漫画家、島本和彦が描く漫画家の内実。

決して妥協を許さない、あの大熱血マンガ家・炎尾燃が帰ってきた! リアルとフィクションの狭間に生まれた、衝撃のマンガ家半実録一代記!!

熱血中堅漫画家・炎尾燃(ほのおもゆる)の漫画家としての日々の戦い=日常を描いた作品。漫画家が漫画家を主人公にした作品を描くという事で、漫画家にしか分からない業界の内実などを誇張やディフォルメしつつも現実を踏まえて描写する。大きな視点で見れば“職場モノ”ということで、仕事に対する姿勢やモチベーションの保ち方など取り様によってはためになる話もあり。この漫画家のライフワークに近い作品になっていて、「燃えよペン」「吼えろペン」といった一連の炎尾燃シリーズが存在しており、この作品は現在進行形の新作ということになる。

今作は大まかに分けて2つの話が収録されている。現実に実写化された島本和彦の著作「逆境ナイン」試写会の模様を作中の主人公が観て感想を述べるというエピソード。この場合、作者島本和彦=炎尾燃ということになっていて、炎尾の作品が映画化されたという風に置き換えてある。ようは作者の感想を作中の主人公に述べさせるというものだ。この作品の現実と虚構の絶妙な線引き具合を把握していないと僕が何を言っているのかよく分からないかもしれないが・・・。次に前作「吼えろペン」で登場した炎尾燃のアシスタントであり、読者が感情移入するための役割を担っていた英雄(ひろ)という人物のエピソードになる。前作ラストでこの人物は死んでおり、それが実は記憶喪失になりながらも生きていた、という展開。記憶と志を取り戻し漫画家として目覚めるというような話になっている。

この作品の売りは“とにもかくにもアツイ”ということなんだが、現実の様々な境遇や感情・・・降りかかる理不尽さや社会人としての滅私や業界内での処世や・・・そういったものにたいする“妥協”、それに本音を述べあらゆる詭弁を使い最大限の抵抗をするという部分に魅力がある。とはいってもギャグ漫画なので結局現実には勝てませんでした、というオチもつくわけだが。その点で言うと、前作「吼えろペン」よりトーンダウンしている感は否めない。長いものには巻かれろ的ニュアンスが多少出てきてしまっているというか。前作の登場人物を再登場させるだけでは=キャラの個性だけでは面白さは取り戻せないですよ!と一言いいたくなる。主人公はあくまで熱血漫画家・炎尾燃なのだ。

謹賀新年

2006年1月1日 日常
今年の大晦日は帰省した兄弟を含め家族がそろい、寿司や年越し(沖縄)そばなどが並び、呑み食らいつつ一家団欒の様相を呈しておりました。もちろんTVに映っているのは紅白歌合戦。その辺の抜かりはないです。僕は酒ばかり飲んでいたような。兄弟も皆どこかしら考え方が大人になっていて感慨深い。ただ、帰省した当初はあちらでのキャラを引き摺り大人っぽい振る舞いをしていたもののすぐに素に戻っていたのが少し面白かったなぁ。

みなさん、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

Bound for Glory

2005年12月31日
Bound for Glory
チャリティーのために製作されたシングル。

’05年8月末ハリケーン「カトリーナ」により甚大な被害をもたらされたアメリカ南部・ニューオリンズ。ジャズやR&Bをはじめとするこの街の音楽を愛し、現在の彼の地の状況に心を痛める日本のミュージシャンやアーティストたちによりニューオリンズ音楽文化復興支援サポートのためのレコーディング・プロジェクト「Bound for Glory」が実現しました。

上記の通り、日本のアーティストたちによるチャリティという意味合いで製作されたシングル。iTunesのみで販売している。参加アーティストが守備範囲ど真ん中なので、社会的な意義は置いておくとしても非常にこう・・・引っかかるというか。アン・サリー、畠山美由紀、noon、細野晴臣が各々ヴォーカルを取りあるいはデュエットしており、曲調はニューオリンズという土地に特化したような音になっている。とりあえず、下記のサイトで試聴出来るのでどうぞ。

