文学界 4月号

2005年3月16日 読書
連載小説を含むオーソドックスな文芸誌

記事内容◇「<EU>と演劇」渡辺淳◇「春眠」山田詠美◇第35回九州芸術祭文学賞発表「打棒日和」相川英輔◇「巨船べラス・レトラス」筒井康隆◇評論「ニッポンの小説」高橋源一郎◇ロング・インタビュー「『アフターダーク』をめぐって」村上春樹◇批評「シネマの記憶喪失」阿部和重×中原昌也◇著者インタビュー「『電車男』は誰なのか」鈴木淳史◇その他

村上春樹が著作「アフターダーク」についてまとまった量を語っているというので購入した。一読したところ、それなりに納得できる論陣を張っているという感じではなく、近況報告を含む著名作家の肉声をお届けします的なインタビューになっていた。当たり前っちゃあ当たり前なんだが・・・

内容のほうだが・・・

・作者のキャリアとしての「アフターダーク」の位置づけ
・あらかた出揃った評論に対する感想(反論ではない)
・登場人物や物語の組み立てに関する裏話と考察
・近況報告(「新潮」で短期集中連載をすることなど)
・今のクラシックの流行はシューベルトかシューマンだ
・ブライアン・ウィルソンの「スマイル」について
・自分の作家としての姿勢について
・自分の著作は海外でも売れているという自慢

こういったラインナップになっている。もちろん「アフターダーク」についてまとまった量語っており、これを読めばある程度納得は出来るかもしれない。ただ、その納得の仕方が「理解の手助けになる」という感じではなく、「作者がこう言うんだからしょうがないか」的な感触で個人的には如何なものかと思った。因みに、文体の変化(現在形の多用)や「私たち」という表現=人称の変化への作者の回答はきちんとあるのでご安心を・・・。村上節を堪能したければ是非

薫の秘話

2005年3月14日 漫画
漫画家、松田洋子が描くギャグ漫画

母ひとり子ひとり、自己チュー中年男・薫は心優しき母の庇護のもと、あらん限りの幼児幻想を撒き散らし、惰眠を貪る小市民のセコイ常識を打ち破る。未発表作品「お散歩」と共に完全版として蘇る


主人公はハゲでホモでマザコン、おまけに定職にもついていない中年男性。なんだか救いが無い人物造形だが、その部分に関して彼は完全に開き直っており、マイノリティの立場から世相を斬って行く。ギャグの質がブラックで情報量がそれなりにあるため、内容は意外に知的な印象を受ける。その知性が主人公の唯一の救いともいえるが・・・。作品は1話完結で、まず主人公と母親の掛け合い漫才(大概貧乏ネタ)があり、その後毎回ゲストが登場し主人公が辛らつなコメントをするというのがパターンだが、主人公の魅力の無さの所為でギャグの毒は中和されてしまう。「こいつにだけは言われたくねえ」というアレだ。人間のネガティブな面を抽出しているが不快感は感じないよう配慮されているのだ。ただギャグに時事ネタが多く、多少古臭く感じるかもしれない。主人公の母が老いてなお“母親”の役割を背負っているのは明るく表現している分悲しく同情してしまう。彼女の子供に対する愛情がこの作品の救いになっていることは言うまでも無い

School of Rock

2005年3月13日 映画
ジャック・ブラック主演のコメディ

友人になりすまして名門小学校の代用教員になったロック・ミュージシャンのデューイ。教えることのない彼は、本業のロックの知識と精神を語り始める。やがて生徒たちも興味を示し、クラス全員でこっそりバンドバトルに出場することに…。ダメ教師が生徒たちのやる気を引き出し、生徒からも影響を受けるという、下手をしたらいくらでもあざとくなるテーマだが、ミュージシャンでもある怪優ジャック・ブラックの水を得た魚のような熱演と、個性的な子役たちの名演技で、心の底から笑える痛快作になった。本作のおもしろさにして特徴は、生徒それぞれに役割が与えられる点。ステージに立つメンバーだけでなく、マネージャーやセキュリティーなど裏方の大切さが無理なく教えられ、デューイと生徒に育まれるきずなにすんなり共感してしまう。それだけなら単なるヒューマンな感動作だが、随所に込められたロックのうんちくで、コアな音楽ファンもニヤリとさせる。「ファミリー」と「オタク」。一見、相容れない両者をともに大満足させる希有な一作。文句なしに楽しめる!

