漫画家、河下水希が描く学苑ラブコメ。

淳平の記憶にない、綾を抱きしめた時間…。綾から告げられた真実、そした託されたある日のノートの続きとは!? 一方、自らの夢を求め、パリへ向かうつかさの想いは!? 夢と恋を追い続けて??いちご、感動の終焉!! 同時収録/番外編「京都初恋物語」

このご時世にきちんとした画力で“男性向けの”精神的な恋愛模様・暖かなコミュニティをポジティヴな価値観で描いた「きまぐれオレンジロード」を系譜にした王道ラブコメマンガ。それもついにこの巻で完結することになった。個人的には、なんだかいきなり終わってしまったような印象だが。

内容はわりと普遍的なもので、冴えない主人公の男性に何人かの可愛い女の子がよってきてあれやこれやと粉をかけるというもの。彼女たちは主人公に選んで欲しいと思いつつ、生々しい恋の鞘当てはせず友情を育む・・・と。序盤から中盤にかけては女の子たちの魅力を様々な形で(主に肉体だが・・・)魅せて行き、そこからは序盤から展開していたサイドストーリーである主人公・真中(まなか)の夢や将来に焦点をあてていく。こういった作品のカラーを逸脱せず、あくまで読者に夢を与えようという趣旨で物語は進みハッピーエンドを迎えることになる。

何人もの女の子が登場するが最終的にはメインのヒロイン2人に絞られ、どちらを選ぶかという序盤からのテーマに舞い戻る。内気でけなげな女の子と活発で行動的な女の子・・・。主人公は後者を選ぶのだが(ネタバレになるのだろうか・・・)、これは主人公と活発な彼女がくっつくことが読者から求められていたとかなにがしかのメッセージになるとか整合性があるとか、そういう目的でくっつけたわけではなく、“振られたほうの”女の子の一途な片思いの物語、という底に流れるテーマを重視した為ではないかなぁなどと思うわけでして。

セクシャルな描写が蔓延し読者も世間ズレしたこのご時世に縛りのある少年誌でラブコメをやるというのはなかなか難しかったような気もするが、この作品はそこを「作り出された世界観の心地よさ」という正攻法で勝負しある程度の結果は残したのではないかと。

コメント

nophoto
アキ
2005年12月19日22:21

まったくの通りすがりのものですが、コメント失礼します。

この漫画、最初の方を昔ちらっと読んだことがあるのですが、
最後には活発なほうの女の子とくっついちゃったのですね。

てっきり内気な方とくっつくのかと思ってました。
最初に出会ったのも彼女だったので。

それにしても、19巻まで続いていたのですね。
長い長い。

マーキー
マーキー
2005年12月19日23:30

はじめまして。
どうやらそういうことになったみたいです、このマンガ。
その辺りは某掲示板で大荒れだったみたいですが。
まぁ、内気な子を救済するのが定石だとは思います。
でも、それをあえてくつがえした部分を評価しますね。
リアリティのない絵空事を描いてきた作者の最後の抵抗、
というか。
それに、内気な子は主人公と付き合わないことによって
将来が開けている部分もあるわけですよ。
昨今の少年ジャンプが腐女子も御用達になっていることを
考えれば、彼女たちが感情移入するのはどう考えても
内気な子のほうですし、彼女たちの夢も補完する必要が
あったのでしょう。悪いことだとは思いません。

なんにせよ、よく頑張ったなぁと作者を激励したいです。

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