めぞん一刻

2005年2月9日 漫画
漫画家、高橋留美子が描いたラブコメディ

東京の某所にある安アパート“一刻館”。そこには癖のある住人たちが住み着いている。5号室に住む五代勇作は浪人中の身。ある日、音無響子という女性が訪れ、管理人として一刻館に住み込むことに。五代は彼女に一目ぼれしてしまい・・・

ラブコメのジャンルでは言わずと知れた有名作。最近よくある廉価版の雑誌が月一で刊行されており、久しぶりに読み返してみた

物語の初期は、もう一つの代表作である「うる星やつら」的なクセのあるキャラクター達が織り成すドタバタコメディで、五代の恋愛感情も“いい女に性欲を抱いた”程度の描かれ方で笑いの一要素にすぎない。三鷹というライバルが登場しても、ステータスの違いで相手にならない五代の対抗意識が笑えるという描かれ方で、何処まで行ってもコメディだ。しかし物語内で時間が進んで行くことで、必然的に五代が大学へ入り学生生活の中から徐々に将来を見据えていくという物語が出来てしまい、コメディの要素が薄れ、1人の人間が社会へ出て一人前になるという成長記になっていく。そこには感情的な部分である程度のリアリティが必要とされるため、ヒロインへの恋愛感情も徐々に真摯なものへ変わっていく。その場合序盤と後半のテーマの違いから継ぎ目のようなものがどうしても垣間見えてしまうものだが、例えば、一刻館の面々の場合非現実性はそのままにシリアスな部分でも効果的に動かしているため、“五代が一人前になることでそれなりの扱いをするようになった大人たち”という風に受け取ることができ、不自然さを感じずに済むのだ

現在読み返すと、初期と後期では絵柄がかなり違うことに気づく。初期は絵が荒くコミカルな内容に合わせたような作風で、ヒロインも色気を重視したような絵柄だが、後期になるにつれヒロインはドンドン幼くなって行き、比例して五代の顔に包容力のようなものが出てくる。意図したものなのかは分からないが、五代の人間的成長を上手く表現していて感心した

大して量は無いのだが、読み応えがある作品

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