主人公はバンドで大成したいと願っているものの上手く行かず、友人の家へ転がり込んでいる状態。自らが作ったバンドも追い出され、新たなバンドを作って見返してやりたいと考えている。ある日友人に家賃を要求された主人公は、金を作るために名門の小学校に経歴を詐称して臨時教員として赴任する。当初は適当にやって金を作るだけのつもりだったが、クラスの音楽の授業で才能のある生徒を見つけ、彼らを利用してバンドを結成しようと画策する

この作品は、主人公のロックへの思いに共感できなければ単なるコメディになる。主人公がロックのカタルシスやグルーヴの良さをなんとか伝えようとあれこれパフォーマンスする様は程度の差こそあれ誰もが通った道で、思わず身につまされる。ジャック・ブラックの伝達能力はかなりのもので、観ているこちらも納得してしまう。もちろんコメディとしても面白く、主人公が生徒たちに“ロック史”を教え込むシーンは爆笑ものだ

ストーリーははっきり言って子供向けだが、それをなんとか観れるようにしているのはジャック・ブラック1人の功績だと思う。つまり、ジャック・ブラックが肌にあわない方にとっては魅力の無い作品になるかもしれない。個人的には結構面白かった作品

蟲師

2005年3月12日 漫画
漫画家、漆原友紀が描くオムニバスストーリー

過剰な災厄や異常をもたらす「蟲」。「蟲」を呼び寄せてしまう体質故に、一所に安住できず、蟲封じを生業として放浪するギンコが主人公の物語。

「分からない」ということは気持ちが悪い。だから人は納得するための言葉が欲しくなる。科学とは、森羅万象を説明するための、体系的な説明方法の一つだが、森羅万象を説明可能な体系は必ずしも科学のみとは限らない。たとえば「どうして火事になったのか」ということを「燃焼」という科学的な説明で把握することもできるが、「火車様がお怒りになったからだ」とか「ファイヤーの魔法が成功したのだ」などと説明することもできる。本質的に、世界を把握する方法としては「科学」も「魔法」も「宗教」も等価なのである(問題なのは、科学的世界観を前提としないから、都合のいい時だけ科学と整合しない「カミサマ」だの「悪魔」だの「宇宙人」だの「ユダヤの陰謀」だのを持ち出す言説である。所謂「擬似科学」や「トンデモ」だ)。本作品において作者の漆原は、人知が及ばぬ現象について「蟲」という概念を提示し、これを世界観の重要な一部として破綻なく組み込み、物語を構築する。子供の頃、田舎のほの暗い井戸を覗いてぞくりとした感覚を思い出すことができる。そんな珠玉の作品だ

この作品は元々読みきりの形でいくつか掲載され、その後改めて連載の形を取ったようだ。その為、1話完結の物語が多い。内容的には、自然の残った山村などで起こる不可思議な現象を“蟲師”と呼ばれる主人公ギンコが解決するというものになっている。“蟲”と呼ばれる存在あるいは概念を人は知らず、蟲には様々な形がありそれらが介在することで一概に悪いとばかりは言えない現象が起こる。その現象の不可思議さは物語を勧善懲悪に落とし込まず、読後感は民話や御伽噺のようだ。世界観や舞台もどこか牧歌的かつ旧態依然としており、独特の優しげな絵柄も相まって懐かしさを感じさせてくれる
書籍関連の情報を集めた雑誌

●第一特集 大ブレイク♪ クラシック音楽コメディ『のだめカンタービレ』大特集/これほどリアルで笑えるクラシック音楽コミックはなかったと、マンガ読みの心をわしづかみにしている『のだめカンタービレ』(二ノ宮知子/講談社)。『のだめ』ワールドにハマる各界著名人のインタビューや寄稿、音楽関係者50人&読者700人アンケートをもとに、その大ブレイクの秘密と魅力に迫ります! “のだめ”のモデル=“リアルのだめ”も登場する、二ノ宮知子ロングインタビューも必見! ◇天然のだめとオレ様千秋&アヤシイ仲間(ミュージシャン)たち ◇あの人もハマってる! 私たちの『のだめ』狂想曲 ◇音大生、音楽関係者も夢中 プロならではの『のだめ』の楽しみ ◇あのマンガ家が描く アナザー『のだめ』ワールド ほか ●第二特集 『love history』からはじめる恋の小旅行 もし“昔の恋”に戻れるのなら、どうしますか?/私たちはいつも過去から未来へ一方向に流れる時間の中で生きています。ゆえに“昔の恋”は遠い記憶のひとつに過ぎないと思い込んでいませんか? 過去の恋、過ぎ去った思い出にとらわれている人たちへ、だからこそ問いたいのです。「もし“昔の恋”に戻れるのなら、どうしますか?」 

今回は漫画「のだめカンタービレ」を特集しているので購入。特集の内容は、著名人の推薦文(ホリエモンが何故か登場)、物語の概要、登場人物紹介、この作品が世間からどう受けているかという分析など・・・。そして目玉は作者二ノ宮和子とリアルのだめ(主人公のモデルになった方)のインタビュー。この作品を書こうと思った経緯などを語っている。全体的に、この漫画を読んだことが無い人向けにまとめてあるなぁという印象

