LADY KILLERS

2005年6月14日 映画
コーエン兄弟監督、トム・ハンクス主演の犯罪映画

ジョエル&イーサン・コーエンの兄弟が、初めて共同監督としてクレジットされたクライム・コメディー。自称「教授」が率いる犯罪集団が、信心深い女主人がひとりで暮らす下宿屋を借り、地下室から係留されたカジノ船の金庫までトンネルを掘り進む。計画は成功するも、すべてが女主人にばれてしまい、教授らは彼女を始末しようとするが…。元ネタは1955年の傑作『マダムと泥棒』。舞台はロンドンからアメリカ南部に移された。コーエン兄弟のオフビートなコメディー感覚が生かされるのは、とても腕利きの犯罪者には見えない5人組のキャラクター設定だ。5人が勘違いの行動でとぼけた笑いを誘うが、やはり場をさらうのは、インテリ教授を大げさな表情とセリフ回しで演じるトム・ハンクス。マイペースを貫く女主人役イルマ・P・ホールも、ハンクスに劣らぬ存在感を発揮する。物語は後半、ブラックな展開もみせるものの、全体としては、かつてのコーエン作品にあった強烈な毒気は感じられない。犯罪モノとしてはドラマの流れが停滞気味だが、小粋なコメディとして観れば楽しめるはず

前評判があまり良くなかったので期待していなかったが、結論から言うとなかなか面白かった。コーエン兄弟作品特有のユーモアがあり相変わらず笑わせてくれた。トム・ハンクス主演のサスペンスタッチの犯罪映画みたいな煽り方だったので、映画の広告の打ち方間違ってますよと言いたくなったが・・・

物語はオフビート・・・というより、単にコメディタッチになっていて、トム・ハンクス率いる犯罪者たちが、犯罪者である事をひたすら隠そうとするもののボロがあちこちにでてしまい四苦八苦するという部分が面白さの中心になる。トム・ハンクスが選んだ仲間たちも自己主張が強く、結果的に犯罪が露呈するという展開になる。しかし、この作品の底に流れる田舎っぽさというか垢抜けなさが物語を笑える方向へ導いていく

この作品のトム・ハンクスは秀逸だ。近作だと「ロード・トゥ・パーディション」、「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」を観ているが、役者としてはトム・ハンクスという素の人格を出して演技するタイプだと思っていた。例えばブルース・ウィリス的な、どの映画でも同じキャラで通すしそれを求められてキャスティングされているといったような役者というか。ところが今回のトム・ハンクスは全く違う。スノッブで上品、だが間の抜けた犯罪者という役柄を、少し太りひげを生やしつつ粗野ではないような振る舞いと見た目に仕上げ、今まで観たことのない役柄を作り上げていた

上品で洒落の利いた作品に仕上がっている。なかなか良いです

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