漫画家、西原理恵子のコラム的な漫画

結婚、出産を経験し、子供を育てる作者の日記的な漫画。相変わらず自虐的な身を切り売りするような話で笑えるが、「ぼくんち」的な哀しみを含んだ寓話的なニュアンスも入っているので、読みやすい。基本的には子育てへ費やす体力が限界でいっぱいいっぱいになってる様を描いている。個人的には久しぶりにこの作者の作品を読んだが、いい感じで作風が変わってると思った

singles

2004年7月12日 音楽
ピチカート・ファイヴのシングルコレクション

このアーティストのベストアルバムはいくつか出ているが、それとは一線を画す作品。出ているベストはマニアックな選曲になっていることが多いので、こちらのほうがベストという意味合いでは妥当だと思う。コーネリアスがプロデュースし、CM曲として使われた「スウィート・ソウル・レヴュー」に始まり、小西康晴の作るポップなサイドの楽曲が満載。個人的には、このアルバムを買った後曽我部恵一が「メッセージソング」をライブでカヴァーした(多分音源化もされたと思う)のが嬉しかった

<収録曲>
スウィート・ソウル・レヴュー
東京は夜の七時
ハッピー・サッド
スーパースター
陽の当たる大通り
悲しい歌
ベイビィ・ポータブル・ロック
メッセージ・ソング
イッツ・ア・ビューティフル・デイ
大都会交響楽
恋のルール・新しいルール
きみみたいにきれいな女の子
ウィークエンド
プレイボーイ・プレイガール
ダーリン・オブ・ディスコティック
nonstop to tokyo
パーフェクト・ワールド
東京の合唱~午後のカフェで
12月24日

VIVA CALCIO

2004年7月12日 漫画
漫画家、愛原司のサッカーを題材にした作品

素晴らしい身体能力を持つ高校生の主人公が単身イタリアに渡り、セリエAのフィオレンティーナというチームに所属しリーグ優勝(スクデット獲得)を目指し奮闘する

この作品はまだ日本にサッカーが浸透していない頃に連載されたので、今ひとつ人気が出なかったようだ。当時の有名選手・・・フリット、ロベルトバッジオ、ゾラ、バティステュータ、デルピエロなどと日本人選手が対等に渡り合うというシチュエーションに夢を抱けた時代の話というか。まぁ、当時のセリエAを観ていた人なら楽しめるはず

フィオレンティーナもこの作品が完結した後、2部落ちしたり色々だったからなぁ・・・

夫婦茶碗

2004年7月11日 読書
小説家、町田康の中編
表題作「夫婦茶碗」、「人間の屑」の2編を収録

無職で生活に困窮している夫婦を描いた「夫婦茶碗」、隠遁している元パンクロッカーの珍奇な生活を描いた「人間の屑」、他の作品と比較してみるとテーマにそぐわず・・・いや、合ってるのかも知れないが、文体や展開、描写等が妙に客観的かつ落ち着きがあり、矛盾するかもしれないが、独特の情熱的な諦観に溢れていて、作者の視線のバランスが凄く良い

この作品は正直言って「人間の屑」を表題にしたほうが良かった気がする。まぁ、それだとセールスに響くのかもしれないが、「人間の屑」の情けなさと笑いの要素はかなり秀逸だ。というか、「夫婦茶碗」の世界観は薄められエッセイとして再利用されているように見受けられるし、その分どうしても評価が落ちる。ただ、この後の作品、例えば芥川賞受賞作の「きれぎれ」なども、この作品あたりで評価されていたからこそ賞を取れたと思うわけで。あの作品は微妙すぎるし。まぁなんにせよ、町田康にまず入るならこの作品からがいいと思う。暴力性も抑制されていて日常的で自虐的な等身大の笑いがあり、とっつきやすいと思う

スチームボーイ

2004年7月10日 映画
大友克洋の劇場版アニメーション

制作期間に9年を費やしたらしいが、めでたく完成
どうやらある程度まで製作したところ、その期間に進化したCG技術によりそれを使うと映像に差が出てしまうので1度破棄して作り直したそうだ。そのため制作期間が延びたらしい。ヨーロッパでロケを行い、霧によってぼやけたガス灯や石畳の町並みを撮り映像に取り込んでいるそうだ。鉄の質感も結構凄いらしい

