一億三千万人のための小説教室
2004年6月20日 読書
作家、高橋源一郎の擬似的な小説作法Howto本
あの高橋源一郎がこういった趣旨の作品を書くということで、まぁ言っちゃ悪いがある種のネタとして手に取った。スタイルとフォームを借りてお得意の電波すれすれの展開をしているんだろうと思ったわけで。ただ、岩波文庫から出されているのでもしかしたらという気持ちもあったのは事実
で、結局のところこの作品は至極まっとうだ。小学校で実際に講演した時の模様を書き起こしているらしい。だから凄く噛み砕いて話をしている。しかし、小学生に小説家になるための具体的な方法を示唆するわけもなく、小説を書きはじめるときの心持と注意点を提示する程度だ。つまり、この本は結果的に趣味で書く方を視野に入れているように思える。もしくは小説家になるためではなく、単に小説を書き始めるきっかけを探している人にヒントを与えるというところか
実用書の体裁を取っているので馴染み難いかもしれないが、小説家がどういう事を考えているかの一つの指針になるので、これを読んだ後では小説を少し違った楽しみ方ができると思う
世の中には小説の書き方に関する本があふれている。そういった本の読者の大半は、小説を書きたい、あわよくば小説家になりたい人だろう。しかし、本書の「少し長いまえがき」の中で、高橋源一郎は早々に断言する。「わたしの知っている限り、『小説教室』や「小説の書き方」を読んで小説家になった人はひとりもいません」。なぜか。「小説家は、小説の書き方を、ひとりで見つけるしかない」からだそうだ。しかし、著者は小説家志望者の夢を打ち砕こうとしているわけではない。この本は、標題どおり「1億3000万人のための」小説教室なのだ。「小説を書く」という作業の前に、「小説の書き方をひとりで見つける」方法を手とり足とり、教えてくれる。本書は「小説(を楽しむための)教室」でもある。その意味では、小説家になりたい人が目を通すべき実用の書といえる。音楽を好きな人が音楽家になり、スポーツの好きな人がスポーツ選手になるように、小説を書くためには小説を深く、楽しめることが前提だ。この本を読むと、小説がますます好きになるはず。文章の巧拙やプロット、キャラクターづくりのテクニックを越えた、小説の魅力に目を開かせてくれるからだ
あの高橋源一郎がこういった趣旨の作品を書くということで、まぁ言っちゃ悪いがある種のネタとして手に取った。スタイルとフォームを借りてお得意の電波すれすれの展開をしているんだろうと思ったわけで。ただ、岩波文庫から出されているのでもしかしたらという気持ちもあったのは事実
で、結局のところこの作品は至極まっとうだ。小学校で実際に講演した時の模様を書き起こしているらしい。だから凄く噛み砕いて話をしている。しかし、小学生に小説家になるための具体的な方法を示唆するわけもなく、小説を書きはじめるときの心持と注意点を提示する程度だ。つまり、この本は結果的に趣味で書く方を視野に入れているように思える。もしくは小説家になるためではなく、単に小説を書き始めるきっかけを探している人にヒントを与えるというところか
実用書の体裁を取っているので馴染み難いかもしれないが、小説家がどういう事を考えているかの一つの指針になるので、これを読んだ後では小説を少し違った楽しみ方ができると思う
コメント