漫画家、古谷実が描く青春物
私見だが、この巻で作品自体のカラーがある程度決まったと思う。この作者のキャリアから推測していた陰鬱で現実に即した観念的なものの見方を提示するという方向性ではなく、作者から観たリアリティのようなものを提示している。その世界観において、現実に起こりうるモラルに反した行為や現象を描くと言う点では以前と変わらないが、以前のようにネガティブな描き方をされず、あくまで日常レベルの温度で表現される。病的な感情は日常においてなんら目新しいことではなくそれを抱えるのは当然という表現だ。そして、今までの作品ならある程度アピールしていた葛藤をほとんど描かない。その点で、作者の提示する世界観は前作より一歩前へ踏み出している
物語は主人公周りの相変わらずの関係を中心に描かれる。そして、楽観的で明るく世間ズレしてない主人公の価値観は、作者が描くところの闇の部分とは相容れない。それが最後まで続くのかは分からないが、主人公の視点があることで闇が相対的にグロテスクに見えるという点は変わらない。5巻に期待
待望のシリーズ第4巻。春になり、二人は新しい環境の元で新たな生活を送っていた。主人公萩野は高校3年になり、谷脇から開放され平和な生活に入る。クラス替えに伴い新たな友人もできた。だが、その友人が元で危機が迫ることに…。南雲ゆみは大学に入学。萩野との間に生活の微妙な差異が生まれそうになるものの、関係は良好だった。しかし新たに始めたバイト先で南雲はある人物と知り合う。謎につつまれたこの人物、徐々に南雲の心境に変化が現れていくのだが…。前作までに度々見られたようなジェットコースター的急展開は今作では見られないものの、平和な生活に徐々に忍び寄る危機を中心に据えて話が展開していくので、今作でもドキドキしながらページを捲ることになるだろう
私見だが、この巻で作品自体のカラーがある程度決まったと思う。この作者のキャリアから推測していた陰鬱で現実に即した観念的なものの見方を提示するという方向性ではなく、作者から観たリアリティのようなものを提示している。その世界観において、現実に起こりうるモラルに反した行為や現象を描くと言う点では以前と変わらないが、以前のようにネガティブな描き方をされず、あくまで日常レベルの温度で表現される。病的な感情は日常においてなんら目新しいことではなくそれを抱えるのは当然という表現だ。そして、今までの作品ならある程度アピールしていた葛藤をほとんど描かない。その点で、作者の提示する世界観は前作より一歩前へ踏み出している
物語は主人公周りの相変わらずの関係を中心に描かれる。そして、楽観的で明るく世間ズレしてない主人公の価値観は、作者が描くところの闇の部分とは相容れない。それが最後まで続くのかは分からないが、主人公の視点があることで闇が相対的にグロテスクに見えるという点は変わらない。5巻に期待
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