パンチドランク・ラブ
2004年10月12日 映画
ポール・トーマス・アンダーソン監督作品
要領が悪く姉にコンプレックスを感じ、常にいっぱいいっぱいな小心者の主人公。寂しさを埋めるためにテレフォンセックスを利用し、そこから派生したトラブルを抱え込むという部分と、姉が紹介した女性と恋に落ちるという部分がこの物語の軸だ
この作品は主人公に共感できるか、あるいは好意をもてるかどうかが評価の分かれ目になると思う。その部分でつまずくと、彼の取る行動はことごとくうっとおしいものに見えてくる。主人公の描き方が、この監督独特の色といえる、世の中にコミットするためにベストを尽くしているがそれが痛々しく見えるという人物像だからだ。彼に思いを寄せる女性は穏やかで理性的な女性として描かれているが、主人公がそういうパーソナリティーだと描くことで、彼女の彼に対する穏やかで母性的な想いと、彼女のほうからアプローチをする必然性が感情レベルで分かるように構成されている
客観的に観るぶんには全く問題がないが、感情移入してしまうと男性の立場としては、かなりつらいものがある。世間と上手く折り合いをつけようと模索していた時期の事をいやがおうにも思い出させてくれるからだ。その感覚を笑える方ならお勧めかもしれない
PTAことポール・トーマス・アンダーソン監督の、『ブギーナイツ』『マグノリア』に続く長編第4作。アダム・サンドラー(『ビッグ・ダディ』)とエミリー・ワトソン(『奇跡の海』)という異色カップルが織りなすオフビートなラブストーリーだ。
かんしゃく持ちのバリーとキャリアウーマンのリナの恋を彩るのは、誰かが路上に置いていった小さなピアノ(正確にはハーモニウム)。マイレージ特典の付くプリン、セックスダイアルの女からの脅迫など、現代社会を象徴するアイテムの洪水の中、「パンチドランク・ラブ」=強烈な一目惚れから始まる、ただ一つの「無垢」の行方やいかに。冒頭、静けさから一転して車がクラッシュするシーンからして「PTA節」満載。映像と音を自在に駆使して、場面場面のテンションを操っていく手腕が見事だ。現代アート作家ジェレミー・ブレイクによるビジュアルや、独特のサウンドトラックなどを含め、五感で「感じる」映画と言えるだろう
要領が悪く姉にコンプレックスを感じ、常にいっぱいいっぱいな小心者の主人公。寂しさを埋めるためにテレフォンセックスを利用し、そこから派生したトラブルを抱え込むという部分と、姉が紹介した女性と恋に落ちるという部分がこの物語の軸だ
この作品は主人公に共感できるか、あるいは好意をもてるかどうかが評価の分かれ目になると思う。その部分でつまずくと、彼の取る行動はことごとくうっとおしいものに見えてくる。主人公の描き方が、この監督独特の色といえる、世の中にコミットするためにベストを尽くしているがそれが痛々しく見えるという人物像だからだ。彼に思いを寄せる女性は穏やかで理性的な女性として描かれているが、主人公がそういうパーソナリティーだと描くことで、彼女の彼に対する穏やかで母性的な想いと、彼女のほうからアプローチをする必然性が感情レベルで分かるように構成されている
客観的に観るぶんには全く問題がないが、感情移入してしまうと男性の立場としては、かなりつらいものがある。世間と上手く折り合いをつけようと模索していた時期の事をいやがおうにも思い出させてくれるからだ。その感覚を笑える方ならお勧めかもしれない
チャン・イーモウ監督作品、ジェット・リー主演
この作品は香港映画ではなく中国映画として製作され、巨額の資本投下による豪華で華麗な映像と、監督自身の資質による静と動、そして“間”を重視した格調高い作品になっている
ジェット・リー演ずる無名が皇帝に謁見し、ここへ来るまでに至ったエピソードを語っていくが、ジェット・リーは虚偽の事実を述べており、皇帝の疑問を機に都合4度エピソードが語られる。それぞれ、赤、青、白、緑という“色”で区分けされ、無名が語る彼らの人物像が、最初の感情のみの俗なものから、エピソードを重ねるにつれ徐々に崇高になっていくのは秀逸だ。そして、各々の緩やかで優雅な“美”と呼べるほどの鮮やかな映像とアクションシーンにより、この作品全体の“品”が非常に良くなっている。テーマ的に政治色が強くなったり史実などの考証を重視することなりがちな演出を上手く回避しており、最後の無名の意志には感動すること請け合いだ
共感するというより、映像やテーマに圧倒される作品になっていると思う
秦王のもとに、王を狙った刺客を3人殺したという無名という男が現れた。その功績を讃え、特別に謁見を許された彼は、刺客を殺した経緯を王に語りはじめる。しかし、それは多くの謎を含み、話は二転三転していく…。『あの子を探して』『初恋が来た道』などのチャン・イーモウ監督が、中国の大スター、ジェット・リー、マギー・チャン、トニー・レオン、チャン・ツィイーを起用して作り上げた歴史ロマン。ワイヤーを多用したアクションシーンは華麗で、まるでバレエを見るようだ。また交錯するいくつかのエピソードの果てに存在する真実、そして衝撃のラストには胸を震わせる感動がある。崇高な精神を持ち、その目的を達成した主人公に敬意さえ抱かせる仕上がりは、さすがチャン・イーモウと言えるだろう。撮影は『ブエノスアイレス』などのクリストファー・ドイル。衣装は『乱』のワダエミが担当。エピソードごとに赤、青、緑と色調を変えたヴィジュアルも一見の価値あり
この作品は香港映画ではなく中国映画として製作され、巨額の資本投下による豪華で華麗な映像と、監督自身の資質による静と動、そして“間”を重視した格調高い作品になっている
ジェット・リー演ずる無名が皇帝に謁見し、ここへ来るまでに至ったエピソードを語っていくが、ジェット・リーは虚偽の事実を述べており、皇帝の疑問を機に都合4度エピソードが語られる。それぞれ、赤、青、白、緑という“色”で区分けされ、無名が語る彼らの人物像が、最初の感情のみの俗なものから、エピソードを重ねるにつれ徐々に崇高になっていくのは秀逸だ。そして、各々の緩やかで優雅な“美”と呼べるほどの鮮やかな映像とアクションシーンにより、この作品全体の“品”が非常に良くなっている。テーマ的に政治色が強くなったり史実などの考証を重視することなりがちな演出を上手く回避しており、最後の無名の意志には感動すること請け合いだ
共感するというより、映像やテーマに圧倒される作品になっていると思う
