ハチミツとクローバー　8

漫画家、羽海野チカの恋愛モノ

原田デザインで理花の手伝いを始めた山田。事務所で真山の理花に対する想いをあらためて目の当たりにして…！？　大ヒット・トキメキ・逆走ラブ・ストーリー、急展開の第8巻

この巻では、今まで均衡を保ってきた恋愛模様の一角が崩れ落ち、その余波で皆が揺れ動く、という話になっている。後付で登場してきた人物たちを含む社会人のグループに焦点が当たり、メインキャラの学生たちは今回出番が少ないのだ。学苑モノのドタバタコメディを期待していると肩透かしを食うかもしれない。ここで描かれているのは新たな展開なわけで・・・。

内容は相変わらずの恋愛におけるポエティックな部分を描くことに終始しているという印象だが、陰日なた問わず守られていたある種“姫”な山田が思い焦がれる真山の恋の成就によって揺れ動く様が描かれる。そこに伏兵が登場・・・という定石の展開だ。まぁ、この作品の特色として、「誰が誰とくっつこうがそれはそれでアリかもしれない」と思わせる部分があって、それは各々の登場人物が魅力的ということなんだが、そういった意味合いで、山田が振られ傷心のまま翻弄されている状況も、周囲の気遣いや愛情によって包まれているというような暖かさの部分に目が行くので、山田がかわいそうだ的ノリにはならないというか。

個人的に、学生連中がわいわいやっている姿が面白かったので、今回はちょっと物足りなかった。コメディの部分に比重をおいて欲しかったという・・・。この作品に恋愛の要素を求めている方なら大満足かと。次巻に期待。