後、京極夏彦が関わる映像作品の特集は地味に目玉かもしれない。wowowで始まる「巷説百物語」を紹介している。堤幸彦監督×主演・渡部篤朗という「ケイゾク」のコンビが復活したようだ。写真も数点あるが、見応えがありそうな印象。そして、今夏公開の「姑獲鳥の夏」の記事もあり。写真や見所を少々紹介している
様々なカルチャーを扱う情報誌

あの「スラムダンク」の十日後の登場人物たちの瞬間瞬間を捕らえた「スラムダンク・ファイナル」。井上雄彦が「スラムダンク」一億冊突破を記念して新聞広告を出し、読者など様々な人たちからのレスポンスに「ありがとう」という気持ちを込めて開かれたイベントにて、廃校の黒板に描いた十日後のスラムダンクの「一部」が載っています。まずは黒板に描かれたとは思えない絵に度肝を抜かれます。そして、思ったことは「十日後か・・・」ということ。「スラムダンク」の連載が終わって、八年。だけど、十日後。何だか不思議な感じがしました。あまりに印象的なマンガだったので八年も、十日も実感として湧いてこないのが正直なところでした。こういったことをすると、大体が失敗に終わるのが普通ですが、これは違う!完璧な続編の片鱗を見た思いでした。また「スラムダンク」を読み返してみようと思います。それにしても黒板マンガ、全部見たいです。全てが収められたポストカードが井上さんのホームページにて購入できるらしい。多分買ってしまいます

根強い人気を誇るバスケ漫画「スラムダンク」。累計一億冊突破ということで、作者が読者に何らかの形で還元したいと企画した「3日間だけの湘北高校」。廃校を借り切って、体育館でバスケットが出来るようにしたり、オリジナルグッズを売ったりと3日間だけのキャンペーンを展開、全国から多くの人が詰め掛けたようだ

そのキャンペーンの目玉となったのが、クラスごとに黒板に描かれたスラムダンクの続編漫画。一つのクラスに4コマ程度描き、教室を歩き回ることで全てを観ることができる。因みに設定としては漫画のラストシーンから10日後ということらしい。内容は簡単に言うと漫画に登場した魅力的なキャラクターの近況報告というだけのものだが、「バガボンド」で画風のかなり変わった作者が以前の画風で描いており、強いデジャヴに襲われること間違いなし

この雑誌では一部を公開しているようで、全て観たければ作者のHPでポストカードを購入しなければならないようだ。個人的には某所で全ての画像を手に入れてあるので・・・。観に行った方が携帯で取った黒板漫画の画像ですがね。ノスタルジックな思いにとらわれる企画でした
漫画家、かわすみひろしが描く料理漫画

外交官の住む大使館で働く“公邸料理人”としてベトナムに赴任した主人公。得意分野のフレンチにベトナムのエッセンスを取り入れた創作料理を臨機応変に作りあげ、来客をもてなしていく


この作品は「美味しんぼ」形式と言えば良いのか、料理で外交上の問題をクリアするという、料理の力を賛美する内容になっている。とは言っても、外交の相手の精神的なわだかまりを解きフラットな気持ちにさせるだけではあるが。妻帯者の主人公と通訳のベトナム女性のラブコメ的な展開もありつつ、外交官の内実を少しだけ垣間見れる作品になっている。スノビッシュな世界で相手や上司の顔を立てつつ目的を達するという難儀な役割を主人公は料理への愛情を持ちつつマイペースにこなしていく

現在21巻まで出ているが、ベトナム大使である上司の任期の終了に伴い主人公も日本へ帰国し、上司の外交の接待料理を受け持つことになる。それによってベトナム時代の親密な人間関係は一旦解消され、新たな仕事仲間と共に勤務している現在は別の味わいが表出している。現在は日本での来客のもてなしを中心に置きつつ様々な国へ出張という形で出向き各地の料理を紹介するというような展開になっていて、主人公が女性の弟子を取るというようなサイドストーリーも展開されている

郷土料理に主人公独自のアレンジを施すという部分が見所になっており、これは実際に公邸料理人をしていた原作者のアイデアが反映されているようだ。また、独特のほのぼのとした雰囲気なので外交官という職業の厳しさも描きつつも読みやすい

数話完結なので、一つ手にとると芋づる式に読みふけってしまう中毒性のある漫画。おすすめ

「てん、」

2005年3月5日 音楽
クラムボンの6thアルバム

「自分たちのことを、自分達がいちばん得意な楽器で表現したかった」というミトの発言通り、クラムボンというバンドを構成する3つの主成分――ミトのベース、原田郁子のピアノ、伊藤大助のドラム――がダイレクトに伝わる、クラムボン史上もっとも強度の高い作品だ。先鋭的な音楽的センスに注目が集まりがちな彼らだが、このアルバムを聴けば、3人が演奏者としてもきわめて優れていることがはっきりとわかるだろう。また“命の素晴らしさ、貴さ”をテーマに持つ「バイタルサイン」をはじめ、より率直な表現を志した歌詞も印象的。モノ・ミックス盤と益子樹によるステレオ・ミックス盤の2枚組