Bound for Glory
http://www.annsally.org/boundforglory/

I LOVE U

2005年12月25日 音楽
Mr.Childrenの作品。

リアルな思いを歌に託し、誠実に伝えていこうとする姿勢はデビューから変わることはない。そのなかで激しいロック・サウンドを展開することもあれば、壮大なラブ・ソングを歌うこともあった。その過程において彼らは、自分たちにとって本当に必要なものとは何なのかを追い求めながら進んできたように思える。そこには、櫻井和寿というひとりの人間が見せる限りないやさしさや苦悩、生きる喜びや不安があり、そんな人間的な成長の証が驚くほど完成度の高い歌に昇華されてきたのだろう。そしてこの新作では、タイトルや曲名からして全体的にシンプルさが目立ち、それは余計なものを削ぎ落としていった感のあるバンド・サウンドと呼応しているかのようだ。4人の演奏は以前にも増してひとつの塊となり、計りしれないほどの求心力を生み出している。「and I love you」や「Sign」など、時代を超えて輝き続けるであろうナンバーの圧倒的な深みの前にあっては、彼らと同時代を生きられることにただ感謝するのみだ。

リード曲である「World’s End」を筆頭に4曲入りシングルから3曲が入り、ドラマ主題歌である「Sign」も含んだ作品になっている。となると聴いた事のある楽曲が多いので新鮮味が薄れてしまいがちだが、シングルとして浮いているのはかなり前にリリースされた「Sign」のみで・・・まぁこの楽曲が既存のミスチルのイメージを最も体現しているというのもどうかとは思うが・・・、言い換えれば“さらに先の”新たな位置を提示しているとも言える。「Sign」が「君が好き」からの恣意的ピュアネス路線を踏襲していたとすれば、現在の楽曲群は恋愛という枠組みを利用し心情吐露をするという方向性をさらに洗練していった結果というか。ラブソングが“酔わせる”ことを前提にしているのだとして、そこから逸脱するような言葉を意図的に盛り込み独特のゴツゴツした手触りを出している。メロディや曲の構成自体は彼らのイメージを守っているので流せばさらっと聴けてしまう。

「Monster」「door」のようなロックテイストの楽曲も今作では復活している。まぁそのあたりはアルバムのバランスを取ることのみに効果的であって、とくに心ひかれるということはない。ただまぁ・・・なんというか、この作品全体に流れる緊張感が。その内実は切迫感や焦燥感からくる奇妙な活力なわけだが、その感覚を歌詞と曲の構成やアレンジで強く伝えてくる。それらの楽曲によって高揚し追い詰められて行き12曲目の「隔たり」へ辿り着くと弦を入れた壮大なアレンジで彼らの真骨頂であるピュアな心を伝えるエモーショナルなバラードが待ち受けているわけで。さすがだな、と。最後の「潜水」という楽曲で日常的な心象風景を描ききちんとリスナーを現実へ送ってこの作品は終わる。一聴して思ったが、もはやこれは“芸”の域に達しているというか。彼ら自身のアーティストイメージをここまでコントロールし、自己満足にならずリスナーを楽しませる事を忘れていないとなると・・・。まぁ正直自分の人生のBGMにするという王道の聴き方を否定している部分があるので、その意味合ではエゴが十二分に感じられるわけだが。

クリスマス・イブ

2005年12月24日 日常
まぁ去年も同じ日に同じ事をした覚えがありますが・・・。
今年は自作の鳥の丸焼きを作ることになりました。
昨日からにんにくやらに漬け込んでるわけです。
さかのぼって去年の記事をチェックしてみると、
なんだか一年ってあっというまだなぁと。
それではみなさん、メリークリスマス。
漫画家、河下水希が描く学苑ラブコメ。

淳平の記憶にない、綾を抱きしめた時間…。綾から告げられた真実、そした託されたある日のノートの続きとは!? 一方、自らの夢を求め、パリへ向かうつかさの想いは!? 夢と恋を追い続けて??いちご、感動の終焉!! 同時収録/番外編「京都初恋物語」

このご時世にきちんとした画力で“男性向けの”精神的な恋愛模様・暖かなコミュニティをポジティヴな価値観で描いた「きまぐれオレンジロード」を系譜にした王道ラブコメマンガ。それもついにこの巻で完結することになった。個人的には、なんだかいきなり終わってしまったような印象だが。