our history is made in the night
2004年10月10日 音楽
sugiurumnのフルアルバム
畠山美由紀関連の音源を集めているので、この作品もその流れで購入した。目当ての畠山美由紀がフィーチャリングされた楽曲は、テンションの高いダンストラックにエモーショナルなヴォーカルが乗り、畠山美由紀のイメージをさらに更新することになる佳曲になっていた。なんでもいけるんだなぁあの人、というか
全体的に柔らかく丸い音で盛り上がる楽曲が多く、普遍性といったものは特に重要視されていないように思える。あくまでも“即効性”を重視しているというか。その即効性に関してだけ言えば、クオリティはかなり高い。普遍性を活動の視野に入れ重要視していると見受けられる畠山美由紀や曽我部恵一をヴォーカルに据えている部分は興味深い
DJ、サウンド・クリエイター、リミキサーとして活躍するスギウラムのフル・アルバム「Electrify My Love」「Star Baby」のシングル2枚同時リリースに続き、2年半ぶりにフル・アルバムをリリース。谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ)、畠山美由紀、曽我部恵一らが参加。プログレッシヴ・ハウスからブレイクス、トランスなどの多彩なサウンドは、即戦力クラブ・アイテム
畠山美由紀関連の音源を集めているので、この作品もその流れで購入した。目当ての畠山美由紀がフィーチャリングされた楽曲は、テンションの高いダンストラックにエモーショナルなヴォーカルが乗り、畠山美由紀のイメージをさらに更新することになる佳曲になっていた。なんでもいけるんだなぁあの人、というか
全体的に柔らかく丸い音で盛り上がる楽曲が多く、普遍性といったものは特に重要視されていないように思える。あくまでも“即効性”を重視しているというか。その即効性に関してだけ言えば、クオリティはかなり高い。普遍性を活動の視野に入れ重要視していると見受けられる畠山美由紀や曽我部恵一をヴォーカルに据えている部分は興味深い
小島麻由美の6thアルバム
この作品は今までのスタイルを踏襲しており、ヴォーカルの歌唱や演奏のクオリティも格段に違うというわけではない。しかし、前作にあった猥雑さや深夜の喧騒のような独特の圧迫感は薄れている。アーティスト自身の歌唱も平熱感があり、テクニカルに楽曲を歌いこなしているように思える。楽曲は、演奏にタイトさが多少増しているものの、あくまで歌に沿う形を取っている。このアーティストの世界観を楽しみたい方の期待を裏切らない作品に仕上がっていると思う。7曲目の「茶色の小瓶」はアップテンポで凝った演奏とそれを余裕すら感じるほど見事に乗りこなす歌唱が聴ける佳曲
ジャズ、ブルース、昭和歌謡といったルーツ・ミュージックへの回帰――「そう! これを待ってたんです!」と喝采したくなる6枚目のオリジナル・アルバム。00年代に入ってから新たな音楽的方向性を模索していた彼女だが、菊地成孔(サックス)、ASA-CHANG(ドラム)、渡辺等(ベース)といった凄腕ミュージシャンたちが参加した本作によって、自らの“居場所”をはっきりと自覚したのではないだろうか。胸をギューッと締め付けられるような痛くて切ないリリックもさらに洗練されている
この作品は今までのスタイルを踏襲しており、ヴォーカルの歌唱や演奏のクオリティも格段に違うというわけではない。しかし、前作にあった猥雑さや深夜の喧騒のような独特の圧迫感は薄れている。アーティスト自身の歌唱も平熱感があり、テクニカルに楽曲を歌いこなしているように思える。楽曲は、演奏にタイトさが多少増しているものの、あくまで歌に沿う形を取っている。このアーティストの世界観を楽しみたい方の期待を裏切らない作品に仕上がっていると思う。7曲目の「茶色の小瓶」はアップテンポで凝った演奏とそれを余裕すら感じるほど見事に乗りこなす歌唱が聴ける佳曲
STRAWBERRY
2004年10月8日 音楽
曽我部恵一の3rdアルバム
この作品内の楽曲はまずライブで演奏され、その後ライブを重ね練り上げて行ったようだ。2ndアルバムリリース後からかなりのハイペースでライブ活動を行っていたようで、この作品ではその時の雰囲気を再現しようという意図なのか、かなり音質と録音レベルが悪いものになっている
一聴したところ、このアーティストの書く良質のメロディと柔らかい声質による歌唱という売りを音質の悪さが台無しにしているような印象を受けた。しかし、楽曲自体は前作、前々作にはない勢いとロック的なカタルシスのあるものが多い。そして、メロディにサニーデイ・サービス時代のような良い意味での大味さ、ようするにキャッチーさが戻ってきている。だからこそ、きちんとした音質でリリースしてくれればかなりの良盤になったと思うんだが・・・まぁ、その辺りも何度か聴き込み音質に慣れれば気にならなくなるだろうし、楽曲自体は良いと思う。最後に収められた「ミュージック!」は華やかでポップな佳曲
曽我部恵一、待望のオリジナル・フルアルバムを自身のレーベル「ROSE RECORDS」よりリリース。OO TELESA(ダブルオーテレサ)を従えて精力的にライブ活動をする中で生み出されたのは、シングル「LOVE-SICK」をはじめとする10篇のロックンロール
この作品内の楽曲はまずライブで演奏され、その後ライブを重ね練り上げて行ったようだ。2ndアルバムリリース後からかなりのハイペースでライブ活動を行っていたようで、この作品ではその時の雰囲気を再現しようという意図なのか、かなり音質と録音レベルが悪いものになっている
一聴したところ、このアーティストの書く良質のメロディと柔らかい声質による歌唱という売りを音質の悪さが台無しにしているような印象を受けた。しかし、楽曲自体は前作、前々作にはない勢いとロック的なカタルシスのあるものが多い。そして、メロディにサニーデイ・サービス時代のような良い意味での大味さ、ようするにキャッチーさが戻ってきている。だからこそ、きちんとした音質でリリースしてくれればかなりの良盤になったと思うんだが・・・まぁ、その辺りも何度か聴き込み音質に慣れれば気にならなくなるだろうし、楽曲自体は良いと思う。最後に収められた「ミュージック!」は華やかでポップな佳曲
漫画家、浦沢直樹が描く「鉄腕アトム」
あらすじや画像等はこちらを参照されたし
http://www.yamaguchi.net/archives/000424.html
