Loveless

2005年4月3日 音楽
MY BLOODY VALENTINEの代表作

マイ・ブラッディ・ヴァレンタインは全キャリアを通して、ケヴィン・シールズが頭の中に思い描いた完璧なギターノイズを追い求めた。ピュアで暖かく、中性的でありながらどっぷりとセクシーな音の洪水を。本作には圧倒されるばかりだ。シールズとビリンダ・ブッチャーのギターとボーカルはひとつに溶けあい、おぼろげなオーケストラのように響く。リズムセクションは荘厳なリズムを刻みながら、ときおり(シングル曲「Soon」のように)ダンスビートを炸裂させ、ゆがみひずんだ生音を浮かび上がらせる。猛烈なまでに騒々しいが、攻撃的というより魅惑的な本作は、ひとつのトラックから次のトラックへと溶岩流のようによどみなく流れ、すべてを包みこんで至福の轟音(ごうおん)を鳴らし、恋人のからだの鼓動のように脈打っている

シューゲイザーというジャンルの先駆者となった作品と言われている今作。個人的にこのジャンルはRideから入ったので、さかのぼる形で聴いたのだが、ご多分に漏れずドリーミーな轟音のギターの壁とささやくように歌うヴォーカルによるある種メルヘンチックな世界観が構築されている

この作品はそういった幻想的な世界観の提示がメインとなり、作品単体で独立した流行に左右されない価値観を構築し訴えかけてくる。その世界はどこまでも優しく高揚感があり轟音のギターワークでエッジを立たせつつも癒しの要素が色濃い。日常に彩りを与えたりテンションを与えたりする作品ではないのだ。その為、この作品を聴いている間だけは箱庭的な居心地の良さを感じることになる

名盤だと何度もアナウンスされているので時期的に流行を逸している気もするが、やはり良い。懐かしさを感じます

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