かなり楽しみにしているので、1度観た後改めてレビューすることにしたい・・・
ジャズアーティスト、リー・モーガンの作品

やはり、このアルバム抜きにはリー・モーガンは語れないだろう。64年にビルボードのアルバム・チャートで、最高25位にランクされた作品である。タイトル曲は、同シングル・チャートで最高81位にランクされた。「25位と81位じゃ大したことない」と思う人もいるだろうが、それは実情を知らないのだ。今も昔も、ジャズがチャート入りすれば、それ自体が事件なのである。タイトル曲は、TVの悪漢キャラクターをヒントに書いた、リー・モーガンのオリジナル・ブルース。ただし伝統的なものとは趣が違っていて、8ビートで演奏する歯切れのいいブルースである。これがウケた。その後ジャズのリズムはどんどん複雑になっていくが、当時としては4ビートでなく8ビートでの演奏は斬新だった。そこで従来のものと区別するために、この種のジャズはジャズ・ロックと呼ばれるようになった。ジョー・ヘンダーソンとの2管クインテットによるごきげんな演奏。リー・モーガンの最高傑作ではないかもしれないが、間違いなく最も売れたアルバムである

ブルーノートが65周年記念ということで、膨大なラインナップの中から100枚選んで低価格、高音質で発売するというキャンペーンを現在行っていて、この作品はその中の1枚ということで購入した。個人的にはジャズは良く分からないものの興味があり、よい機会だということで他にも何枚か購入予定

うしおととら

2004年7月9日 漫画
漫画家、藤田和日郎の妖怪を題材にした長編

ふとしたきっかけから妖怪を退治する槍「獣の槍」を手に入れた主人公。しかし、その槍によって封じられていた妖怪を野に放ってしまう。人語を解すその妖怪は主人公を食べるためにとりつくが・・・

これはかなり前の作品だが、全編を通して作者の人生観というか読者に想定している子供たちへのメッセージ性が強い。人間としての心持を伝えようとしているといえばいいのだろうか。主人公のまっすぐな強い意志と、多種多様な登場人物との対比でそれは描き出されている。かといって、説教くさくはなくエンターテイメントとして非常に高いクオリティを持っているし、伏線をこれだけ張りまくって、それをきちんと収束させて完結したマンガはあまり無いと思う。この物語の主役とも言える獣の槍を手に入れた少年「うしお」と、封じられていた妖怪「とら」の絡みは秀逸だ。個人的には登場人物の「とら」を大人の象徴として読んだが、その“とら”が主人公の気持ちに次第に打算を超えて応えて行くのは個人的には心を打たれた。この作品のあまりにもまっとうすぎる価値観は逆に今読んでも響くし、男性なら少年期への憧憬をかきたてられること間違いなし

Forget-me-not

2004年7月8日 漫画
漫画家、鶴田謙二の新作

寡作で知られる鶴田謙二の数少ない連載をまとめたもの。初掲載が97年で、ようやく第一巻の発刊に至る

運河が縦横に走るヴェネチアの旧市街が舞台。20年前に盗まれた絵画「Forget Me Not」を取り返せ、という祖父の遺言を継ぎ探偵となった、日伊ハーフのヒロイン伊万里マリエル。対するのは怪盗ベッキオ。頭脳鋭敏、変装の腕も一流なマリエルだが、どこかピントが外れていたり、巨乳で露出症気味の気があったりと、生き生きとした鶴田謙二ヒロインの系譜は外さない。探偵VS怪盗という構図らしいが、一向に対決する様子もないし、本編でも事件らしい事件が起こるわけではない。また、いつもの鶴田作品にある古きよき冒険科学小説的雰囲気、センスオブワンダーの色合いは薄い

この作家の描くほのぼのとしつつもSFチックで・・・まぁ、これを言ったらお仕舞いかもしれないが、宮崎駿の作風に色気とマニアックなSFテイスト、それゆえの分かりにくさを加味したような世界観は結構好きだ。ストーリーの深みや面白さ、キャラクターの魅力などはあくまで余得であって、結局この作家の描く世界観を楽しめるかどうかが鍵となるし、絵柄がまずありきでそこから世界観を構築しているように見受けられるので、絵柄が好きならおそらく楽しめるだろう