この作品は原作では脇役だったドイツの刑事ロボット「ゲジヒト」を主役に据え、ロボットの人権が保障された近未来を舞台に、サスペンスとして物語を描いている。登場人物各々にヒューマンタッチなエピソードを加えて物語に厚みを出すという方式を取っている。ロボットをいわゆる人種の違う人間のように扱い、ロボットと人間が混在する世界にリアリティを持たせているようだ。この作品のテンションはどうしても「MONSTER」を髣髴とさせ、心理面の描写をメインにした作品になってしまわないかと一抹の不安を感じてしまう。個人的には活劇が観たいのだ。ただ、思惑がはずれようとこの作者の描く作品が面白くなることは確定なので、地味に追うことにしたい
あらすじや画像等はこちらを参照されたし
http://www.yamaguchi.net/archives/000424.html
この作品は原作では脇役だったドイツの刑事ロボット「ゲジヒト」を主役に据え、ロボットの人権が保障された近未来を舞台に、サスペンスとして物語を描いている。登場人物各々にヒューマンタッチなエピソードを加えて物語に厚みを出すという方式を取っている。ロボットをいわゆる人種の違う人間のように扱い、ロボットと人間が混在する世界にリアリティを持たせているようだ。この作品のテンションはどうしても「MONSTER」を髣髴とさせ、心理面の描写をメインにした作品になってしまわないかと一抹の不安を感じてしまう。個人的には活劇が観たいのだ。ただ、思惑がはずれようとこの作者の描く作品が面白くなることは確定なので、地味に追うことにしたい
スパニッシュ・アパートメント
2004年10月6日 映画
「猫は行方不明」のセドリック・クラビッシュ監督作品
流れとしては、就職に有利だという事で留学を決意する部分から、スペインへ行き共同生活を始める部分、その生活の楽しさを描写した部分から留学を終えフランスへ戻り就職をする部分まで時系列に沿って描いている。その為、大学生の留学生活の楽しさを疑似体験できると思う
基本的に雰囲気を楽しむ映画だが、その雰囲気の良さはスペインの街並みと、共同生活の同居人達の魅力的な演技に拠るところが大きい。大学生の雰囲気を非常に上手くつかんでいて、スペインの街並みのもとこういう生活を送ってみたいと思わせるような魅力的な描写が終盤まで続く。最後のシーンを観るに、その部分が描きたかっただけだろうとも思うが。因みに主人公の彼女役を「アメリ」のオドレイ・トトゥが演じている
就職のためにスペイン語を学ぼうとバルセロナへ留学することになった大学生のグザヴィエ。彼は、ヨーロッパ各国からやってきた学生たちが同居する部屋に住むことに。イギリス、ドイツ、イタリア、デンマークの男女との生活は混乱の極みだったが、彼らの存在は、平凡な彼の人生に大きな刺激を与えることになる。進むべき道が見いだせなかった主人公が、バルセロナで知り合ったさまざまな人々との交流を経て成長していく姿をコミカルに描いた作品。人との出会いはいいことばかりではない、時には傷つくこともあるけれど、経験が人間を豊かにしてくれるのだと語っているようだ。グザヴィエ演じるロマン・デュリスほか、アパートの若者たちが等身大の20代を演じて好感度大
流れとしては、就職に有利だという事で留学を決意する部分から、スペインへ行き共同生活を始める部分、その生活の楽しさを描写した部分から留学を終えフランスへ戻り就職をする部分まで時系列に沿って描いている。その為、大学生の留学生活の楽しさを疑似体験できると思う
基本的に雰囲気を楽しむ映画だが、その雰囲気の良さはスペインの街並みと、共同生活の同居人達の魅力的な演技に拠るところが大きい。大学生の雰囲気を非常に上手くつかんでいて、スペインの街並みのもとこういう生活を送ってみたいと思わせるような魅力的な描写が終盤まで続く。最後のシーンを観るに、その部分が描きたかっただけだろうとも思うが。因みに主人公の彼女役を「アメリ」のオドレイ・トトゥが演じている
アイデン & ティティ
2004年10月6日 映画
田口トモロヲ監督作品
この作品はみうらじゅんが書いた同名の漫画が原作になっている。そして、バンドブームの頃を舞台にしており(もちろん映画では現代に置き換えてある)、当時の周辺事情を知っているとより楽しめる作品になっている。登場人物もそれぞれモデルとなった実在のミュージシャンがいるようで、峯田演ずる主人公の中島は人間椅子というバンドのギタリスト和嶋慎治がモデルになっているらしい。スピードウェイという中島の所属するバンド自体も人間椅子をモチーフにしているようだ。個人的にはその辺りの事情に明るくないので、先入観の無い立場から見た感想を書かせてもらうことにする
この作品は表現活動に携わったことのある方なら何かしらを感じることができる映画だと思う。何処までも青臭く情けない表現への衝動を金に換えるということが一体どういうことなのかをこの作品は赤裸々に描き出している。ミュージシャンの世間に晒すことのない部分、生みの苦しみや自分が思い描く表現と現実とのギャップに対する葛藤、バンドとして存続していくことの難しさ、経済的な問題などを重くなり過ぎることなくあくまでさらりと描いている。物語の全体にボブ・ディランの歌詞の引用がちりばめられ、それがストーリーとかみ合い含蓄のあるものになっている。出演者も皆それなりにはまり役で、特に峯田(from 銀杏BOYS)はかなりの個性を発揮しており、要所要所で見せる表情は物語を構築する重要な要素になっている。あまり彼の事を知らないので、素ではないかと疑ってしまうが・・・
個人的な感想を言わせてもらえれば、正直泣けた。等身大とは言い難いが素直に共感したし、妙に美化していないところにも好感が持てた。物語の最後に流れるボブ・ディランの「Like a rolling stone」は物語の終着地点として単体で聴くよりも良さが増しているし、ボブ・ディラン自体の良さが分からない方でも納得でき、胸に突き刺さるはずだ
チョイ役で浅野忠信や村上淳、ピエール瀧などが出演しているのも見所の一つかもしれない
