GUNSLINGER GIRL 5

2005年6月6日 漫画
漫画家、相田裕が描くペシミスティックなアクションモノ

光溢れるローマ近郊でのフランコ&フランカ+ピノッキオ――家族の休暇、一方フィレンツェ、仄暗いサン・マルコ美術館(フラ・アンジェリコ『受胎告知』前!)にて行われるクリスティアーノ・”サヴォナローラ”捕捉命令。走り続ける意味を見失い始めた”テロリスト”たちの悩みと、躊躇なく彼らに襲いかかる福祉公社。避けられぬ宿命の激戦、トリエラv.s.ピノッキオが残したものは、悲しい涙と癒えない傷。イタリアの激しいコントラスト、明と暗、動と静、善と悪の狭間に、物語はいよいよその本当の姿を現し始める

この巻では、以前登場したピノッキオと呼ばれる少年の殺し屋を含むテロリストたちの描写に多くのページが割かれている。彼らの人となりや生き様、それを踏まえた上でのテロリストとして転がっている日々の生活、その中での好意までは行かない微妙な心の交流。テロリストとしてではなく人間として生きていく為に、孤児であるピノッキオに対しての周囲の愛情と陰日なた問わないサポートも描写し、彼らの側にある世界観や日常を前面に描き出している。そして、彼らと主人公たちの属する福祉公社は利害関係が対立しているがゆえに直接対決することになる

ピノッキオたちの日常を描いてあることで、どちら側にも感情移入できるようにしてあり、それゆえに彼らと福祉公社の少女たちが戦うことは読者に前巻以上の切なさを感じさせる。彼らの戦いはプロであるがゆえの残酷さがあり、お互いに各々“他人の為に”戦っている。「誰かが喜ぶから」「誰かの身を守る為」そういうモチベーションの両者は相手を“排除”しその結果“誰かを助ける”為に戦う。それが“誰か”の為になると考えたゆえの行動で、そこに“自己”と言うものは存在していない

物語的にやりきれなさを感じていたが、こういったシチュエーションだからこそ主人公たちの幼さを前面に押し出した描写が心を打つ。ロリ系の絵柄を逆手に取った描写もここに極まれりといった印象。こういった作風だとは分かっていても緩むことのない展開には厳しさを感じる。次巻に期待

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