GOOD BYE LENIN!

2005年2月1日 映画
ベルリンの壁崩壊をモチーフにしたドイツ映画

テレビ修理店に勤めるアレックスの父は、10年前、家族を捨てて、西ドイツに亡命。以降、母クリスティアーネは、その反動からますます東ドイツへの愛国心を強めていく。そんなある日、反社会主義デモに参加し、警察と衝突しているアレックスを目撃したクリスティアーネはショックで心臓発作を起こし、昏睡状態に陥ってしまう。その間にベルリンの壁が崩壊。しかし、数ヵ月後、クリスティアーネは奇跡的に覚醒するが、医師は、「今度強いショックを与えたら、命取りになる。」とアレックスに宣告する。アレックスは、母親にショックを与えないよう、東ドイツの崩壊を隠すために、ニュース番組を自主制作したり、東ドイツのピクルスを探したりと涙ぐましく奔走するが…。

この作品は資本主義と社会主義の違いを理解していないと面白さやストーリーが分からない話になっている為、多少客を選ぶかもしれない。一応簡単に説明しておくとこの作品においては社会主義は牧歌的な共同体意識を持つ主義と表現されていて、横のつながりを重視する保守的な田舎的価値観から個々の能力を重視する都会的な価値観へシフトしたと考えておけばある程度理解できると思う

東ドイツで社会主義の活動家として活躍していた母親が持病の発作で倒れてしまい8ヶ月の昏睡状態に陥る。その間に東西の壁が崩壊し、資本主義の流入によって急激に様変わりしてしまった主人公アレックスの生活。母親は目覚めるも大きな心理的ショックを与えたら命に関わる状態。母親の活動家としてのアイデンティティを破壊するであろうベルリンの壁崩壊を恐れたアレックスはこの国が社会主義国家であることを演出しようと奔走する

主人公アレックスが東ドイツを演出するためにあれこれと手を尽くすといっても個人のできることはたかが知れており、母親の食事に使う瓶詰めのジャムやピクルスを東ドイツ製の瓶に移し変えたり、誕生会を開くにあたり周囲に口裏を合わせるよう協力を要請したり、職を追われアル中になった母親の仕事仲間を引っ張り出したりと地味にひたむきに頑張っている。それが単なるドタバタコメディにならないのはその行動の根底に親を想う真摯な愛情があるからで、以前と変わらない母親と接することで周囲の人々は東西崩壊以前の生活を思い出し、資本主義の流入で不安な心を鼓舞されることになる

「ベルリンの壁崩壊」というテーマの所為で観る前は固い映画だと思っていたのだが、いざ観始めてみるとすんなりと感情移入できた。かといってテーマをないがしろにしているわけではなく、東西崩壊の影響をディフォルメしつつもしっかりと伝えてくる。序盤の説明的な部分を踏まえればコミカルな家族ドラマとして十二分に楽しめる

ハートウォーミングで笑える作品。かなりおすすめ

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