ロックバンド、SPEED WAYは、人気バンドだったが、ギターの中島は自分の世界を貫くことと、売れることの違いに悩み苦しんでいた。そんなとき目の前にボブ・ディランにソックリの男が現れる。中島は彼に見つめられ、流されている自分を恥じるようになるが、それをきっかけに自分を取り戻していく。みうらじゅんの原作漫画を『木更津キャッツアイ』などの宮藤官九郎が脚色、俳優の田口トモロヲが演出した青春バンド映画。原作者自身、バンド経験があるゆえ、商業主義に巻き込まれ、自分を見失ってしまいそうになるミュージシャンたちの苦悩がリアルで興味深い。とはいえ、その苦悩を絶妙のユーモアとブレンドさせて親近感のわく作品に仕上げたのは、田口監督のセンスとこれ以上ないキャスティングの勝利。主演の峯田和伸の自分を取り繕うとしない素直なキャラは好感度大。また中村獅童、マギー、大森南朋、麻生久美子などが好演している
この作品はみうらじゅんが書いた同名の漫画が原作になっている。そして、バンドブームの頃を舞台にしており(もちろん映画では現代に置き換えてある)、当時の周辺事情を知っているとより楽しめる作品になっている。登場人物もそれぞれモデルとなった実在のミュージシャンがいるようで、峯田演ずる主人公の中島は人間椅子というバンドのギタリスト和嶋慎治がモデルになっているらしい。スピードウェイという中島の所属するバンド自体も人間椅子をモチーフにしているようだ。個人的にはその辺りの事情に明るくないので、先入観の無い立場から見た感想を書かせてもらうことにする
この作品は表現活動に携わったことのある方なら何かしらを感じることができる映画だと思う。何処までも青臭く情けない表現への衝動を金に換えるということが一体どういうことなのかをこの作品は赤裸々に描き出している。ミュージシャンの世間に晒すことのない部分、生みの苦しみや自分が思い描く表現と現実とのギャップに対する葛藤、バンドとして存続していくことの難しさ、経済的な問題などを重くなり過ぎることなくあくまでさらりと描いている。物語の全体にボブ・ディランの歌詞の引用がちりばめられ、それがストーリーとかみ合い含蓄のあるものになっている。出演者も皆それなりにはまり役で、特に峯田(from 銀杏BOYS)はかなりの個性を発揮しており、要所要所で見せる表情は物語を構築する重要な要素になっている。あまり彼の事を知らないので、素ではないかと疑ってしまうが・・・
個人的な感想を言わせてもらえれば、正直泣けた。等身大とは言い難いが素直に共感したし、妙に美化していないところにも好感が持てた。物語の最後に流れるボブ・ディランの「Like a rolling stone」は物語の終着地点として単体で聴くよりも良さが増しているし、ボブ・ディラン自体の良さが分からない方でも納得でき、胸に突き刺さるはずだ
チョイ役で浅野忠信や村上淳、ピエール瀧などが出演しているのも見所の一つかもしれない
アカギ―闇に降り立った天才
2004年10月4日 漫画
漫画家、福本伸行が描く麻雀漫画
舞台は昭和初期、雀荘で男が多額の金をかけて賭け麻雀をしていた。相手はヤクザで、麻雀の腕がない男は追い込まれる。そこにずぶ濡れの中学生が現れ、成り行きから男は彼に代打ちを頼む。その中学生は、後に裏の世界に名を轟かすことになる「赤木しげる」だった
この作品はいくつかのエピソードに分けられ、現在は裏の世界の大物と血液を賭けた賭け麻雀を行っている。相手は60億の資金を持ち、こちらは資金が少ない代わりにアカギの血液(=命)を賭けている。しかしアカギの冴えた闘牌は相手を寄せ付けない
基本的に、この作品は麻雀をしているシーンがメインで、魅力もそこにあり、打ちまわしの妙と緊張感を楽しむ作品になっている。アカギの成り上がりというような話ではない。だから麻雀をある程度知らないと楽しめないかもしれない。ただ、この作品の最もまずいところは、この作者が描いたもう一つの麻雀漫画、「天」でもアカギを登場させているということだろう。「天」は舞台を現代に設定しているので、アカギは初老で伝説になってる男として参戦する。つまり、この作品の時代で何をしようと生き延びることが確定しているわけだ。そこがやはり萎えてしまうというか・・・。しかし、その点を作者も考えているようで、敵役の人物の内面をこれまで以上にフォーカスして描いているように見受けられる。現在の鷲尾編は多少冗長だが、個性的な脇役が大勢出てきた初期は現在読んでもなかなか面白いと思われる
舞台は昭和初期、雀荘で男が多額の金をかけて賭け麻雀をしていた。相手はヤクザで、麻雀の腕がない男は追い込まれる。そこにずぶ濡れの中学生が現れ、成り行きから男は彼に代打ちを頼む。その中学生は、後に裏の世界に名を轟かすことになる「赤木しげる」だった
この作品はいくつかのエピソードに分けられ、現在は裏の世界の大物と血液を賭けた賭け麻雀を行っている。相手は60億の資金を持ち、こちらは資金が少ない代わりにアカギの血液(=命)を賭けている。しかしアカギの冴えた闘牌は相手を寄せ付けない
基本的に、この作品は麻雀をしているシーンがメインで、魅力もそこにあり、打ちまわしの妙と緊張感を楽しむ作品になっている。アカギの成り上がりというような話ではない。だから麻雀をある程度知らないと楽しめないかもしれない。ただ、この作品の最もまずいところは、この作者が描いたもう一つの麻雀漫画、「天」でもアカギを登場させているということだろう。「天」は舞台を現代に設定しているので、アカギは初老で伝説になってる男として参戦する。つまり、この作品の時代で何をしようと生き延びることが確定しているわけだ。そこがやはり萎えてしまうというか・・・。しかし、その点を作者も考えているようで、敵役の人物の内面をこれまで以上にフォーカスして描いているように見受けられる。現在の鷲尾編は多少冗長だが、個性的な脇役が大勢出てきた初期は現在読んでもなかなか面白いと思われる
レジェンド・オブ・メキシコ デスペラード
2004年10月3日 映画
ロバート・ロドリゲス監督作品
アントニオ・バンデラス、ジョニーデップ出演
この作品はバンデラスやジョニー・デップを含む何人かのキーマンが出てきて、各々の思惑を持ち動いていく。その為、軸となるストーリーの稚拙さに厚みが持たされている。演出も硬軟強弱全てピタリと決まっており、アクションシーンのキレの良さ、俳優達の淡々としつつも渋い演技、全体に漂う情熱的な雰囲気どれをとっても素晴らしいとしか言いようがない。過去を引き摺る主人公という割とクサイ表現も嫌味が無く、なによりジョニー・デップが物語のスパイスとして非常に効いている。そして主要な登場人物全てに見せ場が与えられている。ようするに、小手先の技に逃げることなく勧善懲悪を真っ向から描いていて、その力の入り具合がグッと来るというか