この作品は、小淵沢に立てた私設スタジオで作り上げられたらしい。インタビュー等でもメンバーが語っていたが、「前作から少し離れて自分たちのできる楽器で攻めてみよう」ということで、結果的に各々の楽器がフィーチャリングされつつ前作の音響系のアプローチも少々といった音楽性になっている。また、モノラルミックスとステレオミックスを2枚組にして収録してある

前作にあったネタっぽいシュールさ=実験性の要素は減退しており、その代わりにバンドとして正当な評価を受け入れる気概というか・・・まぁ一言で言うと「格好良さ」のようなものが表出している。この手のアーティストは格好良さや叙情的な感情表現を茶化す傾向があるが、その辺りを媚びるという意識ではなく引き受けている部分において、成長したといっても差し支えないはず。曲やアレンジが楽曲の大部分を占めるわけではなく、唄とメロディを中心に置いたまっとうなバランスになっているのは、おそらくヴォーカルのソロ活動があったからなのかもしれない。このアルバムの名実共にクライマックスである「ふたり」はピアノが効果的に使われた、ヴォーカルのソロやバンド初期を思い起こさせる高揚感のあるミディアムバラードで、個人的には非常に好きな楽曲

因みに、モノラルとステレオはそれほど大きな違いは無い。ただ、モノラルのほうが音楽性に合った音色になっていると思う
秋にTVで放映されたドラマのDVD化

2004年11月に放送された、ドラマ『Dr.コトー診療所』の待望の続編が登場。放送でカットされたシーンを収めたディレクターズカット版で発売!DVDBOX3枚目の特典ディスクは、メイキング・出演者インタビュー・ロケ地マップなど収録予定

沖縄・志木那島の3月。コトー(吉岡秀隆)が島にやってきて1年の時が流れた。今ではすっかり島の医師となり受け入れられたコトーは今日も自転車で島民たちの診療に回っている。背後には、コトーに憧れ医者を目指す剛洋(富岡涼)。島民たちはそんな2人が通るのを認め、気軽に往診を求めてきたりもする。コトーは、途中、昌代(朝加真由美)に呼び止められ、星野家で昼食を御馳走になると、その後正一(小林薫)と共に港にむかう。この島に小学校の新任教師・小沢(光石研)がやってくるのだ。コトーは、港で妻・小百合(神野三鈴)、娘・ひな(尾崎千瑛)と共に盛大に迎えられる小沢を目撃。自分の時とは随分様子が違うものだと一年前の自分を思い出すコトー。その場に来ていた剛洋は、可憐なひなにほのかな思いを抱く

DVD3枚組の今作。前・後編に分けられた本編ディスクに特典ディスクがついている。特典ディスクはメイキングを含んだ約2時間の厚みのある内容で、購入者のニーズに十二分に応えてくれている

特典ディスクについて。数週間のロケを日記風につづり、与那国の良さをかなりアピールするような内容になっている。登場人物たちのオフショットが中心になり、台風等で難航した撮影を横のつながりの強い関係のまま乗り切った模様がまんべんなく描写される。比較的泉谷しげるがフィーチャリングされていて、「期間をおくとどういうキャラクターだったか忘れちまうよ」などと言いつつも華をしっかりと添えたしげさん役について語っている。たけひろ役の子がナレーションを担当していることで、牧歌的な意味合いが強まり、今作でひとまずドラマを離れることになるたけひろへの思いを増幅するように演出されている。本編では細切れに演出されていたエイサーの模様をきちんと見せたり、映画館で試写会をした際、出演者がインタビューに答えた様子も収録している。和田さん役の筧は相変わらずずれたムードメイカーっぷりを発揮していた

一応本編も観たが未公開シーンを加えたりということはないようだ。ただ、前回感想を述べた際言ったがこの作品は原作のコトーを中心にしたヒーローモノから「北の国から」的な年代を経る群像劇にシフトしており、それがこの先も定期的に描かれることは間違いない。それが連ドラなのか2時間ドラマなのかは分からないが、この先物語に深みとケレン味を出す方向で行くのだろう。それは個人的に如何なものかと思うのだが。ヒーローモノとして描いていかないと原作の良さが無くなってしまい、完全な別物の作品(おそらく人間関係の賛美系)になってしまう可能性が大きいので・・・。まぁ、そんなことは今心配することではないのかもしれないが。あまり関係無いが吉岡秀隆は良いキャリアを歩んでいるなぁと感心した