内容はわりと普遍的なもので、冴えない主人公の男性に何人かの可愛い女の子がよってきてあれやこれやと粉をかけるというもの。彼女たちは主人公に選んで欲しいと思いつつ、生々しい恋の鞘当てはせず友情を育む・・・と。序盤から中盤にかけては女の子たちの魅力を様々な形で(主に肉体だが・・・)魅せて行き、そこからは序盤から展開していたサイドストーリーである主人公・真中(まなか)の夢や将来に焦点をあてていく。こういった作品のカラーを逸脱せず、あくまで読者に夢を与えようという趣旨で物語は進みハッピーエンドを迎えることになる。

何人もの女の子が登場するが最終的にはメインのヒロイン2人に絞られ、どちらを選ぶかという序盤からのテーマに舞い戻る。内気でけなげな女の子と活発で行動的な女の子・・・。主人公は後者を選ぶのだが(ネタバレになるのだろうか・・・)、これは主人公と活発な彼女がくっつくことが読者から求められていたとかなにがしかのメッセージになるとか整合性があるとか、そういう目的でくっつけたわけではなく、“振られたほうの”女の子の一途な片思いの物語、という底に流れるテーマを重視した為ではないかなぁなどと思うわけでして。

セクシャルな描写が蔓延し読者も世間ズレしたこのご時世に縛りのある少年誌でラブコメをやるというのはなかなか難しかったような気もするが、この作品はそこを「作り出された世界観の心地よさ」という正攻法で勝負しある程度の結果は残したのではないかと。

リアル 5

2005年12月13日 漫画
漫画家、井上雄彦が描く新たな切り口のバスケ漫画。

健常者の高校生、身体障害者の若者、そして事故により身体障害を持つに至った高校生の3人を主人公に据え、彼らの現実を浮き彫りにする作品。ゆるやかなペースで連載は続き、1年周期で単行本がリリースされている。

バイク事故で同乗者の女性が脚に障害を持つことになり、それに伴い高校を退学になったもののたくましく日々を過ごす「野宮」(のみや)、高校時代陸上の選手だったものの脚に障害を持ち、現在は車椅子バスケで活躍する「戸川」(とがわ)、野宮と同級生で、交通事故により下半身不随になりリハビリ中の「高橋」、この3人の日々・・・それぞれの精神的な戦いがランダムに描かれていく。

この巻では、高橋のリハビリに焦点が当てられている。高校でいわゆる人気者だった彼はその当時の周囲からの扱いが現実の自分にとって標準であり実力に見合ったものである、という固定観念から抜け出せず、自分の中で下に見ていた“障害者”になった現実を受け入れられない。それは、「障害者になったら学内で地位が下がる」というような、学校という狭い価値観から抜け出せないということだが。彼はこれから一生その障害を背負い人生を過ごすという部分まで考えが回らない。周囲の思いやりや懸命な看護に対して感謝の心を持つというような心も育っていないのだ。自分の憤りを周囲が受け入れてくれる事を前提にした振る舞いはこの巻で打ち砕かれることになる。

車椅子バスケで順調に結果を残している戸川は、車椅子バスケチームの強豪ドリームスからの誘いを断り、弱小である所属チームタイガースでプレイする事を望む。そこに以前戦い負けたことのあるナガノミツルが現れ、チームに合流する。2人はこのチームを強くするという目標を掲げる。

バイトもなかなか見つからずぼんやりとした日々を過ごす野宮は自分が傷つけ障害を持った女性へ会いに行く。彼のどこまでも自分の価値観で物事を観る振る舞いによって、彼女は少し人間らしさを取り戻すことになる。

結局のところ、野宮が“障害者を見る若者の視点”、戸川が“障害者としての理想像”、高橋が“障害者の実情”を象徴しているようなそうでないような。特に涙に訴えるわけでもなく、かといって賛美するわけでもないタイトルどおりの「リアル」な温度で物語は淡々と進んでいく。学生という部分から離れ、社会における彼らという風にシフトしているような。

次巻は来年。また地味に待つことにします。
漫画家、ひぐちアサが描く高校野球。

全国高等学校野球選手権埼玉大会開幕!西浦高校野球部の初めての公式戦が始まった。気後れなし、緊張なし、強豪・桐青(とうせい)相手に西浦ナインも最高のコンディション、語り継がれる名試合、暑くて長いゲームが始まる!