観ている間、良さを探したり、ストーリーを値踏みしたり、演技や演出にけちを付けてみたりすることなく、久しぶりに心の底から「格好ええ!!」と思えた作品。お勧め
アントニオ・バンデラス、ジョニーデップ出演
愛する女性を失い、今は静かにメキシコの田舎町で暮らすエル・マリアッチ。だがある日、彼のもとにCIAと名乗るサンズという男が現れ、メキシコ政府転覆を狙う麻薬王を一緒に倒さないかと相談を持ちかけてきた。そこで何度も苦汁をなめさせられた麻薬王への復しゅうを決意するマリアッチ。だがサンズにはその裏に別の目的を抱えていた……。ギターケースに銃などを隠すエル・マリアッチが主役の『デスペラード』の続編。前作のダンスしているかのような華麗なガン・アクションは、多少抑え目になっているけれど、ブラックなユーモアやカッコ良さは相変わらず。また出演者にジョニー・デップやウィレム・デフォーなどを配し、見た目にかなり豪華な雰囲気が漂っているのもポイントだ。マリアッチが真のヒーローになる展開も面白い
この作品はバンデラスやジョニー・デップを含む何人かのキーマンが出てきて、各々の思惑を持ち動いていく。その為、軸となるストーリーの稚拙さに厚みが持たされている。演出も硬軟強弱全てピタリと決まっており、アクションシーンのキレの良さ、俳優達の淡々としつつも渋い演技、全体に漂う情熱的な雰囲気どれをとっても素晴らしいとしか言いようがない。過去を引き摺る主人公という割とクサイ表現も嫌味が無く、なによりジョニー・デップが物語のスパイスとして非常に効いている。そして主要な登場人物全てに見せ場が与えられている。ようするに、小手先の技に逃げることなく勧善懲悪を真っ向から描いていて、その力の入り具合がグッと来るというか
観ている間、良さを探したり、ストーリーを値踏みしたり、演技や演出にけちを付けてみたりすることなく、久しぶりに心の底から「格好ええ!!」と思えた作品。お勧め
奥田民生の新譜
10月6日発売だが、ソニーのCCCD撤廃を受けるまでも無くCCCDを回避。かなり前から話し合っていたのだと思われる。このアーティストはCCCDがソニーに導入される際、大勢の所属アーティストの中で「既存のCDとCCCDの音の聞き比べをして音質を確認したい」と名乗り出た数少ないアーティストの1人らしい。その後CCCDを導入することになっても、DVD、SACD、アナログなどを同時発売して反対であるという姿勢を打ち出していた。というわけで、今回のCCCD回避は、CCCDは購入しないが奥田民生の新譜は聴きたいという音楽ファンにとっても嬉しいニュースだろう。因みにSACDでもリリースされています
内容のほうだが、毎度の事ながらミディアムテンポでロック色の強い楽曲が多い。開放感がありかといって隙間だらけではない絶妙の感触になっている。シングルも効果的に配置されており、序盤の「何を言う」「スカイウォーカー」の流れはこのアルバムの色を決定付けている。奥田民生自身の歌唱も含め、前作にあったある種の“熱”は薄れ、押し付けがましさの無い淡々とした楽曲が多い。アーティスト自身インタビューで「楽曲作りの際曲作りにかける労力は減らし、アレンジと演奏、歌唱でそれなりのものに仕上げる方式になってきている」と言っていたが、実際聴いてみると確かに力は抜けているものの、その結果歌詞と楽曲の整合性が以前より高まっているように感じた。中盤から終盤にかけて、「サプリメン」から「プライマル」「サウンド・オブ・ミュージック」「フェスティバル」の流れはロック的なカタルシスがありかなり秀逸
因みにこのアーティストは最近ブログを始めた。コメントをつけることはできないが、トラックバックはできるらしい。一応紹介
ブログOT
http://blog.excite.co.jp/ot/
ソロデビュー10周年を迎える奥田民生が、『E』から2年ぶりのオリジナルフルアルバムをリリース。ニューヨークでレコーディングされた作品を中心にしつつ、シングル「サウンド・オブ・ミュージック」「スカイウォーカー」「何と言う」を収録した待望の力作
10月6日発売だが、ソニーのCCCD撤廃を受けるまでも無くCCCDを回避。かなり前から話し合っていたのだと思われる。このアーティストはCCCDがソニーに導入される際、大勢の所属アーティストの中で「既存のCDとCCCDの音の聞き比べをして音質を確認したい」と名乗り出た数少ないアーティストの1人らしい。その後CCCDを導入することになっても、DVD、SACD、アナログなどを同時発売して反対であるという姿勢を打ち出していた。というわけで、今回のCCCD回避は、CCCDは購入しないが奥田民生の新譜は聴きたいという音楽ファンにとっても嬉しいニュースだろう。因みにSACDでもリリースされています
内容のほうだが、毎度の事ながらミディアムテンポでロック色の強い楽曲が多い。開放感がありかといって隙間だらけではない絶妙の感触になっている。シングルも効果的に配置されており、序盤の「何を言う」「スカイウォーカー」の流れはこのアルバムの色を決定付けている。奥田民生自身の歌唱も含め、前作にあったある種の“熱”は薄れ、押し付けがましさの無い淡々とした楽曲が多い。アーティスト自身インタビューで「楽曲作りの際曲作りにかける労力は減らし、アレンジと演奏、歌唱でそれなりのものに仕上げる方式になってきている」と言っていたが、実際聴いてみると確かに力は抜けているものの、その結果歌詞と楽曲の整合性が以前より高まっているように感じた。中盤から終盤にかけて、「サプリメン」から「プライマル」「サウンド・オブ・ミュージック」「フェスティバル」の流れはロック的なカタルシスがありかなり秀逸
因みにこのアーティストは最近ブログを始めた。コメントをつけることはできないが、トラックバックはできるらしい。一応紹介
ブログOT
http://blog.excite.co.jp/ot/
ダニー・ボイル監督作品
音楽に関わりたいと願いながらも職が無く、彼女がストリッパーをすることで食いつないでいる気弱な主人公がふとしたきっかけから掃除機の販売会社へ勤めることになる。仕事をするに当たって組まされた先輩(パッケージの男)は、販売数を競う賞レースで勝つことに全力を尽くしており、売るためならなんでもする先輩に振り回される主人公。そして賞の発表がやってくるが・・・