連続ドラマ時代が好きな方なら楽しめるはず。おすすめ
ティーンエイジ・ファンクラブのベストアルバム

Teenage Fanclubはとっつきやすいのに深みのある曲を量産する貴重なバンドです。メンバー3人(ノーマン、ジェラルド、レイモンド)全員がソングライターで名曲を書けることがこのバンドの強みです。このアルバムはそんな3人のこれまでの代表曲をちりばめたものですが、合間にそれぞれの新曲も入っていて(これまた名曲)絶対に買って損は無いです。昔はギターバンド的な音でしたが、最近はよりプロダクションのしっかりしたハーモニー性の強い、しいていえばByrdsっぽい音を作ってます。Neil Young色も強いですが。オアシスも「イギリスで(自分たちの次に<笑)最高のバンド」と賞賛するTFC。このアルバムをきっかけに他のアルバムも買ってみて、シングルにならなかった彼らの名曲の数々も堪能してほしいです。

良質なメロディを奏でる明るいギターポップという音楽性のこのバンドは活動していた当時は地味に(?)支持者が多かったらしいが昨今は全く噂を聞かなくなっていて、フェイドアウトか・・・と半ば諦め忘れ去ろうとしていた矢先、新作のリリース情報が。これは購入するしかない・・・

知らない方はこのベストアルバムから入るが吉。21曲(新曲3曲入り)でキャリアの全時期を網羅している。音楽性が非常にオーソドックスなので、拒否反応を起こす方はまずいないかと。そしてオーソドックスではあるもののメロディを大事にした演奏を踏まえつつ飽きの来ないようあれこれと工夫し音色はシューゲイザーをニュアンスとして少し取り入れてある。エヴァーグリーンとまでは言わないが古臭く感じないので安心して聴ける作品になっていると思う。おすすめ

因みに復活の記事。参考まで
http://www.barks.jp/news/?id=1000005845&;;

愛のバクダン

2005年2月28日 音楽
B’zの新譜へのリードシングル

「愛のバクダン」の「カラオケ・ヴァージョン」「ギターソロ・レス・ヴァージョン」「ギター譜」付き
<収録曲>
愛のバクダン
Fever
甘く優しい微熱

今日放送した某音楽番組で初めて聴いた。結論から言うと、4月発売のニューアルバムへの期待が否応無く高まる楽曲になっていた

昨年このアーティストは活動を休止し、ソロ活動に踏み切った。そんな中でもタイアップ等で楽曲を製作しリリースだけはしていて「BANZAI」のCM音楽丸出しのギターフレーズと手抜きとしか言いようの無い歌詞にげんなりだったが「ARIGATO」はなかなか力の入った佳曲だった。その後、B’z名義で正式に活動するに当たってアルバムリリースと同時にアナウンスされた今回のシングルは、ようするにアルバム収録確定なので大して売れないかと思われるが、B’zの方向性を見定めるために必要な楽曲でもあるわけで

曲は正直少し前の青春パンク勢が出したメロディと大差が無い。それを稲葉の歌唱と歌詞と松本を含む技術のある演奏で固めたという印象だ。アッパーで開放感のある楽曲で歌詞は非常に薄っぺらいが、それが上手く曲に馴染んでいる。特筆すべきは曲から受ける印象で、前作まであった情けなさや諦観や皮肉や自虐などの世界観が払拭され、薄っぺらいものの以前のような力強さを取り戻していることだろうか。「UBU」や「New Massage」のような楽曲をカップリングではなくリリースする意思が固まったのか・・・この楽曲でアルバムの購入は決定。期待してます

歌のアルバム

2005年2月27日 音楽
コメディアン、清水ミチコの13年ぶりの新譜

世界最強の主婦 清水ミチコが高々と歌う珠玉の冗談音楽!懐かしい人から、今話題の人まで21人登場。「お母さんって夢中になれることがあって良いね。。。(レコーディング時の娘さん談)」なんと13年ぶりのCD。カバー曲(※)以外はすべて清水ミチコが作詩・作曲・構成を手がけ、ピアノ演奏はもちろんのこと、編曲、プログラミングにも果敢にチャレンジした意欲作

大昔にダウンタウンとウッチャンナンチャンがメインでやっていたバラエティ「夢であえたら」でアクの強い女性陣として野沢直子と共に脇を固めていたのがこの人。当時中学生だったが、その番組内のコントでの彼女の女を捨てた振る舞いには少年心に衝撃を受けたのを覚えている。その後高校生になり「宝島」という雑誌を読むようになったところまたしても清水ミチコと出会うことになった。宝島は大昔サブカル誌として名を馳せていたらしいが、僕が読んだころはエログラビア雑誌に路線を変更しており、それを買うというのはもちろん目的があってのことであり、はっきりいって清水ミチコの小ネタを求めてはいなかったわけで。エロに笑いが混じると萎えるのだ。しかし、小さなコーナーで彼女が様々な小道具を使い顔芸を披露しているのを見て爆笑してしまい、それ以来地味に毎月立ち読みをしていたのを覚えている。そんな思いを引き摺って今回購入することにした

