いので原作の部分との乖離が見られ、少々引くかもしれない。ようは“馴れ合い”の部分をプッシュしすぎということだが。それと、電車男が秋葉系オタというよりも単に地味な兄ちゃんという風に描かれているのは多少違和感を感じてしまう

しかし、原作に非常に忠実で作者自身の色も出していてなおかつある程度面白いというのは、「良い仕事をしている」と言っても差し支えないかも。例えば原作が嫌いで原秀則のファンという方が読んだとしてもある程度の面白さを保障しているというか

原作はネットのダイジェストだが、そのさらにダイジェスト版といった印象。電車男の良さをすぐに知りたい方はこちらのほうが良いと思う

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