いちご100% 18

2005年10月8日 漫画
漫画家、河下水希が描く学苑ラブコメ

『ヒキ』が大事な週刊連載で、恋愛ものを十九巻もつづけるのには、たいへんな労力が必要であったろう。連載ごくろうさまでした。もう、時代的に、高校生の恋愛でも、肉体関係がまったくないとリアリティの問題が生じてしまう。『特殊な』恋愛になってしまう。純愛が好まれるのは、そういう現実の裏返しのように思う。愛の流刑地は、そのまた裏返しか(笑)。その点、うまく処理できていたと思う(さいきんジャンプを読んでいないのでわからないが、はじめての例なのだろうか)。マンガフリークには、主人公の性格を含めて、言いたい事のある作品かもしれないが、中高生には、一世代に一作、こういう作品があってもいいんじゃないですかね。

感想は上記と同様。お疲れ様でした。
週刊連載のほうは既に完結。次巻の19巻で完全に完結することになる。この巻では、その前の段階であるクライマックスへ向けての積み重ねと登場人物の身の振り方・心の整理もしくは葛藤が中心となる。

受験を控えた高校3年生である主人公たちはそれぞれ人生の岐路に立たされる。高校生であるが故の将来への目算の甘さ、モチベーションを奮い立たせる根っこの軽さが目立つものの、基本的にリアリティを度外視した“ラブコメ”なのでそのへんは目をつぶらざるを得ない。一般的にも個人的にも注視すべきなのは主人公・真中が多角関係の中で誰を選びとるか、ということになる。

連載のほうは終わっているので主人公が誰を選びどう歩んだかは一応分かっているのだが、この巻ではそこへの前振りとして、主人公へ想いを寄せる女の子たちの想いをもう一度再確認するような描写が目立つ。そこでふるい落とされる面子もあり、最終的には2人に絞られることになる。

この作者の絵柄は結構好みだが、展開や描写において、なんというか・・・嫌々ながらやっているというか、「本来はこういう展開にしたくない」というような意思が見え隠れしているような。端的に言うと、読者の“夢”を忠実にトレースしているというか。生き生きしているコメディタッチの部分に比べて、切なさを感じさせる場面にその思いは強く感じ取れる。気のせいだと良いんだが。

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