気弱でコミュ不全気味だが制球力が抜群である投手・三橋(みはし)を主人公に据えた高校野球マンガ。

今年新設されたばかりの野球部はメンバーが一年生のみながらそれゆえに結束力も高まり、フィジカルだけでなくメンタルな部分でのトレーニングを導入し着実に実力をつけていく。そしてついに大会が始まることになる。

この巻はほぼすべて試合のシーンになっている。新設校という事で選手のデータがないものの、桐青は西浦を通過点として軽く観ていることもあって“戦略”を無視した実力のみでねじふせようとする。西浦はそれを逆手に取り、優勝候補という事でデータの出しつくされた相手に綿密で勢いのある戦略をたて挑んでいく。

日常を描く際は主人公である三橋の視点が中心になるが、試合においてはあくまで選手の1人として扱うのだろう・・・と思っていたが、今回も三橋の主観から観た試合の模様にページを割いている。本来なら取るに足らない小さな喜びを少しずつかみしめる様が描かれる。一応この作品は、一度完全に精神的に潰された三橋が回復していくあるいは自信を取り戻していくというテーマがあるようなので、そういった描写も必要かと。また、その視点から観る高校野球というものは多少新鮮味があるわけで。

試合の内容は相変わらず。選手の思考が交錯し、相手の考えをいかに読んで裏をかくか、というような展開になっている。監督ではなく選手自身がそれを行う・・・つまり試合を組み立てるという部分で、主役はあくまで試合に参加する選手である、と分かるようになっている。その辺りは「ラストイニング」と違うが、あの作品が時折“頭脳と手足”という風に見えてしまい、その“頭脳”を世慣れた大人がこなしているという味気なさを感じるのに対し、この作品はあくまでも高校生の能力=輝きという視点から描き出しているような。

確実に格上の桐青を相手にしつつも1回戦で負けてしまうようなリアリティ溢れる展開にする作風でもないかと。つまり、“どう勝つか”という部分を魅せてくれるのだろう、と期待。

道士郎でござる

2005年12月3日 漫画
漫画家、西森博之が描く青春モノ

ネバダ州から本物の“武士”がやってきた! 3歳から12年間をアメリカで過ごした青年・桐柳道士郎が、ナゼか羽織袴姿で故国に見参 現代ニッポンの高校に時代の風を巻き起こす!!

ヤンキー讃歌の「今日から俺は!」を代表作にする作者の新作。一貫して学苑物=青春モノを描き続けている作者が、少々トリッキーな設定を使い、新たな物語を紡ぎだす。

アメリカのネイティヴ・アメリカンと共に過ごし、その風習を叩き込まれつつも親の意向で偏った日本人観を植えつけられた高校生・道士郎が日本の高校へ転入してくるところから物語は始まる。古来からの道徳・慣習を叩き込まれ、着物とちょんまげのいでたちで“武士道”を志す道士郎が、平凡で小市民である主人公と出会い、彼に忠義を誓う。彼の古臭すぎて逆に新鮮な道徳的価値観によって、弱肉強食的なヒエラルキーが次々と塗り替えられていく。主人公は彼をコントロールする役割を押し付けられ、その結果彼自身も人間的に成長していく。