この作品は、細かいカット割りや距離の近いカメラワーク、目の粗い画像処理で妙な焦燥感や不安感を感じるような映像。演出も過剰で、いかにも若年層向けという感じを受ける。内容自体は道徳的なもので、若者を賛美するような部分が多い。簡単に言えば、主人公ではなく先輩営業マンに視点を絞り、反面教師的な描き方をする。先輩営業マンのなりふり構わない仕事振りと、モラルがあり夢を追う要領の悪い主人公は対照的な位置に置かれている。ただ、この先輩の独特のキャラクターはルックスは悪いが良くも悪くも魅力があるし、それに対して主人公はルックスは今風の細面だが流されるだけのキャラクターでほとんど魅力と呼べるものは無い。個人的にはその部分の描き方に監督のスタンスの変化を感じ、ますます萎えていった。最後のシーンは無理やり主人公をハッピーエンドにして観ている若年層の溜飲を下げようとしているように思えたし、先輩営業マンのリアクションは予測の範囲内過ぎてげんなりしてしまった。あの終わり方しかなかったのかもしれないと監督に同情的になってしまうが・・・
『トレインスポッティング』のダニー・ボイル監督が描くファンキーでロックテイストあふれる青春ドラマ。トップのセールスマンだけに与えられる“黄金の掃除機賞”と豪華賞品を目指して、電気掃除機のセールスマンたちが過激な販売合戦を繰り広げる
音楽に関わりたいと願いながらも職が無く、彼女がストリッパーをすることで食いつないでいる気弱な主人公がふとしたきっかけから掃除機の販売会社へ勤めることになる。仕事をするに当たって組まされた先輩(パッケージの男)は、販売数を競う賞レースで勝つことに全力を尽くしており、売るためならなんでもする先輩に振り回される主人公。そして賞の発表がやってくるが・・・
この作品は、細かいカット割りや距離の近いカメラワーク、目の粗い画像処理で妙な焦燥感や不安感を感じるような映像。演出も過剰で、いかにも若年層向けという感じを受ける。内容自体は道徳的なもので、若者を賛美するような部分が多い。簡単に言えば、主人公ではなく先輩営業マンに視点を絞り、反面教師的な描き方をする。先輩営業マンのなりふり構わない仕事振りと、モラルがあり夢を追う要領の悪い主人公は対照的な位置に置かれている。ただ、この先輩の独特のキャラクターはルックスは悪いが良くも悪くも魅力があるし、それに対して主人公はルックスは今風の細面だが流されるだけのキャラクターでほとんど魅力と呼べるものは無い。個人的にはその部分の描き方に監督のスタンスの変化を感じ、ますます萎えていった。最後のシーンは無理やり主人公をハッピーエンドにして観ている若年層の溜飲を下げようとしているように思えたし、先輩営業マンのリアクションは予測の範囲内過ぎてげんなりしてしまった。あの終わり方しかなかったのかもしれないと監督に同情的になってしまうが・・・
MASTERキートン
2004年9月30日 漫画
漫画家、浦沢直樹が描く一風変わった探偵モノ
この作品は漫画好きなら誰でも知っているほど認知度があると思う。アニメ化もされているので若年層にも浸透していると思われる。ただ、原作の完成度が異様に高いので個人的には漫画を推したい
本業の考古学者としてはぱっとしないダブル(ハーフ)の主人公が、保険会社の調査員、いわゆる“探偵”として暮らしている。妻にも逃げられ、娘とたまに会う生活、考古学者としての夢を捨てきれない主人公。しかし、事件に当たると柔らかな物腰とそれに見合わない頭の切れ、豊富な知識を見せ、事件を解決に導いていく
この作品は基本的に1話完結の短編の集積になっている。各々の物語では主人公が別に存在し、キートンはキーマンとして事件に関わっていく。社会情勢や当時の時事ネタも上手く盛り込み、なにより“外国人”をこれほどまでに上手く描写した作品は他に無い。そして、各々の短編で張られた伏線が最終巻に近づくにつれ“キートンの夢”と“探偵として最も危険な仕事”という2つのテーマに絞られていく。原作モノではあるが、脚本も見事ながら描写が素晴らしく、最後はこの作品にしかありえない読後感を残す
個人的には浦沢直樹のキャリアのみならず、漫画というカテゴリの中でも最も面白い作品
『マスターキートン』の良さの一つは、知識や言葉が押し付けがましくないところです。さまざまな専門知識が出てきますが決してウンチクや知識自慢にはならず、人生を語る言葉も説教臭くありません。優しくてどこかとぼけたキートンのキャラクターが、ここにも活きています。このマンガの、謎解きやアクションの面白さはもちろんですが、私は「喜びの壁(4巻)」や「瑪瑙色の時間(7巻)」のような、登場人物が語り合うエピソードが特に好きです。(甘えのない)優しい雰囲気が漂っています
この作品は漫画好きなら誰でも知っているほど認知度があると思う。アニメ化もされているので若年層にも浸透していると思われる。ただ、原作の完成度が異様に高いので個人的には漫画を推したい
本業の考古学者としてはぱっとしないダブル(ハーフ)の主人公が、保険会社の調査員、いわゆる“探偵”として暮らしている。妻にも逃げられ、娘とたまに会う生活、考古学者としての夢を捨てきれない主人公。しかし、事件に当たると柔らかな物腰とそれに見合わない頭の切れ、豊富な知識を見せ、事件を解決に導いていく
この作品は基本的に1話完結の短編の集積になっている。各々の物語では主人公が別に存在し、キートンはキーマンとして事件に関わっていく。社会情勢や当時の時事ネタも上手く盛り込み、なにより“外国人”をこれほどまでに上手く描写した作品は他に無い。そして、各々の短編で張られた伏線が最終巻に近づくにつれ“キートンの夢”と“探偵として最も危険な仕事”という2つのテーマに絞られていく。原作モノではあるが、脚本も見事ながら描写が素晴らしく、最後はこの作品にしかありえない読後感を残す
個人的には浦沢直樹のキャリアのみならず、漫画というカテゴリの中でも最も面白い作品
吉田カバン PORTER TANKER wallet
2004年9月29日 趣味
使っていた皮製の二つ折りの財布が真ん中から裂けた・・・裂け目は2センチくらいのものだが、これは厳しいと思い以前使っていたポーターをまた使うことに。以前は何も思わなかったが実際使ってみると、意外と便利だということに気がついた。皮製だと抜きにくかったカード類も楽に抜けるし、なにより皮の色が付着しない。とりあえずこれでしばらく行くことにしよう・・・
冨田ラボの1stアルバム
