漫画家、二ノ宮知子が描くコメディ

東京都交響楽団の常任指揮者ジェームス・デ・プリーストが実名で登場することになったいきさつは、「月刊都響」の2005年1月号に詳しい。作者の二ノ宮知子さんとプリースト氏の対談があるからだ。そのなかで、都響事務局としては、今後千秋が都響に突然客演するという設定をつくって欲しい、というようなことを述べているが、今後そういうエピソードも出てくるかもしれない。と、とすると、この漫画はある意味都響の宣伝にも一役買うことになる。さて、千秋はこのたび崩壊寸前のオンボロオーケストラの常任指揮者になるのだが、いきなり華やかなポストを与えられるより、オンボロオーケストラを立て直す仕事のほうが、オーケストラビルダーとしての指揮者の実力がよくわかるから、その意味で千秋の今後の活躍に期待を持たせる展開だ。

大まかな流れとしては、パリの生活を満喫しつつ主人公・千秋真一の不在感を感じるのだめと、こじんまりとしたオーケストラの指揮を任され立て直すべく奮闘する千秋、という2つの物語が軸になる。この2人以外にも音楽で繋がった脇役が何人か登場している。パリに舞台が移ってから、のだめと千秋の恋愛模様の進展的展開が軸となっていた為、「もしかしてこの作品もうすぐ終わるんじゃないのか」などと思っていたが、気のせいだったようだ。

のだめの千秋への思いは空回りしつつも彼女は笑える活躍を魅せ、千秋は音楽的なキャリアを積ませ成長していくという基本のスタンスに舞い戻っているような。恋愛模様やらは脇役に任せている部分もあり。才能が有りつつも型に嵌まらないのだめがピアニストとして成長していく物語になるのかと思って少し引いて見ていたが、やはりのだめ=賑やかし、千秋=オンガクネタというバランスのほうが読んでいてしっくりくる。久々に次巻への期待が。

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