設定こそ荒唐無稽でリアリティを度外視しているものの、語られる内容は極めて普遍的だ。日和見主義で日々をしのぐ主人公に感情移入してカタルシスを得るという逃避的楽しみ方をすることをまず第一に描いてはあるが、それ以外にも、昨今のこの作者の傾向である、グレた人間が道徳的な人間らしさに触れ心を打たれたときに見せる表情、そういうものを今回も変わらずに描いていっている。「人間は捨てたもんじゃないんだよ」というメッセージと取るのは気恥ずかしいが、それをあくまでギャグのオブラートにつつんで差し出してくれるので、それを受け取るこちら側はヘラヘラと笑いながらも地味な感動がある。大笑いできてなおかつ暖かな気持ちになれる作品に仕上がっている。
So-netのほうにブログを設置して、最も期待したのが「コメント機能」でした。
なにかしら有意義なやりとりがあるのでは・・・!などと夢を膨らませていたわけです。実際のところはほとんど人が来ないので、コメントを残す以前の問題という・・・。
最近ある方に指摘されたのですが、レビューだけだと「お前ら読みたければ読みなよ」という態度に見えるそうです。尊大かつ傲慢で鼻持ちならない、とまでは行かないが、コメントを求めているスタンスには見えないというか。それで「うーむ、どうしたものか」などと考えていたところへ、今回のダイアリーノートコメント機能導入。秘密日記とどう差別化を図るのか読めませんが、1年以上もやってきたここならそれなりに認知度もあるだろうし、アクセス解析を見ても常連さんが少しついているようだし、そんな方たちがコメントを残してくれるかも、などと考え、外部からのコメントも受け付けるようにしました。

ただ、どの記事にコメントがついたのか分かりにくいので、サイドバーに最新コメントの欄を設けて欲しいというのと、タイトルのそばにコメント数が出るのは“格好悪い”ので、普通のブログ的に記事の下のほうにお願いしたいなぁ、なんて考えてみたり。

追記。
ダイアリーノート運営の的確かつ迅速な行動により、あっという間にサイドバーに新着コメント欄が設置。やるなぁ。

D-LIVE!! 12

2005年11月28日 漫画
漫画家、皆川亮二が描くアクションモノ

どんな乗物でも完璧に乗りこなす天才高校生ドライバー・斑鳩悟。その才能を生かして悟が奇跡を起こす、スーパーマルチドライビングアクション!!

主人公、斑鳩悟(いかるがさとる)は自己主張が少なく常に金に困っておりバイトに明け暮れている高校生、そういう風に仲間たちには認知されている為、クラス内での地位は異様に低い。「斑鳩のクセに生意気だ」といった扱いだ。しかし、そんな彼が勤めるバイト先とは世界最高規模の人材派遣企業「ASE(エース)」だった。世界最高水準を誇る人材のみを集めたその企業内で、彼は“マルチドライバー”として所属している。エンジンのついた乗り物ならなんでも乗りこなし、命がけの危険な任務に「報酬1万円」という金額で毎回放り込まれている。その卓越したスキルで依頼者の要望に応えていく、という物語が数話完結で編まれる。

この巻は3話を収録している。主人公を育て、会社の重役であった元マルチドライバーの百舌(もず)が唐突に会社を辞め、ASE内は混乱に陥る。そして彼はASEに敵対する組織へと身を寄せていた。彼の意図は描かれず、その代わりASEの情報を彼らに流す模様が描かれる。次に、主人公が高校の修学旅行へ行きトラブルに巻き込まれるというエピソードが。つるんでいる仲間たちと共に誘拐され、彼らに必死で隠していたマルチドライバーとしての能力を使い友人たちを守る、という話になっている。最後は、人材派遣としての純粋な依頼で鉄道を運行するというエピソード。今回はなんだかエピソードの内容を凝縮したように思えるのだが・・・。

信頼していた上司の失踪による社内の混乱(敵方についたことは主人公側に明かされず)や、彼の指導の下敵方がスキルアップを図る事を匂わせる描写は、主人公が卓越したドライビングテクニックを持つという部分を描きすぎたための・・・いわゆる“敵のインフレ化”の逆を行った展開の誤差修正のような。ようするに、「ドラゴンボール」などで前回の敵を上回る新たな敵が出てきてしまい話の収拾がつかなくなる、そういった展開の逆で、主人公が強くなりすぎてしまい敵役が魅力的に見えなくなってしまうというか。「はじめの一歩」などもそういうノリに陥っているように思える。そういった敵役の実力にテコ入れするために、かつて主人公を育てた指導者が敵を育てる、というような展開に持っていっている。

物語は以前登場した人物で固めてあるため、安心して読む事ができる。人物同士の絡みにデジャヴを感じる、ということだが。基本的に数話完結なので、マンネリに陥ることさえいとわなければいつまでも続けていける内容ながら、全体的な物語の流れが大きく動いているので面白くなってきたという印象。
漫画家、中原裕が描く高校野球漫画。