この作品は富田ラボが楽曲を作り上げ、参加アーティストが歌い上げるという形式を取っている。面子を見ればお分かりの通り、どのアーティストも個性的で心地よい声質を持っている。しかも、このアーティストの楽曲は各々のフィーチャリングアーティストの普段のイメージを踏襲した魅力を最大限に引き出すような方向で、ニュアンスとしては各々のアーティストがリリースした楽曲を作曲家で縛ったような作品になっている。そして、この作品に参加したアーティストの中でどれか一つでも好きなら、全て気に入ると思う。ハナレグミの楽曲はちと甘すぎる気がするが・・・
<収録曲>
Welcome
God bless you!(feat.松任谷由実)
眠りの森(feat.ハナレグミ(永積タカシ))
耐え難くも甘い季節(feat.畠山美由紀)
shipbuilding
香りと影(feat.キリンジ)
Shipyard(edition1)
太陽の顔(feat.saigenji)
道(feat.bird)
Mizzenmast(edition1)
海を渡る橋 ※〈CDエクストラ〉
MISIA、SMAP、平井堅など、数多くのアーティストを手掛けるサウンドプロデューサー、冨田恵一のハンドメイド音楽工房「冨田ラボ」が、ゲストヴォーカルを迎えたプロジェクトアルバムをリリース。軽やかなピアノと松任谷由実の歌声が春風のように心地いいミディアムナンバー「God bless you!」、新しい季節の始まりをジャジーなメロディで穏やかにつづった畠山美由紀の「耐え難くも甘い季節」をはじめ、ソングライト&ヴォーカルに多彩なゲスト陣を迎え、トッププロデューサーとしての繊細な音楽センスを披露する。恋人たちの別れを描いたスローナンバー「海を渡る橋」では冨田恵一自身がヴォーカルを担当し、アーティストとしての幅広い可能性もアピール。ハナレグミ(SUPER BUTTER DOGのヴォーカル、永積タカシのソロプロジェクト)をフィーチャーした「眠りの森」(メナード化粧品 2003春スキンケアテレビCMソング)は、2003年3月29日のシングルカットが決定済みだ
この作品は富田ラボが楽曲を作り上げ、参加アーティストが歌い上げるという形式を取っている。面子を見ればお分かりの通り、どのアーティストも個性的で心地よい声質を持っている。しかも、このアーティストの楽曲は各々のフィーチャリングアーティストの普段のイメージを踏襲した魅力を最大限に引き出すような方向で、ニュアンスとしては各々のアーティストがリリースした楽曲を作曲家で縛ったような作品になっている。そして、この作品に参加したアーティストの中でどれか一つでも好きなら、全て気に入ると思う。ハナレグミの楽曲はちと甘すぎる気がするが・・・
<収録曲>
Welcome
God bless you!(feat.松任谷由実)
眠りの森(feat.ハナレグミ(永積タカシ))
耐え難くも甘い季節(feat.畠山美由紀)
shipbuilding
香りと影(feat.キリンジ)
Shipyard(edition1)
太陽の顔(feat.saigenji)
道(feat.bird)
Mizzenmast(edition1)
海を渡る橋 ※〈CDエクストラ〉
岩井俊二監督作品
この作品はもともとショートフィルムとして3編製作され、キットカットというお菓子の食頑としてDVDが各々発売された。その物語を膨らまし、広末涼子などキャストを足して劇場映画として改めて製作されたもの。あいにくと僕はショートフィルムの方しか観ていないが、岩井俊二の一般的なイメージを踏襲した、少し詩的で心地よい世界観を持った作品になっていた。というわけで、地味にレンタル開始を心待ちにしている
岩井俊二監督が、高校生たちの揺れ動く心情をリリカルで繊細なタッチでつづった青春ドラマ。ネットで配信した4つの短編が、長編作品として再構成された。あこがれの先輩を「記憶喪失」だと信じこませ、つき合い始める花と、彼女の親友アリス。3人の微妙な思いがもつれていく。細かいカットで紡がれるオープニングから、花とアリスの自然な会話に引き込まれる。恋の成就のための無謀な嘘や、親友が恋敵になるといった一見ありふれた展開も、演じる鈴木杏と蒼井優の等身大の演技で、高校生の生き生きとした日常に転化。通学中のときめきや海辺のデート、バレエ教室での稽古風景などノスタルジックな映像に、岩井監督自身が作曲した音楽が絶妙にかぶさる。物語に感動するとか、興奮することはないが、観ていること自体が心地よく、知らぬ間に胸をヒリヒリさせる一篇。やはり岩井俊二はただ者ではない
この作品はもともとショートフィルムとして3編製作され、キットカットというお菓子の食頑としてDVDが各々発売された。その物語を膨らまし、広末涼子などキャストを足して劇場映画として改めて製作されたもの。あいにくと僕はショートフィルムの方しか観ていないが、岩井俊二の一般的なイメージを踏襲した、少し詩的で心地よい世界観を持った作品になっていた。というわけで、地味にレンタル開始を心待ちにしている
ビルとテッドの大冒険
2004年9月27日 映画
キアヌ・リーブス主演作品
この作品はキアヌ・リーブスがキャリアの初期に参加したもので、ファンならずとも面白いと思える仕上がりになっており、レンタルなどでも割と置いてある所が多い。おばかな高校生役をノリノリで熱演している。続編も製作された
音楽が好きな高校生2人組が電話ボックス型のタイムマシーンをふとしたことから使う羽目になり、歴史上の重要人物(ナポレオン等)と交流するというもの。ただ、主人公たちは「おバカ」なので彼らが偉人達と絡んでいる画はかなり笑えてしまう。湿っぽかったりシリアスな部分はほとんど無く、全編テンションが高いので頭を空っぽにして観る事ができると思う
この作品はキアヌ・リーブスがキャリアの初期に参加したもので、ファンならずとも面白いと思える仕上がりになっており、レンタルなどでも割と置いてある所が多い。おばかな高校生役をノリノリで熱演している。続編も製作された
音楽が好きな高校生2人組が電話ボックス型のタイムマシーンをふとしたことから使う羽目になり、歴史上の重要人物(ナポレオン等)と交流するというもの。ただ、主人公たちは「おバカ」なので彼らが偉人達と絡んでいる画はかなり笑えてしまう。湿っぽかったりシリアスな部分はほとんど無く、全編テンションが高いので頭を空っぽにして観る事ができると思う
BAD BOYS ?