基本的には全編物まねで、1曲1人という割合で物まねをしていっている。清水ミチコの真似っぷりは絶妙で爆笑させられること請け合い。この場合の“絶妙”というのは、物まねする対象に対する愛情の溢れっぷりや、似て無くても(あえて似せないようにしている場合もあり)似せようとしていますよ、こちらはお前の温度なんか知ったことじゃない、本気ですよという強い意思表示があるという部分を指しているので。アシカラズ

そんな本気の物まねラインナップは、山口百恵、ユーミン、矢野顕子、哀川翔、阿部譲二、森山良子(森山直太朗の母親)、平野レミ、桃井かおり、平原綾香、ヒトトヨウ、鬼束ちひろ、元ちとせ、UA、笹川美和、宇多田ヒカル、中島みゆき、綾戸ちえなど・・・激似という歌唱もあれば、「似せてます!」という必死の訴えを感じる曲もあり。個人的にお勧めなのは桃井かおりのものまね。これは久々に爆笑した

因みに糸井重里のサイト「ほぼ日」で全曲解説をしています。参考までに紹介
http://www.1101.com/michiko/index.html
トラジ・ハイジの企画モノシングル

堂本剛&国分太一で新ユニット結成! KinKi Kidsの堂本剛とTOKIOの国分太一による新ユニット「トラジ・ハイジ」のデビュー・シングル。タイトル曲は2人の主演映画『ファンタスティポ』(藪内省吾監督)の主題歌で、70年代ソウルを彷彿させるノリノリのダンスナンバーだ

この楽曲はPVを観る、もしくは歌っている姿を観ないと良さが8割減だと思う。というのも、PV等で披露するダンスが過去のディスコ的なもののパロディで、その誰でも悪乗りすれば思いつきそうな振り付けを大真面目にやることで笑いを通り越した格好よさのようなものがあるからだ

とはいっても楽曲自体に魅力が薄いというわけではなく、曲のアレンジにソウルの味付けを施してあるものの、メロディラインとヴォーカルの聴きなれた声の所為で、歌謡曲っぽい、言い換えれば非常にキャッチーな楽曲になっている。まぁ今時居るかは分からないが、ジャニーズということで守備範囲外と片付ける方へも届くようあれこれと配慮された楽曲だと思う

GUNSLINGER GIRL

2005年2月25日 漫画
漫画家、相田裕が描く人間ドラマ

この作品の主人公は、元は体に障害をもっていたが、試験的に機械の体を与えられ、その代償として政府のために汚れた仕事をする少女達。洗脳されて毎日訓練と暗殺をこなしている。だが決して彼女たちは自分が不幸とは思ってない。おおよそ、日本人には想像もつかない事だ。かなしく、人によっては残酷にさえ感じるだろう。間違った幸せだと思うだろう。だからこそ読んで欲しい。人によって、ちがってくるだろうが、読んだら絶対に、人の幸せについての考え方が変わる。個人的には、この作品は単なる漫画としてではなく、相田裕さんからの、命の重みを知らない現代の少年への遠回しの語りかけだと思って欲しい。(単なる漫画として読んでしまうと、残酷に思うだけの人も出てくかもしれない。実際、誤解してる人もたくさんいるようですし)

様々な形で障害を持った子供たちを集め、サイボーグ的な手術を施し薬で人格を従順に抑えて、諜報機関の人員として活動させる機関、「公社」。そこで活動している少女たちは一つ屋根の下で暮らし、年齢相応の夢を見る。そんな彼女らを含む公社の活躍を庇護者である担当者や組織、そして彼女ら自身の視点から多角的に描く

この作品はテーマが重い上に、少女たちの不必要に萌え系の絵柄も相まって読者層をかなり限定してしまう気がする。彼女らの不幸な出自を執拗に描くので、そこから救われた上で結局は無慈悲な大人の世界で駒として利用されているだけのペシミスティックな世界観が貫かれていると一読して思った。暖かみや情緒というものを排した冷徹な諜報機関の価値観で物語は転がり、未発達な少女は与えられた環境で小さな幸せを見出しつつ仕事につくことになる。しかし、執拗に描かれる少女たちの出自は、現在の抑圧された状況をさらに上回る凄惨なもので、作者が提示する世の中の暗部と比較すると現在の彼女らは幸せという図式になる

上記のような命の重みを相対的に描き出しているという意見もあるだろうが、それが事実だったとしても作者の意図が充分に伝わったとは言い難い。まだ4巻しか出ていないので断言は出来ないが、主人公たちの萌え系をあえて狙った絵柄(それ以外の絵柄も描ける技量をもってして)と情緒を排した作風は、一部の嗜好に媚びたものに思えた。命の重みを伝えようとしているとして、作者のぶつける価値観が読者を啓蒙できるかどうかは微妙なところだ。ただ、主人公たちが「銃夢」的なタフな価値観である人物造形ならこの作品から受ける衝撃はほとんど無くなってしまうとは思う。次巻に期待