現代のリアリティのある重さはなく、独特のやわらかな読後感があるので、普通の漫画が疲れると感じた方はどうぞ

銀魂 2

2004年7月8日 漫画
漫画家、空知英秋の作品

この作品の存在を知ったのがつい最近だったので、個人的にはコミックスが続けさまに出たという感じだった。なにやら1巻は売れたらしいので、そのせいなんだろうか

万屋を営む“銀ちゃん”が様々な事件にある時は巻き込まれ、ある時は首を突っ込み、またある時は慢性的な金欠を解消しようと奔走するというのが大体の流れだ。この漫画が昨今のギャグ漫画と一線を画し、人気があるのは、大抵の漫画が「ボケ」や「絵」で笑わせようとしているのに対し、この作品は徹底して「言葉による突っ込み」で笑いをとる所だろう。そして、なんだかんだで暴れても最終的には時代劇という舞台設定に見合った人情モノに落ちを持ってくるところだろうか

2巻に入って突っ込みも1巻より冴えてるが、まだ面白いといえるところまで昇ってきてないという印象。とは言ってもコミックスは抜かりなく買ったんだが

ライヴ

2004年7月6日 音楽
スティングの在籍していたバンド、ポリスのベストライブアルバム

この作品は2枚組みになっており、1枚目が初期のライブ、2枚目が解散直前のライブになっている。そのため、演奏曲に重複があるが、初期の勢いを重視した演奏と、後期のクオリティとアレンジ能力の高い熟成された演奏を聴き比べてみるのも面白いだろう。ソロになったスティングには無いグルーヴというかカタルシスは一聴の価値あり

<収録曲>
ネクスト・トゥ・ユー
ソー・ロンリー
トゥルース・ヒッツ・エヴリバディ
ウォーキング・オン・ザ・ムーン
ホール・イン・マイ・ライフ
フォール・アウト
ブリング・オン・ザ・ナイト
孤独のメッセージ
ひとりぼっちの夜
ピーナッツ
ロクサーヌ
キャント・スタンド・ルージング・ユー
ランドロード
俺達の世界
サリーは恋人
シンクロニシティ1
同2
ウォーキング・イン・ユア・フットステップス
孤独のメッセージ
オー・マイ・ゴッド
ドゥドゥドゥ・デ・ダダダ
アラウンド・ユア・フィンガー
サハラ砂漠でお茶を
マテリアル・ワールド
キング・オブ・ペイン
高校教師
見つめていたい
ロクサーヌ
キャント・スタンド・ルージング・ユー
ソー・ロンリー
村上龍の短編集

村上龍『69』以後、’70年代のほろ苦い青春を描く。基地の街から出てきた東京は、ひどく退屈で、やるべきことは何も見つからなかった。麻薬とセックスと音楽に明け暮れた日々の中で、映画は強烈な魅力にあふれていた――。

20年振りに、ロサンゼルスで、ヨウコと再会した。センチュリー・シティにあるホテルのバーに現れたヨウコは、相変わらず痩せていて、化粧気がなく、ゆったりとしたニットのワンピースがよく似合っていた。わたし達は、バーが閉店するまでいろいろなことを話した。あんなにたくさんセックスしたのはあの時だけだったわよ、と7杯目のコニャックを飲んだ後でヨウコはそう言った。ボクも同じだ、と言うと、嘘つきなのは変わってないわね、とほとんど皺のないきれいな顔でヨウコは、楽しそうに笑った

この小説は「69」の主人公が専門学校へ進学した後のエピソードを編んだものだ。時系列としては「69」と「長崎オランダ村」の間に位置している。というわけで、やはり村上龍本人を髣髴とさせるので読んでいて少し萎える部分もある。しかし、この世代を主人公にしたわりに、やさぐれた位置にもスノッブな位置にも凡庸な位置にもシフトせず、独特な冷静さを持った主人公を描き出していて、この3部作の中では一番好きな作品だ。短編は各々映画のタイトルをつけられているが、その映画は作品中にある種の象徴として提示されるだけで、特に知らなくても十分に楽しめる

長崎オランダ村

2004年7月4日 読書
作家、村上龍が描く「69」の主人公のその後

高校時代の後輩ナカムラへの義理で長崎での講演を引き受けた小説家ケン。ナカムラがまかされた長崎オランダ村ワールド・ミュージック・フェスティバルの騒動顛末を聞いて、ケンの想像力は突然、爆発するのだった。世界とは何か、文明とは何かを真摯に追求する、書き下ろし長編小説