2004年9月26日 映画
マイケル・ベイ監督作品、ウィル・スミス主演
この作品は前作が低予算にもかかわらずヒットし、レンタル等の回転率も長期にわたって良く、満を持しての2作目ということになる。前作はテーマや設定としては割りとありがちだが、シーンごとのキレの良さと勢いは抜群だった。それを受けてのこの作品ではそこに予算を拡大しスケールを大きくキレや持ち味はそのままにというような快作となっている
この作品のメインとなるアクションシーンの迫力はかなりのもので、特にカーチェイスシーンでのカメラワークは素晴らしく、既存の作品には無い迫力がある。そして、この手の作品では定番となっている主人公たちの掛け合いも相変わらずだ。ただ、家族や仲間へ対する思いが根底にあるので嫌味なく笑えると思う
監督マイケル・ベイ、製作ジェリー・ブラッカイマーという『アルマゲドン』『パール・ハーバー』の組み合わせに、ウィル・スミス&マーティン・ローレンスの主演コンビによる1995年のヒット作のパート2。マイアミ警察のふたりの刑事が、「エクスタシー」というドラッグを裏取引するシンジケートを壊滅させようとする。今回は、ローレンス演じるマーカスの妹・シドが麻薬捜査局の潜入捜査官として登場し、スミス演じるマイクが彼女と恋仲になるという味つけもある。主演ふたりの掛け合いは快調。ローレンスは誤ってエクスタシーを服用してラリってしまうシーンが爆笑モノで、一方のロックは、コンビを統率するマイクを男くさく、余裕たっぷりに演じている。人種にまつわるどぎついギャグも今回は比較的分かりやすいが、問題はアクション場面。前作の3倍以上の製作費をかけただけあって、200台以上の車がクラッシュするカーチェイスや、山の斜面に並ぶ家々をなぎ倒しながら走る車など、そのスケールと迫力は半端じゃない。しかし、カット割りやアングルが、実際のスケール感やスピード、スリルを伝えきれていない。娯楽作としての満腹感は味わえるだけに不満も残る
この作品は前作が低予算にもかかわらずヒットし、レンタル等の回転率も長期にわたって良く、満を持しての2作目ということになる。前作はテーマや設定としては割りとありがちだが、シーンごとのキレの良さと勢いは抜群だった。それを受けてのこの作品ではそこに予算を拡大しスケールを大きくキレや持ち味はそのままにというような快作となっている
この作品のメインとなるアクションシーンの迫力はかなりのもので、特にカーチェイスシーンでのカメラワークは素晴らしく、既存の作品には無い迫力がある。そして、この手の作品では定番となっている主人公たちの掛け合いも相変わらずだ。ただ、家族や仲間へ対する思いが根底にあるので嫌味なく笑えると思う
ジョン・キューザック主演作品
この作品はオタクの生態を非常に細やかに描写していて、心理状態のアップダウンや思考の流れ具合などはリアリティがありすぎて苦笑いを通り越して感心してしまう。そして、オタクの理想を描いていて、観ていて単純にいいなぁと思えてしまう。因みにオタクというのはいわゆる秋葉系ではなく、自分の趣味を周りに理解してもらえない人の総称ということで一つ・・・
この作品は素晴らしいレビューがあったので、これ以上のものはちょっと書けないだろうし引用させてもらいます
中古レコード店を経営するロブは、同棲していた恋人のローラが突然出ていったことをきっかけに、これまでの失恋トップ5の女性たちを訪ね歩き、自分の何がいけなかったのかを問いただしていく。そんな中で、彼はさまざまな人々との出会いや会話の中からポジティヴな自分を発見していく…。音楽オタクの30代男が悪戦苦闘しながらも、人生に対して前向きに対処するまでを描く、ヒューマン・ラブ・コメディ。レコードの山に囲まれた主演ジョン・キューザックのオタクぶりがなかなか堂に入っているが、原題そのままのタイトルは「原音に忠実に再生された音」という意味で、いつしか彼はそういったレコード音の本質を反映する、真のオタクへと成長していくのだ
この作品はオタクの生態を非常に細やかに描写していて、心理状態のアップダウンや思考の流れ具合などはリアリティがありすぎて苦笑いを通り越して感心してしまう。そして、オタクの理想を描いていて、観ていて単純にいいなぁと思えてしまう。因みにオタクというのはいわゆる秋葉系ではなく、自分の趣味を周りに理解してもらえない人の総称ということで一つ・・・
この作品は素晴らしいレビューがあったので、これ以上のものはちょっと書けないだろうし引用させてもらいます
この映画には二つの魅力的な側面があります。一つは音楽オタク達の絶妙な生態描写にすぐれている、という面です。現実社会であまり役に立たなさそうな知識を膨大に貯めこんで、すぐに「〜のベスト5」と言って論議する登場人物たちの姿に、音楽オタクを自認する人々はきっと思わず苦笑いしたことでしょう。実際、これだけで素晴らしくよく出来た映画と言えたと思います
しかしこの映画は単なるコメディでは終わらず、ヒューマン・ドラマとしての側面も併せ持っています。音楽オタク、すなわち批評することで音楽に関わる(=主体的には音楽に関わっていない)主人公は、やがて自分の現実に直面し挫折していきます。苦悩し、自分の過去の恋人をたどることで自分の過去を振り返り、学び、乗り越え、音楽だけでなく人生を(批評する立場を捨て)主体的に生き抜く人間に生まれ変わろうとするのです(主人公が最後に恋人に語るシーンは感動的!)。最後に音楽に対して批評家的な立場からプロデューサーに転身していくというのも象徴的です
勿論、多くの人が触れている通り、主人公を演じるJ.キューザックを初めとする助演陣;特にJ.ブラックの演技が素晴らしいほか絶妙なタイミングで出てくるオタク向けの凝った選曲まで素晴らしく、難しい事言わずに楽しめる傑作です
ザ・ロイヤル・テネンバウムズ
2004年9月25日 映画
ウェス・アンダーソン監督作品
この作品は家族の再生の物語だが、単純に心温まる作品ではない。非常に我の強い、家庭を顧みなかった父親が妻の再婚話を機に形骸化した家族を集めるというもので、理由は全て別れた妻への独占欲からだ。そして、家族をダシに使い再婚話を阻止しようとする。バラバラに暮らしていた家族はそれぞれの問題を抱えており、父親が引っ掻き回すことで事態は混迷の度合いを深めていき・・・
長く別々に暮らし、共通観念の無くなってしまった家族の距離感と、それぞれの個性を強調した演出により、あくまで普通に振舞っている登場人物たちが魅力的に見えてくる。そして、あれこれ画策して暗躍しようとし失敗しても全く堪えないタフな父親が、家族の問題を目の当たりにして現実を知り、形だけのつもりだった家族の再生を徐々に成し遂げていく様は笑えるし、少しばかり感動もする
しかし、“天才一家”という設定は果たして必要だったんだろうか・・・
天才一家と世間にもてはやされながらも心はバラバラのままに暮らしていたテネンバウムズ家の人々が、再びひとつ屋根の下に集うことになってしまった。アメリカ本国で高い評価を受けていたウェス・アンダーソン監督の日本初公開作。あたかもジョン・アーヴィングの世界を彷彿させるアメリカならではの寓話性の下、シンメトリックな画面構成や、天才であるがゆえに(!?)個性的なキャラクターの面々をファッションで区分けするなど、非常に明快なイメージをもって深みある人間賛歌を描き得ている快作。一家の面々にはジーン・ハックマンやアンジェリカ・ヒューストン、グウィネス・パルトロウなど芸達者がズラリ勢揃い。その卓越した演技合戦も見どころのひとつである
この作品は家族の再生の物語だが、単純に心温まる作品ではない。非常に我の強い、家庭を顧みなかった父親が妻の再婚話を機に形骸化した家族を集めるというもので、理由は全て別れた妻への独占欲からだ。そして、家族をダシに使い再婚話を阻止しようとする。バラバラに暮らしていた家族はそれぞれの問題を抱えており、父親が引っ掻き回すことで事態は混迷の度合いを深めていき・・・
長く別々に暮らし、共通観念の無くなってしまった家族の距離感と、それぞれの個性を強調した演出により、あくまで普通に振舞っている登場人物たちが魅力的に見えてくる。そして、あれこれ画策して暗躍しようとし失敗しても全く堪えないタフな父親が、家族の問題を目の当たりにして現実を知り、形だけのつもりだった家族の再生を徐々に成し遂げていく様は笑えるし、少しばかり感動もする
しかし、“天才一家”という設定は果たして必要だったんだろうか・・・