汗と涙ぁ…そんなモンいらねぇ! かつて名門、今は弱小の私立彩珠学院高校野球部にやってきた問題児監督・鳩ヶ谷圭輔が、硬直しきった高校球界の常識を変える!!元3Aの選手もいる米軍チーム相手に奮闘した彩学野球部。春の県大会を目前に、投手力不足を一挙に解決する"大型外国人投手"が出現? 実力が確かなら、留学生枠で入学させることも可能なのだが…!?

この巻は2部構成になっている。沖縄合宿の終了後、沖縄で知り合った人物の紹介で選手の補強をするという話になっている。沖縄合宿で“非公式に”練習試合を組んでいった彩学だが、強豪・聖母学苑との試合で善戦しある程度の実力を身につけている彼らにとっては正直物足りない相手ばかりだった。格上の相手と戦うことで実力を伸ばそうと考える監督・鳩ヶ谷は試合のブッキングをするライターを脅し、結果として沖縄駐在の米軍チームと試合をすることになる。メジャーリーグの3軍あたりにいた選手・・・ようは“元プロ”を含むチームを相手にすることになった鳩ヶ谷は、何故か今までの緻密な戦略と選手への指示を放棄し、選手たちに「自由にやれ!」と述べる。彼らは練習試合とはいえ格上の相手に自分の頭を使いあれこれと試行錯誤しながら試合を進めていく。その後埼玉に舞い戻った鳩ヶ谷は投手不足に着目するが、そこへ新たな投手が現れることになる。

今回は、いつもの監督・鳩ヶ谷の薀蓄は特に無い。選手の自主性によってチームを自給自足あるいは自立させようとする様が中心に描かれる。ある程度の基礎知識を身につけさせた彼らに自分の力で応用させ試合を組み立てさせようという思惑のようだ。そういった点で言うと、この作品の魅力の大部分であるメンタルな野球理論の披露という面白さは減退している。どちらかというと“甲子園出場に向けて!”という物語自体を押し進めようとしているような。

じわじわと、徐々に徐々にチームが出来上がって行きつつも、スランプに陥る選手の描写も挟まれ、単純に盛り上がる展開ではなくなっている。鳩ヶ谷自身、選手への指導方針以前の自分のスタンスを見直す場面もあり。まだまだ道は険しいかと。
芳崎せいむが描く映画讃歌。

山手テレビ『金曜深夜テレビキネマ館』の超問題プロデューサー・崋山と、正義感いっぱいの新入社員・マキノが、極上の映画とハッピーをお届けします! 心温まるカルチャーコミック新機軸!!永遠の映画少年(?)崋山によって、次々と『テレキネシス』で映し出される名画たち。古い映画を見なかったマキノも、徐々に映画の力に魅了されていく…。各話ごとにコラムも収録した、本格映画再発見コミックが登場!

「金魚屋古書店」の芳崎せいむが“映画の名作”を題材に描いた作品。基本的に、取り上げる作品が人生に良い影響を与えたりといった話を描いているため、読後感は「金魚屋」とよく似たものになっている。

山手テレビに入社した新入社員の主人公・野村真希乃(のむらまきの)は映画に関連した業務を志望している。上司に呼ばれ所属の部署を告げられるが、そこは深夜帯に設けられた番組「金曜深夜テレビキネマ館」担当への配属という、いわゆる窓際的なものだった。地下にあるその部署は東崋山(あずまかざん)という男性社員が1人で切り盛りしており、一時社内で実力を評価されていたものの上司に歯向かい左遷された、という逸話付きの変わり者だった。彼と映画事業部の橋渡し役を頼まれた主人公と東崋山の奇妙な共同作業が始まっていく。

