BANANA FISH

2005年5月15日 漫画
漫画家、吉田秋生の代表作

1973年、ベトナム。米軍兵士グリフは突如錯乱、同僚を射殺して廃人と化した彼はひとつの言葉を繰り返しつぶやく…バナナフィッシュ。1985年、ニューヨーク暗黒街。非情と暴力が支配するこの街で、ストリート・キッズを束ねる少年がいた。アッシュ・リンクス。IQ200の知能に超一級の戦闘力をあわせもつ、17歳のアンファン・テリブル。日本から来た少年、奥村英二とアッシュの出会い。その時、バナナフィッシュをめぐるマフィアとの暗闘は間近に迫っていた…

吉田秋生の代表作。この作品以後発表された「YASHA」「イヴの眠り」はこの作品で活躍した人物がキーマンとして登場する為、世界観が統一され、一つの大きなサーガのような按配になっている

日本人の少年英二がNYへやってくるところから物語は始まる。アッシュ・リンクスというストリート・ギャングのボスに出会うが彼らの抗争に巻き込まれてしまう。「バナナフィッシュ」と呼ばれるドラッグにまつわる世界的な陰謀が浮かび上がり、アッシュは卓越した知性と戦闘能力を武器にそれに立ち向かうことになる

英二という少年はごく普通の日本人であり、NYの文化とのギャップを体験しアッシュからの友情を受けつつ彼を見守るという、いわゆる読者の代弁者的立場を担う。元男娼で熾烈な世界に生きてきたアッシュは、英二のおおらかさやのどかさや優しさに惹かれ、彼との精神的なつながりで人間らしさを取り戻す。多くの人々は様々な形でアッシュを愛し、それゆえに様々な悲劇が引き起こされることになる

この作品はそういったスピリチュアルな部分を丁寧に描いてあるが、単純に物語の表面を辿って読んでもかなり面白い。というか、スピリチュアルな部分を注視する事になるのは再読した後になるはず。初めて読んだ時はどんどんと規模の大きくなっていく陰謀に対してアッシュがどう対処していくのかという部分に目が行く。アクションシーンなども多く盛り込まれているので心の機微というのはそれほど前面に出されていないのだ。また、登場人物の描き分けが非常に上手く、人物の社会的立場特有のメンタリティや文化的背景を正確に伝えてくる。その多様性がこの作品の魅力の一端を担っている

序盤の大友克洋的絵柄から徐々に現在の絵柄に移行していったのはやはり物語にとって必要だったからなのだろうか・・・。現在読んでも全く色あせない作品

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