おせん

2005年2月24日 漫画
漫画家、きくち正太が描く“粋”な漫画

一升庵という料理屋と主人公のおかみ半田仙こと「おせん」を中心に人間ドラマと料理と骨董についてが描かれている。古き良き日本の美や食へのこだわりがなんともいえない。作者もよく考えて作品を作っているなあ、と感心してしました。こだわりのある、内容の濃いマンガ。主人公のおせんに惚れました。いい女の見本です

主人公が一升庵という料亭に住み込みで働くためにやってくるところから物語は始まる。そこは、古きを尊び“粋”であることが格好よいという価値観の古風な箱庭だった。現代の若者であり、読者の代弁者である主人公がその価値観に触れ驚き呆れることで“粋”とはなんぞやという問いかけがなされる

この作品は、ヒロインであるおせんの人物造形をまず受け入れることが出来るかどうかで物語の面白さが決まる。ダメならお帰りください、粋じゃないからというわけだ。とにもかくにも旧態依然としたおせんの良い女っぷりは読者に媚びる事をせず、これが良いのだ!という価値観をぶつけてくる。そんな挑戦的な漫画は最近出会ったことが無かったので少し嬉しくなった

ただ、物語はもちろんのこと絵柄にクセがあり、少々古臭いディフォルメの仕方をするので、これも人を選ぶ要因になっているように思った。絵は上手いものの味の無い昨今の漫画の逆を行く快作

アイシールド21

2005年2月23日 漫画
漫画家、村田雄介が描くアメリカンフットボールを題材にした作品

泥門高校1年・小早川瀬那。気弱な性格が災いし、幼き頃よりパシリ人生を送ってきた。だがそのおかげで(?)ズバ抜けた俊足を持つ瀬那は、悪魔のごとき男・ヒル魔によりアメフト部へと引きずり込まれるが!?

中学生時代はいじめられっこだった主人公は、長年のパシリによって素晴らしい脚力を持つようになっていた。それを見込まれアメフト部に入部させられるが、部員が3人しか居ないので、他の体育会系の部から助っ人を呼んで試合をする始末。アメフト部をきちんと稼動させようと奔走する主人公たちの下には1人、また1人とメンバーが集まっていき・・・

この作品は週間少年ジャンプで連載されているが、昨今には珍しく「友情・努力・勝利」の三原則に忠実な物語になっている。アメリカン・フットボールという馴染みのない題材を、素人の主人公が覚えていくという経過を辿らせることで読者に分かりやすく説明し、古臭さをアメコミ風のノリを持ち込んで中和している。物語において、最も優先されるのはカタルシスというところもなんというか王道だ

ポジションごとに才能のある選手が集まっていき、少しずつチームが完成されていくのは興味を引くが、11巻まで出ている現在でも不完全というのは引っ張りすぎではないかと思った。伝説のキッカーという武蔵は、物語の序盤から存在をちらつかせているわりに全く本筋に絡まないというのもいかがなものかと。基本的に部活の楽しさを描いているので、気楽に読むことができる作品

I,ROBOT

2005年2月22日 映画
ウィル・スミス主演のSFサスペンス

ロボットが社会の一部となりつつある2035年を舞台にしたSFアクション。「人間に危害を加えてはいけない」などロボット3原則を守っていた家庭用ロボットが、殺人事件の容疑者となる。“ロボット嫌い”の刑事と、人間に近い感情を持つ最新ロボット「サニー」の攻防とともに、ロボット開発会社にうごめく陰謀や、進化したロボットの恐怖が明らかになっていく。原案となったのは、SF小説の巨匠アイザック・アシモフの「われはロボット」。ボディは半透明で、人間に近い表情も見せるロボットは、これまでの映画にはなかった斬新なデザイン。ロボットたちが犬の散歩や宅配便で当然のように行き来する都市をはじめ、さまざまなハイテク・グッズもそろった近未来社会が、リアルな映像で目の前に広がる。主人公の刑事がアナログ志向というのも、ドラマに奥行きを加味。演じるウィル・スミスは、刑事の内面だけでなく、大量のロボット軍団を相手にした激しいバトルもいきいきと演じている。アクション場面の迫力もさることながら、人間と機械の関係にフォーカスしたテーマが全体をしっかりと支え、ラストは哲学的な香りさえ漂う。完成度の高いSF作品になった

刑事を演じるウィル・スミスは巨大企業の重役である博士の自殺現場に呼び出される。そこには博士の遺書と思われるホログラムの会話装置が残されていた。現場を検証した際現れたロボット、サニーにより、博士が開発していたロボットがロボット三原則を破ることができるようにプログラムされている=人間を殺すことができることを知る。刑事は博士の助手だった女性と組み、事件を突き止めるために奔走するが・・・