この作品は簡単に言ってしまえば、初期の「美味しんぼ」形式だ。社内のはぐれモノに読者の代弁者である女性がつき、1話完結で取り上げた作品の魅力をアピールする。この巻では「風と共に去りぬ」「オール・ザ・キングスメン」「エルマー・ガントリー」「サンセット大通り」「愛と青春の旅立ち」「大いなる勇者」「アスファルト・ジャングル」といった作品が並ぶ。それらの作品が日常レベルでどういった形で受け取られ感動を呼ぶか、という切り口で物語は編まれ、1話ごとに作品の詳細な解説がつくという点も「金魚屋」と変わらない。ただ、この作品は主人公と東崋山の味付けが多少濃い目であるため、作品の良さを賛美する部分以外に主人公の職業ドラマという部分の比重も大きくなっている。
ビートルズのカバー集

みんな、おやすみ・・・
10人の歌姫による「夢のビートルズ名曲ララバイカバー集」

【プロデュース】
鈴木惣一朗(ワールドスタンダード)

【参加アーティスト】
アン・サリー / イノトモ / 首里フジコ /chie /中納良恵(エゴ・ラッピン) / noon / 畠山美由紀 /原田郁子(クラムボン) / ボファーナ / 湯川潮音

【参加ミュージシャン】
青柳拓次(el g/el b)・伊賀 航(ac b)・影山敏彦(ac g)・ガンジー西垣(ac b)・末永千湖(violin)・鈴木惣一朗(ds/ac g)・曽我大穂(ukulele/pianica他)・高田 漣(el g /steel g )・田村玄一(steel pan)・中島久美(violin/viola)・藤原真人(p/celesta/rhodes/org/vib)・山上"Hit-me"一美(flute/sax)山本哲也(strings arrgt.)・吉野友加(Irish harp)

様々な女性アーティストによるビートルズのカバー集。タイトル通り“子守唄”ということで、柔らかな楽曲が並ぶ。

参加アーティストをある程度知っている方はもちろんのこと、知らない方も楽しめること請け合い。ビートルズ、というある種普遍的な評価を受けるアーティストを題材にしつつも、彼女たちのそれぞれのスタンスからのアプローチは心地よく暖かい。基本的に“良い夢を!”というテーマなので、皆優しく落ち着ける歌唱をしているような。このブログで取り上げてきたアーティストは磐石な実力を魅せているが、個人的にchieの「Across The Universe」にはかなりの魅力が。フィオナ・アップルのカバーにも負けていないかと。

ジャケットなどのアートワークや内容、参加アーティストも含めて“心地よい優しさ”をアピールしているようなので、それを受け取りたいかたは是非。Good Night!

<収録曲>
Here Comes The Sun / 畠山 美由紀
Across The Universe / chie
Julia /イノトモ
Yesterday / アン・サリー
I Will / 原田 郁子
Sun King / noon
In My Life - インストゥルメンタル
Ask Me Why / ボファーナ
Dear Prudence / 中納良恵
Honey Pie / 首里フジコ
Because / 湯川潮音
I’ll Follow The Sun - インストゥルメンタル
Goodnight / アン・サリー

移行作業終了

2005年11月14日 日常
日本科学技術大学教授・上田次郎の著書。

鏡の前に立ち、自分自身に向かってこう唱えるんだ。なぜベストを尽くさないのか-。TVドラマ「トリック」でおなじみ上田次郎教授が贈る「人生指南書」。巻末には「栄光とベストの軌跡」と題した上田次郎年表を収録。

とりあえず、この辺で手を打つことにしました。
残った分はいずれ書き直すことにしよう。
新規の記事もぼちぼちと・・・。
それではまた。

煮詰まり中

2005年11月13日 日常
日本科学技術大学教授・上田次郎の著作。

TVドラマ「トリック」でおなじみ上田次郎教授が、今まで解決した事件を詳細に分析。上田教授の生い立ちや教授になるまでの道のり、「トリック劇場版」の情報も。山田奈緒子ら関係者の証言集付き。


どのあたりで移行作業を終えるか判断できず。
個人的にはそろそろめぼしいものは移したような印象。
ここで終えて、移してない分の作品は新たに書き直してみるか。
あれこれ考えつつ「TRICK」を観て吹き出したり。忙しいっす。
1年半以上やってきたこのブログ、
記事の多さに挫折しそうです・・・。

