SMiLE

2005年1月6日 音楽
Brian Wilsonの新作

ポップ・ヒストリーの中で最も有名な未完成アルバムといわれるビーチ・ボーイズの『スマイル』が、37年の歳月を経て、ブライアン・ウィルソン自らの手でついに完成した。彼の音楽を心から愛し理解しているジェフリー・フォスケット、ダリアン・サハナジャ(ワンダーミンツ)ら現在のツアー・バンドのメンバーによる強力サポートがあるとはいえ、21世紀の今、これほど緻密に構築された『スマイル』の新録版が聴けるとは、ファンの多くは夢にも思っていなかったはずで、それだけに、今まで“点”だったものが初めて“線”で繋がった感動は計り知れないものがある。そうした古くからの熱心なファンはもちろんだが、アメリカン・ノスタルジアを巡る壮大な一大叙事詩ともいえるこのシンフォニックな大作は、若い世代のポップス・ファンをも、現代のロックでは味わえない豊かな世界へと誘うだろう

個人的に、ビーチボーイズは歴史的名盤とされている「Pet Sounds」のみを所有しており、それはもちろん過去の遺産を押さえておくという意味合いで購入したのであり、それ以上の思い入れや知識は無い。そういうわけで、この作品がリリースされると知ったときも同じような思いで購入した。ようするに、好き嫌いはともかくある程度の理解をしておくべき作品と思ったわけだ。しかし、結果としてこの作品はそういった懐古商法に留まらない求心力を発揮していた。セルフカヴァーというのは基本的に保守的で枯れた味わいになりがちだが、今作はビーチボーイズのドリーミーでポップな楽曲を、遊び心があり洗練されたアレンジとコーラスワークで仕上げている。ビーチボーイズの楽曲としての良さは完全に残っていると思うし、単純に聴いていて楽しく良盤と思える

一聴してコーネリアス「ファンタズマ」との類似性を感じた。もちろん順序的には逆だろうが。かなりおすすめ

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