この作品は基本的に主人公たちがものを食べながら仕事の愚痴を言ったり聞いたりするというだけの話なんだが、これがなかなか面白い。話しの主軸となる各国の大道芸人達のキャラも立っているし、村上龍の描写の巧みさが浮き彫りになっている。続編モノということで前作のノリを持ち込んでいる部分もあり。まぁ、主人公は中年にさしかかっているし、小説家になっているということでいやがおうにも村上龍を連想させるので少し萎えてしまうんだが

69 Sixty nine

2004年7月2日 読書
村上龍の1969年を題材にした小説

1969年、東京大学は入試を中止した。ビートルズのメロディーが流れ、ローリング・ストーンズも最高のシングルを発表し、ヒッピーが愛と平和を訴えていた。僕は九州の西の端の、基地の町の高校三年生。その佐世保北高がバリケード封鎖された。やったのは・・・もちろん、僕とその仲間たち。無垢だけど、爆発しそうなエネルギーでいっぱいの、明るくキケンな青春小説

見栄っ張りで押し出しの強い主人公の高校生活がストーリーの軸となり、憧れの女子にいいところを見せるために学校をバリケード封鎖しようと企むというのが一応の流れだ。主人公のとってつけたようなスノッブさが内容を伴わず空回りするのはこの作品の笑いどころの一つだ。因みにこの作品の村上龍の文体は非常に面白く、当時の高校生への現在からの客観的な批評精神もあり、読んでいてかなり笑える。映画がどういう風になっているのか少し不安だが・・・

Laundry

2004年7月2日 映画
窪塚洋介主演、優しい人々の心の交流を描いた作品

祖母の経営するコイン・ランドリーで、洗濯物が盗まれないようにいつも監視していたテル(窪塚洋介)は、ある日乾燥機の中にワンピースを置き忘れたまま田舎に帰ってしまった女性・水絵(小雪)を追いかけていく。やがてふたりは、ひょんなことから知り合った中年男サリー(内藤剛志)の下でハトを飛ばす仕事に従事するようになるが…。森淳一によるサンダンス・NHK国際映像作家賞受賞脚本を、自らのメガホンで映画化。小さいころマンホールに落ちたという設定こそあるが、そうした要素すら超えたピュアな青年を窪塚が好演。そんな彼に、いつしか見失っていた安らぎを見い出し癒されていくヒロイン・小雪の美しさも実に映画的だ。生きていく上で次第に汚れていく心を洗濯し、平和の象徴ハトを飛ばす映画。ヒロインの万引き癖を利用してのドラマ構成も、実に巧みで哀しいテイストを醸し出している

この作品は非常に寓話的なテイストが強く、好みが分かれるかもしれない。ただ、窪塚がこういう演技もできるというのは多少驚いたし、彼の風貌にもなかなかマッチしていて好感が持てた。登場人物も非常に少なく、何気ないやり取りの積み重ねでストーリーを転がすというような手法だが、こういう価値観を持って世間を見渡せば確かに素晴らしく思えるだろう。しかし優しい人々ばかりを描くことでそれを取り巻く世間の低い温度を表現するというのはちょっとあざとすぎるんではないかと思うんだが・・・

8人の女たち

2004年7月2日 映画
フランソワ・オゾン監督が描くサスペンス

1950年代のフランス。雪に閉ざされた大邸宅で、その家に主人が何者かに殺された。クリスマスを過ごそうと集まった家族は、メイドも含めて、8人全員が女。犯人はこの中にいるかも…と、彼女たちはお互いを探り始めるが、どの女たちもトラブルを抱えており、誰が犯人でもおかしくなかった

カトリーヌ・ドヌーブ、ファニー・アルダン、イザベル・ユペール、エマニュエル・ベアール、ヴィルジニー・ルドワイヤン、リュディヴィーヌ・サニエ、ダニエル・ダリュー、フィルミーヌ・リシャールという、フランスの人気女優が大集合した推理仕立ての女のドラマ。豪華な邸宅、カラフルな50年代ファッションなどヴィジュアルは美しく、またドラマにミュージカルシーンを挿入することで、全体的にポップでコミカルな味わいに。しかし、それでも女の怖さが浮き上がってくるのは、フランソワ・オゾン監督の力量プラス、フランス女優の底力! 特にドヌーブとアルダンのからみは、熟女の香りがスクリーンから匂い立つよう。女優たちの濃厚な個性に圧倒される快作