読み返してみると、
現在の自分ならこう書かないだろうなぁという
違和感を感じる点が出てきます。
そういったわけで、向こうのほうは細かな部分をあれこれと直して
現在の自分の切り口とのギャップの修正・・・
そして普遍性を持たせようと四苦八苦しています。
これがまた難しいんですよね。
なんとか早めに終わらせたいところなんですが・・・。

向こうのブログの利点を利用しようと思い、
ブログペットなんかも導入してみたり。
まだもう少しかかりそうです。

只今鋭意作業中

2005年11月11日 日常
ぼちぼちと作業は進んでおります。
一気に移行すると、ちょっとまずいんではないかという・・・。
いわゆる“勘”が働いたので、一日にある程度の量をUP,
という形で様子を見ているところです。

そんな作業中に場に馴染もうとあれこれ観ていたら、
こんなものを見つけました。宮崎駿監督の動画インタビューです。
いやぁ、言うなぁ。一応、普通のジブリユーザーよりも彼の毒舌には耐性があったつもりなんですが。糸井重里が導入部分を担当しています。こちら。
http://www.1101.com/miyazaki/

近況報告

2005年11月10日 日常
この度、So-net.blogのほうに、
アーカイヴとしてブログを開設しました。
もしよければこちらのほうにも足を運んでください。
ダイアリーノートのほうで新作記事をUPし、
その後So-net.blogに移行するという形をとるので、
このブログは継続しますよ。
So-net.blogはこちら↓

雨の日と月曜日には
http://blog.so-net.ne.jp/marquee/

まだ移行し切れていないので、新規の記事はしばらくお待ちください。
ジャッキー・チェン主演作品

今や世界を代表するアクション・スターとなったジャッキー・チェンが古巣の香港映画界に完全復帰してお届けするアクション・エンタテインメント。ゲーム感覚で凶悪犯罪を続ける若者グループを追っていた香港警察のチャン警部(ジャッキー・チェン)は、彼らの罠にはまり、部下たちを皆殺しにされてしまう。失意のうちに生気を失い自暴自棄の日々を過ごす彼だったが、新たな相棒シウホン(ニコラス・ツェー)が現れ、やがて再び正義の心を取り戻していく……。ジャッキーの人気シリーズ『香港国際警察』の最新作。ただし、前3作と人物的な関連はない。さすがにしわの増えてきたジャッキーだが、ここでは妙に若作りせず年相応の渋い魅力を発散させながら初々しい若手スターたちを引き立てることにも成功している。とはいえ、アクションの切れに衰えなどまったくなく、またここでは特に前半部、非情なまでにハードな場面を設けて従来のジャッキー映画にはないダーク・テイストをも構築している。最近のハリウッド作品では味わえなかったジャッキー映画の新の醍醐味を久々堪能できる傑作である。

ジャッキー・チェンの新作。なにやら非常に評判の良い作品。香港に舞い戻ったからなのか。とはいっても、ジャッキーはあくまでキーマンとして活躍しており、それ以上でもそれ以下でもない。

犯罪グループを追い、結果として部下を皆殺しにされたチャン警部(ジャッキー・チェン)は、その件で心が折れてしまい、すべての処世を投げ捨て酒に溺れることになる。そこに新任の警官と名乗る青年が現れることで、彼は現実へ舞い戻る事を強いられる。「あなたは警官なんだ!いい加減に思い出してください!」と叫ぶ新米警官と酒で酩酊したチャン警部のおぼつかないやり取りは身につまされる。酒で序盤は使い物にならないチャン警部も徐々に・・・あくまで“徐々に”だが、いつもの身体の切れや頭の切れを思い出していくことになる。悲しいかな、別れた同僚を忘れようとしても、殺した犯人たちはさらなる犯罪を犯そうとしているわけで。

ジャッキー・チェンの映画に普通存在するようなコメディテイストはこの作品においてはほとんど無い。人間としての、社会人としての再起を描いているように思える。それを若さゆえの軽い足取りで後押しする相棒の存在、周りの人間の心配、そういったものが物語のテーマとなっている。

昨今のネット事情を汲んだ作品にしてあるとは思うが、結局はアクションに回帰したという印象。シリアスな作風が上手い効果を挙げて日本でも評価を盛り返したようだ。

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