視聴者と同じ時間軸で物語が進行するサスペンスドラマ

緊迫する24時間の出来事を1時間×24話で描く「リアルタイムドラマ」として話題を呼んだこの人気シリーズも第3シーズン。大統領候補暗殺(シーズン1)、核爆発(シーズン2)に続く新たなる恐怖は「バイオテロ」だ。多くの人々を短時間で死に至らしめる恐怖のウィルスがロサンゼルスの街にまき散らされるのを防ぐべく、おなじみジャック・バウアー(キーファー・サザーランド)が奔走する。いつものように、ジャックには事件以外にもさまざまな問題が降りかかるが、全力で何とかしようとする彼の「ギリギリ感」が相変わらずイイ味で、なんともカッコいい。ドラマシリーズとしても、先の読めない展開、テンションの高い演出ともにシャープさを増す一方。小手先のケレン味などもはや必要ないとでも言いたげな余裕綽々の語り口が頼もしい、円熟の出来映えだ

シリーズ3作目となる今作では、主人公ジャック・バウアーを含むCTU(テロ対策ユニット)がウイルスを拡散させるというバイオテロを防ぐために奔走する。毎度のことだがもう1人の主人公である大統領の物語と並行しており、再選に向けての準備中にあれこれと問題に巻き込まれ、それを解決しつつもバイオテロへの注視を怠らないという立場だ。だが前作・前々作と違い、両者の物語は交わることなく終わってしまうので、比重の少ない大統領の物語は付け足しというか・・・「大統領も関わらなければいけないほど大きな問題」という描かれ方の“足し”のような按配だ。その点で今作は脚本が今一つという印象

人気作というポジションを確立したことによって、大きなテーマのドラマを描くに当たって惜しみなく資本が投下されている。舞台も広範に渡り、都市部でのロケも多く、乗り物もジェット機やヘリ・戦闘機まで登場し、大作映画とクオリティはほとんど変わらない。ただ、それが面白さに直結しているかというと微妙なところで、安定感とお得感はあるもののこの作品の特徴である過剰なケレン味と物語の意外性が薄れているように感じた

私見だが、今作はこのシリーズの完結編として描かれたように思う。今作でこのシリーズを離れるレギュラーは多いし、内容も主人公ジャックの人間を描くという原点に回帰している。ただ、人間を描くといっても以前のようなキーファー・サザーランドの俳優としての魅力に依存したものではなく、ある程度の実績を持ち捜査をリードしていく役割を負った現場の捜査員としての悲哀を描いている。最後に見せるジャックの涙は唐突なシーンに思えるが、描いた意図が分かるとそれまでの流れで出来たジャック像が変わると思う

この作品を観終わると「あぁ、今作で24は終りなんだな」と実感する。続けようが無いような設定に持っていっているし、今までの確執にもケリをつけているからだ。ところがこの作品を観る前に米国ではシーズン4が始まったという情報も得ていて、これがどう繋がるんだ!?という思いもあり。医療ドラマ「ER」のようにレギュラー陣を総入れ替えして環境設定のみを生かして続けていくような真似をするのではないかと心配しているのだが・・・このシリーズの魅力はジャックだけじゃないんだぜ?

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