Unplugged in New York

2005年3月31日 音楽
Nirvanaのアンプラグドアルバム

本作は、カート・コバーンの不慮の死の前に録音されたニルヴァーナ最後のアルバムである。その怒りを抑え余分な音を削ぎ落としたアコースティック・サウンドは、多くの人に驚きを持って迎えられた。「おれは誓って拳銃を握らない、握らない」とコバーンが歯を食いしばって歌うときや、耳について離れない初期のナンバー「About a Girl」がその穏やかなギターにもかかわらず身を凍らせるとき、その微妙な陰影にリスナーは近年屈指のバンドであるニルヴァーナのまた新たな一面を発見することだろう。また、カヴァー曲も本作のハイライトであり、ミート・パペッツの3曲(スペシャル・ゲストにそのカレッジロックバンドのメンバーであるカートとクリス・カークウッド兄弟を迎えている)や、チェロが泣きむせぶヴァセリンズの「Jesus Doesn’t Want Me for a Sunbeam」や、デヴィッド・ボウイの「The Man Who Sold the World」が収録されている

MTVのプログラムである「アンプラグド」に出演した際のライヴ音源をまとめた作品。ニルヴァーナのパブリックイメージである轟音で畳み掛けるような演奏と悲痛なヴォーカルは影を潜め、弦やアコースティックギターを前面に押し出した演奏と、淡々とメロディをなぞるヴォーカルによる落ち着いた楽曲が並べられている。上記にあるようにカヴァーも多いが、作品として見た場合整合性がある選曲になっている

ニルヴァーナというバンドの音源として聴く方も多いとは思うが、この作品はそういった部分を越えて一つの作品として独立した魅力を持っていると思う。カート・コバーンの歌唱はあくまで淡々としたトーンを崩さず、しかしながら演奏の落ち着きも相まって声質の魅力が剥き出しになりリスナーに訴えかける。ニルヴァーナの音源にある本質的な部分を上手く抽出しているという印象だ

個人的には、このアルバムでニルヴァーナに入り、以後ベストアルバムがリリースされるまでこの作品のみを聴いていた。「All Apologies」は当時歌詞の秀逸さにやられ、カート・コバーンの周辺情報を知って納得した楽曲。名盤

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