この作品はちょっとアクがあるが、個人的には結構面白かった。しかし、人に勧めると何故か不評だ。何故か考えてみるに、おそらくファッションや女優の魅力を引き出すような演出が女性向けすぎるのだろう。全編通して男性がほとんど出てこないというのも一つの理由ではないかと思う。その男優に感情移入して主演している女優たちとの距離が測れないし、唯一出てくる一家の主役はひどい扱いで、観ていると女性の怖さを感じるほどだし。まぁ、それが監督の意図なんだろうが
堤幸彦監督作品、松田龍平主演

大学時代の恋人・静流(しずる)から、NYで写真の個展を開くという手紙を受け取ったカメラマンの誠人(まこと)。静流は死んだという噂も聞いた彼は、ひとりNYへ向かう…。松田龍平と広末涼子が、それぞれ透明感のある持ち味を生かして、等身大の演技をみせるラブストーリー。すべてを捨ててNYへ向かうほど、忘れられない初恋の想いのなかに、男が女に対して抱くコンプレックスも見え隠れして、ホロ苦いものが伝わってくる。誠人の思いがストレートな分、唐突なギャグが空回りしている部分もあることはある。ただ、静流の居場所をめぐるサスペンスフルな展開や、ヒリヒリと切ないクライマックスは、些細な欠点を押しのけて心に残る

誰でもそう思うだろうが、個人的には「ご近所探偵TOMOE」で堤監督は終わったと思っていたのでこの作品を見たときは惰性に近いものがあったのだが、意外にもなかなかのクオリティで驚かされた。堤監督特有の楽屋落ちや小ネタや洒落などの過剰な演出はスパイス程度に散らされるだけで影を潜め、しごくまっとうな作品に仕上がっている。広末涼子の使い方もなかなか上手く、ポエティックでありながらミステリタッチの展開やガンアクションなど上手く盛り込んでエンターテイメントとして成立させている

ナインスゲート

2004年7月2日 映画
鬼才ロマン・ポランスキー監督、ジョニー・デップ主演という魅力的なコンビの、耽美的なオカルト・ミステリー

世界に3冊しかないという『影の王国への9つの扉』。この悪魔の祈祷本について、収集家から真贋の鑑定を依頼された本の探偵コルソは、ニューヨークからヨーロッパヘと旅立つ。書物の謎を解いていくコルソの前途には、人間の英知を超えた恐ろしい罠が待ちかまえていた。彼が最後にたどり着いた謎の真相とは…。ポランスキーらしい様式美に彩られた、重厚なミステリーである。厚い本を少しずつひもといていくような、謎解きのおもしろさが堪能できる。それまでは青年のなごりを残した役柄が多かったデップだが、この作品では少しくたびれた中年男性の役で新境地を見せる

一つ断っておくが、この作品はオカルトではない。パッケージから想像されるようなクールな佇まいを見せる作品でもない。個人的に言わせてもらえれば、この作品はシュールなシチュエーションコメディだ。全編を通してジョニー・デップは切れ者だが小心者という、スリーピー・ホロウのような演技を見せるし、展開もミステリアスではあるがどこか間が抜けている。その微妙な雰囲気や最後にとってつけたようなオカルトチックな盛り上がりをみせる場面、ラストの意味不明な終わり方まで、あっけにとられること間違いなし
エルヴィス・コステロとエルビス・コステロ&ジ・アトラクション名義の楽曲を編んだベスト盤

僕が持っているのは95年頃に出た輸入盤のベストなんだが、画像もないし収録曲もほぼ一緒なのでこちらを選んだ。このアーティストは近年TV等で楽曲をよく使われていて以前よりは馴染みが出てきたんではないだろうか。コステロのアルバムはかなりの枚数で、全てを網羅するのは難しい。95年の時点でさえそうだったのだから、新作をいくつか発表している今となってはさらに厳しいだろう。だが、このアルバムを聴けば代表曲はほぼ聴ける。

このアーティストの魅力は何と言ってもメロディだろう
パンクやロック的なアティチュードを打ち出していた時期もあるようだが、ベストの編まれ方を見る限り、やはりメロディ主体の楽曲で構成されているようだし、個人的にもそう思う