この作品はバランスが良い。エンターテイメントの要素が強く、未来を舞台にした単なるサスペンスだと思い観て行くと、作り上げられた世界観(これは原案の力だと思うが)と、構築を可能にするCGのおかげで視覚的な刺激もあり、人の役に立つように作られたロボットが反旗を翻すという物語のテーマも相まって、観るのに苦労しない割りに受け取る面白みは大きい。以前なら大々的に宣伝に使われていたようなCG技術をさらっと使っている部分もポイントだ

幻影博覧会

2005年2月20日 漫画
漫画家、冬目景が描く探偵モノ

探偵・松之宮、そして謎めいた助手の真夜。2人の元に舞い込む事件は…。大正を舞台に贈る冬目景のレトロゴシックロマン


探偵、松之宮の元に知り合いの紹介で真夜という女性が助手としてやってくるところから物語は始まり、仲の良い刑事からの情報により探偵事務所に事件が舞い込み解決に乗り出すという2〜3話完結のスタイルになる。これは掲載誌には読みきりの形で載っていたからだと思われる。それを編んだ作品ということで、作品を通したテーマのようなものは見受けられない

この作家独特の暖かみのある画風が、大正時代というレトロな雰囲気という設定で最大限に生かされている。意図したものか分からないが、展開や魅せ方も非常にオーソドックスというか、デジャヴに襲われる類のもので、懐かしさを感じさせる。この作品はその懐かしさや暖かみを楽しむもので、ミステリの魅力であるトリックや種明かしなどの衝撃などを期待して読むと肩透かしを食うかもしれない。人間関係の練りこみや人物の掘り下げなどは特にされておらず、非常にあっさりとした印象なので、この作家の売りである“絵”にたいした魅力を感じない方だと、面白さを感じるのに時間がかかるかもしれない。まぁ、もともとポピュラリティのある作風ではないわけだが・・・

過剰さに魅力を見出すのではなく、かといって狙ったオフビートさを出すわけでもない。その点で言うと中途半端かもしれないが、裏を返せば程好い心地よさを感じる世界観ともいえる。伏線もあれこれと張られているので、今後物語が続くことで奥深さのようなものが出ると期待

BIRTHDAY

2005年2月19日 音楽
くるりの新譜

通算14枚目のシングル。初回盤には、くるり初のライブ音源となる「水中モーター」(Live at Zepp Tokyo,Nov. 20. 2004)を収録
1.BIRTHDAY
2.真夏の雨
3.水中モーター

この作品は春らしい軽やかでアップテンポな楽曲になっている。アコースティックギターを効果的に使ったカントリー調の牧歌的な曲で、最近はあまり披露していなかった岸田のメロディーを意識した歌唱が乗る。バッキングヴォーカルであるイノトモの歌唱はかなり秀逸で、個人的には「ばらの花」でのフルカワミキと同じくらい効果的に使われていると思う

PVはピンクのスーツを着た男性が昼間の街並みをステップを踏みながら道ゆく人に挨拶したり絡んだりといったミュージカル調のもので、あからさまに春を意識している。所々でアニメになったり、やりすぎ感もあり多少病的でシュールな映像になっていた

「アンテナ」以降の泥臭く重たい楽曲は個人的に好みではなかったので、今回のシングルは非常に気に入った。この曲はライヴでも演奏されていたようだが、シングルで切ろうと判断したのは正しいと思う

DEATH NOTE 5

2005年2月18日 漫画
漫画家、小畑健が描くサスペンス

ミサ確保により、窮地に立たされた月は、自ら監禁を望む。そして、遂に月はリュークにデスノートを捨てる事を告げる! 月の思惑とは一体…。その後、殺人は止まったかに見えたが、再びキラが暗躍しはじめた!!


この巻では、キラである月(らいと)がLの推理によって監禁されているシーンから始まる。第二のキラである弥(あまね)も同様に監禁されているが、彼女はノートを捨てたことによって記憶を無くしており、その結果(記憶が無いゆえに)嘘をついていないことをLは見抜き戸惑うことになる。畳み掛けるように月もデスノートを捨て記憶を無くし、Lはその洞察力の鋭さゆえに月が嘘をついていないことを見抜き推理を改めて組み立てることになる。ノートは別の人間の手に渡り、殺人は再開される。捜査は振り出しに戻り、弥は監視下に置きつつも月を捜査に協力させることになる

この段階で、主人公とヒロインはいわゆる“正義”の側にシフトし、今までのピカレスクロマン的な展開は一旦廃棄される。別の人間の手に渡ったノートは俗な理由で使われ、それを主人公たちが追うというオーソドックスな少年漫画の体裁に落ち着く。それゆえにこの巻は安定感があるものの予想の範囲内のサスペンスになっていて、多少物足りない印象だ

連載をフォローしている方はご存知だろうが、結局は月のもとへノートは返ってくる。そしてまた主人公は殺人者になるわけだ。その展開を踏まえると、この巻の流れはつかの間の夢として非常に効果的なエピソードになっていると思う。6巻に期待

< 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 >

 

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

日記内を検索