<収録曲>
ピース,ラヴ&アンダースタンディング
オリヴァーズ・アーミー
ウォッチング・ザ・ディテクティヴズ
アリスン
チェルシー
アクシデント・ウィル・ハプン
パンプ・イット・アップ
アイ・キャント・スタンド・アップ(フォー・フォーリング・ダウン)
レディオ・レディオ
クラブランド
グッド・イヤー・フォー・ローゼズ
マン・アウト・オブ・タイム
アイ・ウォナ・ビー・ラヴド
エヴリデイ・アイ・ライト・ザ・ブック
室内花火
シップビルディング
トーキョー・ストーム・ウォーニング
アイ・ウォント・ユー
ゴッド・ギヴ・ミー・ストレングス(with バート・バカラック)
She

best

2004年7月1日 音楽
クラムボンのベストアルバム

1998年から2003年の作品のなかの13曲をエディットした、初のベスト・アルバム。ピアノ、ベース、ドラムから発せられる均整の取れた(でも、ところどころでは前衛的な)アンサンブルを中心としたポップ・ソングを志向していた(ように思えた)デビュー時から、音響系、エレクトロニカなど、常に新しい音楽を吸収しながら独自のスタイルを確立するまでの時期を追体験できる本作は、クラムボンという類いまれなバンドの貴重なドキュメント。これだけ音楽性が変化しても、「クラムボン」としての空気が変わらないところがすごいと思う

クラムボンに入るには最適の一枚。初期の楽曲のメロディとアレンジの良さは個人的には結構ツボだ。どこかの雑誌で、ベン・フォールズ・ファイブを引き合いに出されていたが、それも分かる気がする。現在携帯のCMで使われている初期の楽曲「サラウンド」も収録されている

このアルバムは収録曲が多少気に入らず、CDに焼いてマイベストを作ってしまった。Re:残暑は入るべきだと思うんで

<収録曲>
はなれ ばなれ
パンと蜜をめしあがれ
雲ゆき
シカゴ
246
君は僕のもの
ドギー&マギー
サラウンド
便箋歌
ララバイ サラバイ
id
adolescence
コントラスト
ボブ・ディランのベストアルバム

1997年編纂のボブ・ディランのベスト盤。ディランの場合、オリジナル・アルバムの数が多いうえ、各時代ごとに名盤と呼ばれる作品があり、さらには歌詞が難解なため日本語対訳がないとなかなか曲の内容を理解できない等々、初めて聴く人にとってはハードルの高いアーティストともよく言われる。そんなディラン・ビギナーにオススメなのが本盤だ。62年の余りにも有名な「風に吹かれて」から、89年の『オー・マーシー』収録曲「エヴリシング・イズ・ブロークン」まで、ディランの代表作といわれる作品を過不足なく網羅した選曲の良さ、菅野ヘッケル氏によるディランのバイオグラフィーおよび詳細な全曲解説、そして歌詞対訳と、入門用としてこれほどコンパクトかつ充実したテキストは他にない。“一家に一枚の必携盤”という表現も、決してオーバーではない

実はこのアルバムは持っていないが、適当な画像がなかったのでこちらを使用した。ボブ・ディランはある程度音楽を聴いていたらトライしてみたくなるアーティストだと思う。2年ほど前から興味はあったんだが、経済的な都合や機会を逃していて、まぁようするにビッグネームゆえにいつでも聴けるしどこにでも置いてあるので手を出さなかった。しかしつい最近腰をすえて聴こうと思いBOXセットを購入してしまった。15枚ほどのアルバムを一気に手に入れ一通り聴いてみたところ、量が多すぎて消化しきれない。アルバム単位で言うと、代表曲「ライク・ア・ローリング・ストーン」の入っている「Highway 61 Revisited」が比較的ポップでとっつきやすかった。まぁ、気長に行こうかと思いなおし、時折アルバムをランダムに選び聴くという形を取っているが

<収録曲>
風に吹かれて
時代は変わる
くよくよするなよ
ミスター・タンブリン・マン
ライク・ア・ローリング・ストーン
女の如く
見張塔からずっと
レイ・レディ・レイ
アイ・シャル・ビー・リリースト
イフ・ノット・フォー・ユー
天国への扉
いつまでも若く
ブルーにこんがらがって
オー,シスター
ガッタ・サーヴ・サムバディ
ジョーカーマン
エヴリシング・イズ・ブロークン
嵐からの隠れ場所(オルタネイト・ヴァージョン)※〈CDテキスト〉

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